紙の本
使える辞典
2015/10/10 16:55
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投稿者:匿名 - この投稿者のレビュー一覧を見る
幻獣はジャンルを問わずメタファーとして用いられることも多いですから、こうした創造的な著者による本はたすかります。『紋切型辞典』とあわせて読みたい。
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架空の生き物を集めた辞典。
河出文庫はかなりユニークなラインナップを刊行するレーベルだが、まさかこれを文庫にしてしまうとはw
世界には色々な怪物がいて、様々な人物がそれを書いているが、最後の『解説』に『ボルヘス』が登場する構成が面白い。確かに本人が一番『怪物』かも……。
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再読。
国内のこの手の本だと、ゲームに出てきそうなキャラクターしか載っていないことが多いのですが、さすがに古典というか、世界中から幅広くキャラクターを集めてきています。
名前のない幻獣も載っているのが特徴的。
事典としては収録数が少ないため役に立つかどうかはわかりませんが、愉しめる本でした。
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セイレーン、八岐大蛇、一角獣、古今東西の竜といった想像上の生き物や、カフカ、C・S・ルイス、スウェーデンボリーらの著作に登場する不思議な存在をめぐる博覧強記のエッセイ120篇。
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ボルヘス先生の、空想動物辞典。
ゲームなんかでメジャーなのも多いので
古さも感じるけど、想像の翼がうずきますな。
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無教養なうえ、ゲームもファンタジーも苦手な私には、五十音順の情報を吸収することはハードル高すぎた。
じゃあ、ある程度カテゴライズされた形ならいいのかっていうと、そういうもんでもなく。つまりは、自分の教養、想像力のなさが問題。
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名前は知ってたけど何となく手を出してなかった。文庫化ってちょうどいいタイミング。
これだけ簡単にネットで何でも調べられるようになると、博識とか売りになりにくい。そうなると後は取捨選択に力量が問われるわけで、そう思って読むと、世の中不条理というか、神話とか伝説って因果応報とか倫理的にはできてないんだなぁ、としみじみと。だからおもろい、ってところももちろんあるんだけれども。
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古今東西の化け物、モンスター、幽霊、神獣の類を一堂に解説した書籍。
図表や資料写真もあるが、読む以前にはもっとオドロオドロしいという意味で楽しめるものかと勝手に想像していたが...
人間の想像力・妄想力の逞しさを、これでもかと示す文章が延々と続くのには、ちょっと(かなり)疲れました...。
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ボルヘスが古今東西の、架空の生物に関する話をまとめた本。
とぼけた・・・というのとも少し違うか、解説で再現もされている独特の筆致が小気味いい。
もちろん書かれている幻獣たちも興味深いけど。ありライオンとか。こういうのなのかミュルメコレオン。そんで誕生の逸話も。
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「幻獣」とは、伝説、伝承上の動物全般を指す言葉。家庭用ゲームの世界では、たとえばRPGゲームシリーズ『ファイナルファンタジー』をはじめとした多くの作品で、モンスターの総称としてよく使われている。今となっては、これら想像上の生物をイラストとともに紹介する書籍が量産されているが、本書はこれらの始祖といった存在。
ボルヘスは1899年、アルゼンチンはブエノスアイレスの生まれ。詩人・小説家としてだけでなく、驚異的な博識・読書量で知られている。この『幻獣辞典』も、ギリシャ時代の古典から北欧・インド、中国・日本・アメリカ・イスラムの神話、さらにはポオやカフカといった作家から120の題材がとられ、1項目につき1~4ページ程度の短く、かつ濃縮された文体で説明が施されている。
本書はたんなる「ファンタジーの副読本」以上のものである。多くの物語がそこから名前や設定を借りている、神話や伝承の迷宮を旅するための地図なのだ。そこらの解説本が他の本からの孫引きで作られているのに比べ、著者が序で〈引用した資料はすべて原典にあたり、それを原語(中略)から訳出すべく、われわれは最善をつくした〉と胸を張る本書の記述は機知に富み、簡潔でありながらなまなましく、そして詩的な風情さえ漂わせる。
そもそも「幻獣」という言葉が、訳者・柳瀬尚紀が本書のために造語したか、少なくとも一般に広めたものである。訳出不可能とされたジョイス『フィネガンズ・ウェイク』の全訳を、造語を駆使して完成させたことで知られている訳者は、後書きで本書の翻訳作業を「《迷路》にはまり込む喜び」〉にたとえている。とはいえ、構えるには及ばない。気ままにページを開き、寝る前に読むだけでも、見たこともない世界の夢を見られる気がする。
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ハードカバーを買おうと思いつつ幾歳月。気がつけば文庫になってたのでようやく購入。文庫になってよかった。ずっと読み続けるとひどく疲れるので、携帯して何かの合間合間にちまちま数章読む進めることでなんとか読了。ハードカバーだとたぶん途中で気が向いたら読もうになってそのまま放置してただろう。
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ボルヘス入門に手に取ってみた。
辞典と言えど体系的な解説がある訳ではなく、古今の文献からの引用で構成されるのでよくわからないものもしばしば。それでもゲームや小説でお馴染みの空想上の生物の由来がわかって面白く読めた。
かなりの頻度で引かれる、名前だけは知っていたプリニウスの科学的に誤謬だらけの説明には失笑。
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「ちんばのウーフニック」が「足萎えのウーフニック」になってゐる他は、別に前の奴と一応同じ。スズキコージ大先生のチェシャ猫とか商羊、アルゼンチンの怪物はなんか来るのでそれもよかったのだが、スクォンクの絵他、増補改訂版な図像が入ってるので買ってしまった。
フランツ・カフカの書く生き物が結構あるのがなんか気になる。
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絶版のを読んだことはあったけど、新しい表紙が好みで買ってしまった。
物語の種であるボルヘスの、さらにその種という感じ。彼の編む怪奇譚集系に共通する、あの感じです。
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ボルヘスが古今東西の神話や文学作品から引く幻想動物群の辞書式排列、1974年。ウロボロス、ケルベロス、サラマンドラ、マンドレイク、ゴーレム、サテュロス、ミノタウロス、トロール、ガルーダ、キマイラ、クラーケン、バジリスク、アケローン・・・、どこかで目にした名前が並ぶ。
「オドラデク」
数ある幻獣の中でも、カフカのオドラデクは奇想として抜きん出ていると感じる。その形態が不可解なだけでなく、それが存在しているという世界そのものがまるで意味が分からない。
「バハムート」
世界の成り立ちやその起源を説明するためにそれぞれの文化が持ち出してくる動物たちの物語も興味をそそる。世界の土台のそのまた基層をなす巨大魚バハムートが自らまばゆい光を発しているがために人間には不可視である、という筋立ては示唆的だ。無限遡行を回避し、第一原因の実体化という形而上学をも否定しようとするなら、このように"人間理性の限界"を設定するしか方途はないのではないか。
その他、「ミルメコレオ」「墨猴」などに意表を突かれた。「コンディヤックの感覚の立像」「プラトン年」については本書で初めて知り、好奇心を刺激された。
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本書を読んでいて思いを巡らさずにはいられなかったのは、古代人にとって「実在」と「象徴」とはどのように区別されていたのか、ということ。近代的な実証主義を通過した現代人にとって、「現実の存在」と「想像上の存在」とは截然と区別される。しかし、mythos による世界理解がまだ優勢であった古代人にとっては、「象徴」もまた同様に「現実的な存在」であったのか。経験的事実に裏打ちされた事象のみが「実在」の資格を有すると見做す実証主義は、必ずしも普遍的なものではなく、歴史的に相対化されるものだということを改めて思い返した。
本書でしばしば参照される古代ローマの百科全書『博物誌』を物したプリニウスの眼に、世界はどのように映っていたのか。古代人にとって「虚構」とは何だったのか。そもそも古代人に「虚構」というものが在り得たのか。「虚構」という観念の歴史的起源はどこに設定されるのか。我々が幻想小説やSF或いはオカルトや都市伝説の類を面白がるというようなアイロニカルな構えは、やはり随分と現代的なもののように思われる。
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知識とは、その存在価値をその有用性によって測られる類のものではない。そもそも存在価値の有無を追及されるべきものですらなく、そうした追及に応答する義務もない。そうではなくて、集積され分類され排列された知識群は、その内容とは無関係に、それが lexicographical に整列配置されているというその存在形式ゆえに、美的なもので在り得るということ。そしてそこに美的なものを感じ取る感性が在り得るということ。ボルヘスのアンソロジーはそうしたことを気づかせる。図書館とは、まさにこうした知識群の美的な在りよう――カタログ化の美学、アーカイヴ化の美学とでも呼ぶべきもの――を具現化していると云えるのではないか。
「誰しも知るように、むだで横道にそれた知識には一種のけだるい喜びがある」