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伊坂幸太郎デビュー15周年として刊行された短編集。いろんな雑誌だとかアンソロジーに掲載されたものがまとめられたもので、伊坂幸太郎らしいものからそうじゃないものまで雑多な寄せ集め的な感じで、だからからか、最後にそれらをまとめた様な書き下ろしが加えられてます。短編集だから読みやすく、どれもそれなりに楽しめました。
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3ヶ月連続刊行の最後の本。なんでも文庫オリジナルは初めてとのこと。
2、3ヶ月前に読んだのにもう内容忘れているのが残念。1話目「浜田青年ホントスカ」が面白かったような……。
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「ジャイロスコープ」
ユーモア満載の7つの短編。
いつの間にか書店に出てくる、それが伊坂幸太郎の短編集作品。そんなイメージを勝手に抱いている。私から見れば、それはいつの間にか売られていても、伊坂幸太郎(もしくは、出版社)から見れば、それは練られたタイミングで売られているのだがら、物体の角度の違いなんだろう。
ラインナップは、以下の通り。
■浜田青年ホントスカ
■ギア
■二月下旬から三月上旬
■if
■一人では無理がある
■彗星さんたち
■後ろの声がうるさい
「浜田青年ホントスカ」の伊坂幸太郎の定番のような短編。相談屋という謎の職業を生業とする男の前に現れる青年。その青年は実は殺人者。相談屋と殺人者の間に生じるのは、殺す、殺さない、その選択であり、そこにはどこか無機質な空気が漂う。伊坂幸太郎が描く殺人者には、こういうちょっと浮世離れしていて文学チックな性格の人間が多い気がしますね。
「ギア」は、SFの世界観が独特。終わりはすっきりするものではなく、残りの想像は読者に任せたようになっています。「if」もその点では同じ分類かなと思います。「if」の方が、締めが好きですね。最後は正義が勝つところが良いです。
「二月下旬から三月上旬」
坂本ジョンが巻き起こす物語。伊坂幸太郎作品の中では、トラブルめいたものを引き起こしがちだが、どこか憎めないジョンのような人物を主人公とする場合、ちょっと気弱だけど真面目な人間をパートナーとすることが多い気がします。しかし、本作は、ジョンの大活躍な仕上がり。毎回思うのだけども、こんなキャラクターの人物と仲良くするのは、いくら憎めないとしても私には無理ですねw
「一人では無理がある」
”サンタクロースは子供を見離してはいけない!”。この言葉を以て「ジャイロスコープ」の中では一番のお気に入り。仕掛けとしては夢があるし、心地よい。また、結果オーライの申し子「松田」がとても良いと思います。こういうキャラクターを書かせたら、伊坂幸太郎の右に出るものはいないのではないかと思っていますw。「夜の国のクーパー」や「SOSの猿」のような浮世絵離れした世界観の作品を、今度はこのサンタクロース版で描いてほしいですね。
「彗星さんたち」
新幹線清掃係の仲間達による物語。新幹線に乗ってくる人々の生活をユーモラスに描いています。鶴田さんの人生を今後も応援していくだろうなと思わせる締め。だからと言って、原始人はさすがに、と私は笑う。
「後ろの声がうるさい」
新幹線に乗っている時、席の後ろの乗客が話していたらなんとなく耳を傾けてしまう。ましてや、その会話が有名女優が自分の新幹線に乗っているなんていうものだったら、余計気にしちゃいますよね。私は、芸能人見たことないんで、ちょっと見たい。そんな風景を描いたのが、本作。また、短編と短編が繋がっている仕組みもあります。伊坂幸太郎の短編集ではおなじみですね。どの短編が繋がっているかは、読んでからのお楽しみということで。
”十五年を振り返って”
伊坂幸太郎インタビューです。「ギア」と同じ世界観の短編として「ブギ」、「ギブ」があるとか、凄く読みたいのだけども、「夜の国のクーパー」へのちょっと熱く、切ない思いを語ったりとか、題名通りデビューを振り返るとか、色々満載です。一番のお勧めポイントは、長編と短編の思いの違いです。こういう考えを知ると、より一層その小説家の本の読み方が変わるので、私としては嬉しい限りですね。これからも書いてもらいたいので、だれか身近な人が「がんばりましたね」と言ってあげて欲しい。
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久しぶりに読んだ伊坂幸太郎。
いつもの感じと違ったけど、新幹線の話は好きだな〜!こういう妄想しちゃいがち!
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雰囲気の異なる作品が集まる短編集。
これだけ作品の幅が広ければ、だれでも一つは好きな作品を見つけられるのでは。
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なんだかんだ面白いのだけど、伊坂さんにしてはパンチ力に欠けるかな。書き下ろし短編でまとめようとしたことも裏目に出てしまった感じ。
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途中あんまり好きじゃないなと思ってしまったけど、一人では無理がある 以降はやっぱりとても好き。
「どんなことも、思っているほどは悪くないんだってよ」
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現実とコミックの境界線を行ったり来たりって感じ。伊坂さんらしいなるほどそうなるか~という部分はおもしろいが、大半はよくわからない(笑)
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文庫でのオリジナル短編集は、「伊坂さんってこういうのも書くんや」という、嬉しい驚きと面白さに満ちた魅力的なものでした。
収められている7つの短編を個別に振り返ってみます。
「浜田青年ホントスカ」
個人的には、この短編集の中で最も、というより唯一、従来の「伊坂幸太郎」さんらしい物語でした。
「相談屋」を営む男と「本当っすか?」が口癖の浜田青年の風変わりな交流を描いた物語…と思いきや…
思わぬ方向へと転換し着地する鮮やかな手際と、読後のドキドキする余韻が何とも言えません。
「ギア」
見知らぬ他人同士が乗り合わせたバス風のワゴンが荒野を疾走している冒頭から、全編に渡って乾いた不条理さが漂います。
読んでいる間、三崎亜記さんや筒井康隆さん、キングの初期の短編などを思い起こしました。
仮に何も知らないまま、前述の作家の誰かの短編って言われたら信じてしまったと思います。
「二月下旬から三月上旬」
こちらも、冒頭からしばらくは、キングのとある中編をイメージしたのですが、その後の展開と結末は全くちがったものとなりました。
「世にも奇妙な物語」の一エピソードとして、映像化してほしいです。
「if」
伊坂さん流の「復讐譚」あるいは「再生譚」といったところでしょうか。
あっけらかんと明るいわけではないけど、やるせないような暗さでもない、絶妙なさじ加減が心地よかったです。
章立てが、1、2ではなく、A,Bであるのがミソかな。
「一人では無理がある」
ミステリー調の出だしから、すぐに雰囲気は一転、とある冬の風物詩の舞台裏が愉快に真面目に描かれます。
ラストで冒頭のエピソードと見事に繋がり、爽やかな読後感に浸ることができました。
「彗星さんたち」
ここ最近、各種のマスメディアに取り上げられ、海外の方にも知られることとなった新幹線の清掃員にスポットをあてたファンタジーっぽいお話です。
随所に、アメリカの元国務長官パウエル氏の言葉が引用されていて、その言葉自体の良さと物語の持つ柔らかな温かさが印象に残る一編でした。
「後ろの声がうるさい」
7編を締めくくる書き下ろしの一編です。
これにより、書かれた時期も初出媒体もばらばらな前述の6編を、同じ世界の出来事としてまとまりのあるものにしています。
手塚治虫の「ブラックジャック」のエピソード「人生という名のSL」を思い浮かべました。
本レビューの最初に、伊坂さんらしくないという意味あいの表現をしましたが、最近文庫化された「PK」とか、完全版が刊行された「あるキング」などと共通するような語り口やリズムやストーリー運びであるようにも感じます。
従来の伊坂幸太郎さんのファンにも、そうでない人にもお楽しみいただけるのではないでしょうか。
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浜田青年ホントスカ
ギア
二月下旬から三月上旬
if
一人では無理がある
彗星さんたち
後ろの声がうるさい
1作目のみ既読。
『if』『一人では無理がある』『彗星さんたち』が面白かった。
この3作は伊坂さんらしさが感じられ、
なおかつほんわかした温かみを感じる短編、だったと思う。
あの時ああしてたら、こうしてれば…
誰しも1度ならず後悔することはあると思う。
それが叶った、、、のかと思いきやそうではない。
そうではないが、ある意味でやり直すことができた、
という『if』
サンタクロースを描いた物語は数あれど、
”サンタクロース”を不思議な力を持った人物ではなく
(不思議な力はあるが)”合理的・現代的な組織”として描かれた物語は初めて読んだ気がする。
内容は全然違うが『クリスマスを探偵と』を思い出し密かに比較しながら読んだ。
それにしても確かにサンタの仕事は『一人では無理がある』
新幹線清掃の仕事は確かに最近テレビなどでも取り上げられたりしている。けれど、その視点からあんなハートウォーミング且つ少し不思議な物語が生まれるなんてさすが伊坂さん。
伊坂作品にはしばしば”不思議なことが起きたかもしれないし、起きてないかもしれない”様などちらとも取れるような物語があるけど、私は不思議が起きてると思って読んでいることが多い。
とはいえ原人はやりすぎです(笑)
『彗星さんたち』
最後の書き下ろしは面白いと言えば面白いんだけど、正直後付け感は否めない。後付けだから仕方がないんだけれど。
相談請負人の稲垣さんは良かったけれど、ギアのセミンゴの取ってつけた感はどうも。
坂本ジョンに至っては本篇の方で私自身読後の整理がついていない。
二月下旬から三月上旬だけでもそのうち読み返そうか。
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短編集。おもしろい。ストーリーがないものもあればあるものもあって、最後にぐぐっとまとめてて、伊坂らしいじゃないか。とおもう。
でも、おれはやっぱり長編で、もっと登場人物に人生がある方が好き。
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『彗星さんたち』がかなり好き。
繋がる偶然って確かにあるし
それを発見できたらなんか↑アガるよねぇ。
* * * * *
お話としては『一人では無理がある』も好きなんだけど、ウチにはきてくれなかったので僻みを込めて。(笑)
ドライバーや鉄板の子も、その後幸せになってますように。
『羊男のクリスマス』と一緒に、
冬に再読したいな。
* * * * *
最後の、全員集合!みたくて楽しいおまけでした♪
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ほんとに話の組み立てが上手い。あぁ!そう繋がりますか!なんとまぁ!って。いろんなタイプの短編で楽しめた。展開も意外性があるし楽しいところとホロっとくるところとブレンドされてて。
全部良かったんだけど、特に『一人では無理がある』『彗星さんたち』。
インタビューがあってそれも良かった。頑張りましたね!これからも全部読むので楽しみにしてます。
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目次
・浜田青年ホントスカ9/8
・ギア
・二月下旬から三月上旬
・if
・一人では無理がある
・彗星さんたち
書き下ろし短編・後ろの声がうるさい
・十五年を振り返って
伊坂幸太郎インタビュー
後ろの声がうるさいで、この短編の登場人物を繋げようとしているのが、ちょっと無理やりなのに繋がっててすごいなぁと思いました。
3652のエッセイと同日並行で読んでたので、アレ?この話どこかで、ここと繋がってたのかと時間軸を確認して読んでしまいました。
お仕事小説の彗星さんたちが好きでしたが、ギアのセミンゴの想像図が脳内で色々変化をしています。ウルトラマン世代でないので、メトロン星人を調べてしまいました。後ろの声がうるさいの新幹線に乗り込んで、メモ書きのセミンゴを目で見て確認したいです。
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様々なジャンルの未収録短編集。
「浜田青年ホントスカ」
「ギア」
「二月下旬から三月上旬」
「if」
「一人では無理がある」
「彗星さんたち」
「後ろの声がうるさい」
の7編+インタビューを収録。
伊坂さんらしい作品かららしくない作品まであって、基本的にはつながりもなくいのですが、書き下ろしの「後ろの声がうるさい」でそれまでの作品をつなげているのはさすがです。
「ギア」には「ギブ」「ブギ」という未収録の続編短編がある様だったりするので、本当はセミンゴものとして一冊にしてほしかったです。
いろいろ挑戦的な短編が多くて、戸惑いもしましたけれど、後半の作品は安心して読めました。