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広島の原爆投下に居合わせてしまった人々の哀しい物語の短編集です。「石の記憶」は中でも印象に残りました。
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夏が来るたびに、八月が来るたびに。
今まで何冊の戦争の本を読んできただろう。何冊読んでもこの身体に、この心に、目に見える傷は残らない。けれど繰り返し本を読み、声なき声に耳を傾け、そして次の世代に手渡していかなければならない。それはもうこの世界に生まれた一人の人間としての定めだと、そう思う。
一瞬で何万もの人の命を奪い、その後何十年とその身体と心を痛め続けている原爆という悪魔を二度とこの世に生まれさせないために、私たちは何冊でも本を読み、何度でもその声を伝え続けなければ。生き残ったことが苦しみとなるような、そんな世界が二度と来ないように祈り続けていかなねば。
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何度も何度も書き継がれてきた、「あの瞬間」だから、どの描写にもどうしても既視感がある。
方言は、去年観たあの映画ののんの柔らかい語り口で再生されてしまう。
新しい衝撃はなかった。
あと、吝嗇と悋気を間違ってるような…。
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五つ作品で、8月に読むべき。真摯、静謐というのがいつもこの著者の作品の読後感。まっすぐ深いところに届く物語。
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原爆に命を奪われたのは、ささやかな日常を生きているふつうの人たちでした。多くの命が一瞬で奪われることの恐怖、そしていつまでも消えない苦しみを静かに描いた連作短編です。10代に強くおすすめしたい、大人までみんなに読んで欲しい1冊。
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繁内理恵さんの『戦争と児童文学』でくわしく紹介されていて、まだ読んだことがなかったので。
さまざまなバージョンがあるようなのだけど、単行本に2編足したこちらの電子版を読みました。
その日に起きることはだれもが知っているけれど、そこにはひとりひとりの事情があり、状況があり、けれどもそれがすべて「○十万人」という数字で述べられるだけの圧倒的な暴力の前になぎ倒されていく。すさまじいことだ。
生きのこった者がまるで加害者のように自分を責め続ける「水の緘黙」がいちばん胸に迫ってきて何度も涙がこみあげた。
「あなたでも私でもよかった。焼かれて死んだのも、鼻をもがれたのも、石に焼きつけられたのも。あなたでも、私でもあった。死ぬのは誰でもかまわなかった」
「だからこそ、あの日を記憶しておかなければと思うのです。あの日を知らない人たちが、私達の記憶を自分のものとして分かち持てるように」
「サバイバーズ・ギルト」は、『アリとダンテ~』にも描かれていた。あちらはベトナム戦争。悲惨しかうまない。