紙の本
直木賞候補…?
2017/10/18 14:46
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投稿者:名無し - この投稿者のレビュー一覧を見る
あまり焦点にならない兵士を主人公にした青春物。青春、と片付けてしまうには環境と代償は大きいけれど軽やかなタッチで書かれる戦場の日常ミステリー。参考文献に挙げている海外ドラマと原作を参考どころかエピソードをそこかしこで使っているので「パクり…?」と感じてしまうのが傷。直木賞候補の基準って何だろう、と余計な事が浮かんでしまう。
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今年読んだ本で一番いい。日本人が書いたとは思えないくらいアメリカやドイツの軍隊や兵士の描写がリアルで手に汗握って読みました。
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1944年、合衆国軍のコック兵となった19歳のティム。彼と仲間たちが戦場で遭遇したささやかだが不可思議な謎とは――戦いと料理と〈日常の謎〉を連作形式で描く、著者渾身の初長編!
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第二次大戦中のアメリカ兵のコックが出会う日常の謎という触れ込みだが、戦場なだけに死体はたくさん出てくるし、情景描写もかなり鮮明。そのため雰囲気は暗いし、読みにくい部分も多い。ミステリ部はネタだけを取り出せば目新しいものでは無いが、戦場という舞台をうまく絡めている。
オチはキレイにまとまっているため、読了感は良い。
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第二次大戦、欧州戦線に配属された炊事兵の日常、そして兵士たちの戦いを描く。たわいもない事件の謎解きからゆっくりと始まる作品は、やがてキーとなる人物の突然の退場と、戦友の驚くべき過去を軸に一気に回転し、影の薄い「ワトソン」でしかなかった主人公を名実ともに主役の座に押し上げる。軽妙なタッチでいながら、戦争の矛盾や闇、忘れられた傷病兵の暗い姿、過去から逃れられない帰還兵たちをも同時に描写し、深い味わいを残していく。
冒険小説のカテゴリーへ入れてもいいと思うが、久しぶりの本邦作家の力作だった。満足です。
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頭から尻尾まで豊かな読み心地で、作品の世界にのめりこめる。第二次世界大戦を舞台に、アメリカ軍の若き兵士たちの戦場での毎日を綴りながら「日常の謎」解きをプラス。主人公たちが戦闘もおこなうがメインの仕事は料理というのがひと味ちがう。「暗唱シーン」、大好きです。ごく普通の若者たちが次第に狂気に呑まれていく過程が、人を殺めて賞賛される戦争そのものの異常さを浮き彫りにする。
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日本の小説には珍しい欧州戦線が舞台。
アメリカ軍のコックや衛生兵たちが軍隊の中で起きる不可思議な事件を推理する。
戦場が変わるたびに物語の舞台も変化する、登場人物の重なった中編連作小説。
ミステリーとはいっても、事件に纏わる出来事や背景が戦時中ならではばかりの事なので、隊員たちの心中を思って胸が詰まる。
最後の捨て置かれたユダヤ人強制収容所の姿は、目を覆いたくなるほどだった。
あの時代に生き、あの戦争をくぐり抜けて今を生きている年配の方々は、少なからず同じような苦しみを胸に秘めているのかもしれない。
2016/02
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戦場に帰りたくなる。こう書かれていたとき、どうしてだろう、と腑に落ちませんでした。だけど、続く、おいていかれたくない、自分の知らないところで戦況が変わる、家族同然の仲間が死ぬのはいやだ、という主人公の思いにはっとしました。
仲間外れにされる恐怖というのは、だれしも持つものです。戦場は兵士の居場所で、そこから爪弾かれるのはおそろしいのかもな、と思いました。だけど休暇はほしくて、でも、戦場には戻りたい。この矛盾にキッドの青春を感じ、死んでいった仲間たちを思いました。戦場が青春。死の記憶に結びつきながら、それはぎらぎら輝いているようです。
読みはじめてすぐにあっこのひと死んじゃう、と思っていて心の準備をしていましたが、それでも最後のあたりでうるっとしました。あの遺書はやさしさのかたまりです。大好きです。
きっとあの遺品の最後も、あの子らしく、もういいだろ、と去っていったんだと思います。もしかしたら親友に向けた謎かけかもしれません。
よく生きてからこっちに来いよ、答えはそんなところです。
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ノルマンジー上陸作戦以降に欧州戦線に参加した米国の若者を主人公にした、戦記、ミステリー、友情物と成長譚それぞれの要素が詰まった物語。
まるで翻訳物のように米軍内の生活が自然に描かれ、中でも戦闘シーンの臨場感は特筆すべきであろう。
ミステリー的エピソードが各章の核をなすのだが、子供っぽい雰囲気になってしまうので、全体のバランスからすると、ない方が良かったのではないか。
ただ、それを差し引いても、今年の収穫に入る一冊であると思う。
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ノルマンディ作戦から終戦までのフランスを舞台にした物語。
主人公は合衆国陸軍の特技兵であるキッド。彼とその仲間たちの2年間。戦場という非日常の中での「日常の謎解き」はほのぼのとしていておだやかに過ぎていく、の、かと思っていたが、もちろんそんなはずもなく。
戦争は世界から多くのものを奪った。生き残った者たちも誰もが大きな喪失を抱えたまま生きている。
戦争、絶対いやだ。
(ソーセージと林檎の円盤ローストが食べたい)
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前に読んだ同じ著者の『オーブランの少女』は繊細なイメージだったが、これは全然ちがう骨太なテイストで驚いた。(どちらも素晴らしい。)
ノルマンディー上陸作戦に従軍したアメリカ軍コック兵ティムの目から見た第二次大戦。
帯には”コック兵が戦場で出会う日常の謎”と書いてあり、たしかに戦場での料理や、粉末卵600箱が一晩で消えるとか不要なパラシュートを集める兵士の謎などを解き明かす過程も面白い。しかしそれよりもやはりこれは戦争小説で、読み進むにつれてどんどん悲惨になる戦場、死んでゆく仲間たち、戦場の狂気に飲み込まれて変わってゆくティムの気持ちなどに胸が詰まった。
今年一番泣いた本。
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デビュー作が良かったので期待してました。
しかし、前作とは打って変わって戦場!
大変な力作で、また次の作品が楽しみ。
バンド・オブ・ブラザーズ観よう。
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外国の人が書いたと思うくらい、大戦中の米軍内の様子がしっかりと書かれていて最後まで飽きる事なく読めた。
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第2次世界大戦でヨーロッパに派遣されたアメリカ軍兵士。
主人公のキッドことティムはコック兼兵士としてヨーロッパ戦線を戦う。その中で起きる、戦争という日常の、日常の謎の短編連作ミステリ。
まず、ここまで書いて「戦争という日常」という単語の違和感だが、実際に今の時代も戦い続けるのが日常の方々は居るわけである。
「戦争という日常の謎系ミステリ」は、冷静で落ち着いたメガネのエドを名探偵役に置き、みんなにお子様扱いでキッドと呼ばれる素直なティムのまなざしを語り手に置いて、実に正統派である。
戦争については、ほんとにあっという間に人が死ぬなぁ……という印象。
ネタバレしないように内容についてどう書いていいかわからないのだけれど、久しぶりにハードカバーで2段組みで読みでがあるはずなのに、あっという間に読み終えたくらい面白かった。
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もしも、本当にもしもだが
今、戦争になったら、戦争に行くことになってしまったら
こんな感じかもしれないと思った。
第2次世界大戦のころの米軍。
日本の軍隊とはやっぱり雰囲気が違っていた。
何もかもガチガチに管理されるというより
もうちょっと自由な感じもあった。
それでも、戦争なので綺麗事で済むはずはなく、
俺、コックなんだけど。。。なんてことは言っていられなくなる。
殺されないために敵を殺すことが日常になっていく。
その恐怖や緊張感がすごく伝わってくる。
そこの間に挟まれるのが、スカッとしたミステリーである。
これがなかったら、読み進められなかったかもしれない。
敵、味方の線が分かれただけで
なぜ殺し合わなければならないのか?
そんなことを考える間もなく進むのが戦争なのかもしれない。
大事な人が死んだら、取り返しのつかない悲しみがあることがわかるのに
それでも、目の前に立つ、名も知らない誰かの命を奪ってしまうことはできる。
ただ、勝って早く戦争を終わらせたい!早くうちに帰りたい!
誰もが願うのは、そんなことだったかも。
だからこそ、日本への原爆投下もあっさりと描かれている。
ああ、これで戦争が終わる・・・と。
大事な友達を失う絶望感は凄く伝わってきた。
そして、絶望から立ち直りを見せるのもミステリーだった。
敵も味方も、結局はこれだけのことだと言われたようだった。
温かいエピローグ、私は好きです。
壮絶で悲しいけど、なぜかホッとできました。
はじめての深緑さん、とってもよかった。