投稿元:![ブクログ](//image.honto.jp/library/img/pc/logo_booklog.png)
レビューを見る
これは超傑作!今季最高!舞台は80年代の北海道大学柔道部。今は小説家の作者の実体験に基づいたノンフィクション。旧帝大柔道部、そして体育会の素顔が見えてくる。納得の星4つ
投稿元:![ブクログ](//image.honto.jp/library/img/pc/logo_booklog.png)
レビューを見る
熱かった。
どうしてここまで、うちこめるのか
私にはわからないけれど
とてもうやらましい。
こんな一体感を得てみたい。
投稿元:![ブクログ](//image.honto.jp/library/img/pc/logo_booklog.png)
レビューを見る
大学と世代は違えども、同じ七大柔道とともに大学生活を過ごした者として、自然と自分の体験と重ね合わせながら読んでしまう。
ひたすら続く苦しい練習、独特のイベント、個性的な先輩、柔道部に入っていなければ決して存在すらも知ることがなかったであろう飲み屋、そして七大戦での失意と歓喜・・・当時の記憶が体験として鮮やかに蘇ってくる。
あまりに自分の経験と重なることが多く、逆に一般の読者にはどう受け取られるのか全く想像がつかないが、このような本を世に出してくれた著者に感謝。
投稿元:![ブクログ](//image.honto.jp/library/img/pc/logo_booklog.png)
レビューを見る
期待に違わぬおもしろさで一気読みした。柔道部分のアツさは当然のことながら、同じ学校で時を過ごしたものとしては日々の学生生活のちょっとしたディテイルがいとおしい(自分の方が後輩だけれども)。北24条宝来のチャン大、18条の正本の梅ジャン、生協クラ館店、樽商定期戦……。かの名作「動物のお医者さん」が獣医漫画であると同時に「北大漫画」であるのと同様、この作品も柔道小説であるのとともに「北大小説」なのだといえよう。
P.S.しかしこれ続編前提だよね、この終わり方は……。
投稿元:![ブクログ](//image.honto.jp/library/img/pc/logo_booklog.png)
レビューを見る
柔道の世界で頂点を目指すわけでもなく、ただただ七帝の闘いの勝利に全てをかける男たち。
勝ったところで周囲に評価されるわけでもなく、国立大学というエリートでありながら自ら厳しい道に進む姿勢は損得では図れないものである。
「なぁ、辞めんなよ。最後までやれば絶対にいいことがある・・・」
四年生の言葉の重みが、全てを物語っているようだ。
投稿元:![ブクログ](//image.honto.jp/library/img/pc/logo_booklog.png)
レビューを見る
あのバブルの時代、人手不足といわれ、学生バイトでもいい給料をもらえたり、学生でも株で大儲けして、車やDCブランド(死語?)を買い漁ったりできた時代に、来る日も来る日も、道場やグラウンドで、汗まみれ、土まみれになって、上級生、同級生、ときには下級生にプライドがずたにずたになるまで叩きのめされ、アパートの階段がのぼることすらままならなくなるまで練習し、時には「何故、こんなことをやっているのか?」という考えがありました。
でも、そういった迷いが消えたとき、「今、そこにある問題」に取り組むことの大切や、今そこにある問題に対処しながらも時代に流されないで大局的に物事を見つめる目を養われていったのではないかと感じています。もちろん、20年前の若い自分を思い返した時に、「どうしてもっとこうしなかったのか?」思うことがありますが、「今、その時に自分にできることを考えつくして、やりつくした」自分であった時に、悔いることなくその自分を受け入れることができているんじゃないかと感じています。
投稿元:![ブクログ](//image.honto.jp/library/img/pc/logo_booklog.png)
レビューを見る
内容(「BOOK」データベースより)
「七帝柔道」という寝技中心の柔道に憧れ、二浪の末、北海道大学に入学した。しかし、柔道部はかつて誇った栄光から遠ざかり、大会でも最下位を続けるどん底の状態だった。他の一般学生が恋に趣味に大学生活を満喫するなか、ひたすら寝技だけをこなす毎日。偏差値だけで生きてきた頭でっかちの少年たちが、プライドをずたずたに破壊され、「強さ」という新たな世界で己の限界に挑んでいく。悩み、苦しみ、悲しみ、泣き、そして笑う。唯一の支えは、共に闘う仲間たちだった。地獄のような極限の練習に耐えながら、少年たちは少しずつ青年へと成長していく―。
投稿元:![ブクログ](//image.honto.jp/library/img/pc/logo_booklog.png)
レビューを見る
あの「木村政彦はなぜ力道山を殺さなかったのか」を書いた増田俊也氏が井上靖の「北の海」にオマージュをささげる自伝小説
木村政彦、井上靖、増田俊也をつなぐのが旧帝国七大学に伝わる柔道である。講道館柔道と反目し、もてあました講道館側が排除したとされる七帝柔道の魅力に惹かれて北大柔道部に入った主人公の目線で描く青春が素晴らしい
世は1980年代、日本がもっとも華やかで金持ちで国をあげて浮かれまくっていたあの時代のあぶくの象徴ともいえる大学、その中で彼らだけは春夏秋冬明けても暮れてもすさまじい猛練習漬けの日々を送る。
彼らが突き進む一つの到達点はは七帝柔道大会での最下位脱出、強豪北大の復活だけを目指しているのである。そのためには県警の精鋭にボコボコにされても高校選抜にプライド引き裂かれても、失禁しても泣き喚いても何でもしよる。その執念そのすさまじさはもう本書を読んでもらうしかない。ここを読めば作者が「木村政彦は・・・」で木村政彦VS力道山戦に対する結論を導き出した背景がすごく良く理解できる。
柔道小説として卓越しているだけではない、青春小説としてもすごく良くできた作品である。ハラスメントの代名詞となってしまった日本柔道会、しかし彼らにはそんな世界はない(あくまで物語上だが)。確かに心も体もボロボロになるまで鍛え苛め抜かれるが、それはあくまで柔道でのことのみ。普段は体罰などなく、言いたいことは先輩後輩関係なく発言し、先輩は後輩を想うから自然発生的に後輩は先輩を敬う。なんともすっきりと爽やかな生き様が読んでいて心地よかった。
俺も頑張ろうと思える小説・・・彼らを思えば「もうあかんわ」なんて言葉は安易に吐けなくなること間違いなし。すぐにジャージに着替えて走りこみと筋トレしたくなってしまった。
主人公はまだ大学2年目、中退が4年と著者略歴に書いてあったから、後編も是非期待したいところである。
投稿元:![ブクログ](//image.honto.jp/library/img/pc/logo_booklog.png)
レビューを見る
「木村政彦はなぜ力道山を殺さなかったのか」の著者による自伝的小説。
同書でも大きな位置を占める「七帝柔道」にどっぷり浸かった北大入学後の一年を描いたもの。
前書で七帝柔道なるものの存在を知り、興味を惹かれた私は、現在主流となった講道館柔道とは対極に位置する謂わば影の存在であり、旧七帝大対抗戦である七帝戦でのみ戦われる七帝柔道とそれに全生活を捧げる主人公らを描いた本書に抵抗する術を持たなかった。
580ページ、一気読みでした。
投稿元:![ブクログ](//image.honto.jp/library/img/pc/logo_booklog.png)
レビューを見る
北海道大学柔道部を舞台とした七帝柔道の物語。旭山動物園の小菅園長がOBで彼のゴング格闘技での「旭山動物園の復活は北大柔道部から学んだ」のいかが本質を表している。
北大時代、史上最強の「分け役」として活躍した小菅の一期下の佐々木洋一(後のコーチ、中井祐樹育ての親)は、小菅と話し合ったチーム論が忘れられないという。
「虎の穴に入ってくる人間は、既に選ばれた虎の子であることが多い。今の柔道界はそういう虎の穴を作りたがっている。全国から強い奴、初めから素質のある選手を呼んで英才教育で育てる。でも、北大はそれをやらずに狼を育てようと。北大に入ってくるのは虎じゃない、狼ですらない。羊の群れだ。それを虎にするのは所詮無理な話。でも狼に育てることはできる。1頭の虎の子を見つけ出し本物の虎を作る努力を羊に対してすれば、10匹の狼ができる。その10匹の狼は1頭の虎というより強い。虎の子中心の練習では、10匹の狼は作れない。どこのチームも怪物を求めてる。確かに怪物が入ってきたら、その瞬間は強くなるけど、それが抜けたらガクっと落ちてしまうよ」
怪物がいることで、周囲の選手がその怪物に頼ってしまうこともある。それぞれの狼が特性を活かし、役割を果たすことで、チームとして強くなれるのだ。
投稿元:![ブクログ](//image.honto.jp/library/img/pc/logo_booklog.png)
レビューを見る
北海道大学に七帝柔道をやるためだけに入った作者の自伝小説。七帝柔道(高専柔道)は、立ち技より寝技を中心とした柔道。いわゆるJUDOと比べると地味。しかもほとんど世間の話題にも上らず、スポーツニュースとかでも取り上げられない、正直マイナーな格闘技に、すべてをかける主人公。読んでいて、本当につらい。毎日、毎日死ぬほどの思いをして練習し、毎日落とされ、強くはなっても、直前でけがにより大会に出れない。また出たほかの仲間も結局負け、七大学中、最下位。何で続けるのか?わからない。でもある意味、柔道に対する真摯な対応と純粋な気持ちが見えてきて好感が持てた。自分ではやれない。
投稿元:![ブクログ](//image.honto.jp/library/img/pc/logo_booklog.png)
レビューを見る
柔道に全く興味がないのだけど、本の趣味が似てる方から紹介されたので読んでみた。
読んでるだけで苦しくなる小説。憧れる事のない世界だけど、でもこんな世界を体験した人たちはその後どんな精神力で生きていくのだろう、と気になる。
投稿元:![ブクログ](//image.honto.jp/library/img/pc/logo_booklog.png)
レビューを見る
80年代の北大を舞台に、旧七帝大のみで行われている寝技中心の柔道に大学生活のすべてをかける主人公を描いた、作者による自伝的青春スポーツ小説。
寝技は、才能やセンスではなく練習量こそがその強さを決するとのことなので、主人公と仲間達はひたすら練習に明け暮れるわけなんですが、だからこそ、マイナーでほとんど注目されることのない競技と向き合う姿勢の純粋さが際立ち、心を打ちます。
大学生活を描いていながら、恋愛的な要素が一切ない(というかほとんど女性が登場しない)点にも、ある意味潔さを感じました。
投稿元:![ブクログ](//image.honto.jp/library/img/pc/logo_booklog.png)
レビューを見る
わくわくして爽快な感じは全く無く、ひたすら熱く寝技柔道を追求する話です。こんなにも1つのことに熱く没頭できるって素晴らしいなと思えます。
心理描写もきっちりと描かれており、人物もそれぞれ個性的なので非常に読みやすかったです。
投稿元:![ブクログ](//image.honto.jp/library/img/pc/logo_booklog.png)
レビューを見る
ひたすら熱い自伝的青春小説。井上靖の自伝的小説「北の海」に通じる、寝技柔道にかける男たちの男くさく汗臭い物語です。のめり込んで、一気に読み終わってしまいました。
主人公の増田が入ったのは、北海道大学柔道部。来る日も来る日も辛い練習に耐えます。それは、年に1度の旧七帝大による柔道大会で勝つため。その打ち込みっぷりがすごい。尋常ではない、異常とも言えるようなハードな練習に、這いつくばって、食らいついていきます。そこでバカなこともやりながら成長していく登場人物たちの魅力的なことと言ったらありません。読んでいて、柄にもなく熱いものがこみ上げてきました。
小説から離れて私自身の学生時代を振り返ると、大学5年間はオリエンテーリングというマニアックなスポーツをやっていました。一般に知られていないマイナーぶりで言ったら、寝技中心の「七帝柔道」に通じるものがあります。年に1度のインカレが一番の舞台で、それを目指して一年を過ごしていました。私自身、あまり速い選手になれませんでしたが、それでも、年に一度の高揚感、大学ごとの一体感。リレーの応援に喉をからしたのを思い出しました。スポーツとしての打ち込みぶりでは「七帝柔道記」ほどではなかったですが、それでも、年に1度の大きな目標に向けた日々というのはその後の私が生きていく上で大きな財産になっている気がします。
もう一度、小説の方に話を戻します。大事な「七帝」の直前に怪我をして入院することになった主人公の増田。そこで自分を見つ直し、北大に入学できたり、柔道で強くなれたのは「たまたま」だったのだと思い至ります。
「たまたま与えられた環境や、天から貰った才能なんて誇るものでもなんでもない。大切なのは、いま目の前にあることに真摯に向き合うことなのだ。自分がいま持っているもので真摯に向き合うことなのだ」
ーー柔道で体を鍛えながら、精神面も成長していたのです。
とにかく、熱くて面白い小説でした。増田氏の他の小説も今度読んでみようかと思います。