投稿元:![ブクログ](//image.honto.jp/library/img/pc/logo_booklog.png)
レビューを見る
難しいし重いし暗いが、発想の面白さと奇抜さが良い意味でとっぽくて抜き出ている。
解説を読むと、自分の見たものや趣味を反映させているようだが、それもまた非常にディック的でヤバくて良い。
投稿元:![ブクログ](//image.honto.jp/library/img/pc/logo_booklog.png)
レビューを見る
DX9という日本製の歌唱ロボットが落下するという共通設定を持った、主に世界の紛争地帯を舞台にした短篇集。
解説にもあるように本書はこの主役ともいうべきロボットについての描写(容貌・落下状態など)が割愛されており、それ以外の世界描写が緻密な分だけ妙に幻想的。
「ヨハネスブルグの天使たち」4
「ロワーサイドの幽霊たち」3
「ジャララバードの兵士たち」3
「ハドラマウトの道化たち」4
「北東京の子供たち」4
投稿元:![ブクログ](//image.honto.jp/library/img/pc/logo_booklog.png)
レビューを見る
書かされている、のだ。
上質なSFでありながら、SFの形を借りて全く別の命題を書いている要素も、ある。
所謂ポスト新本格、がミステリの形をしているけれどそこから更に踏み込んでいるのと、同じ構造なのかもしれないですね。
良い意味で書かされている、というか。
避けては通れない、というか。
「なんで小説書いてるんですか?」と訊かれて、それが分かるんなら小説なんて書いてない、と応えたのは村上龍だったかと思うけど、
そういう、なんていうか…漠然と、ただ筆を執らせるもの、というのがあるよな、と強く感じました。
投稿元:![ブクログ](//image.honto.jp/library/img/pc/logo_booklog.png)
レビューを見る
全体的に内省的で様式美に溢れてる作品。現代人の苦悩とかクソどうでもよくて、さすがに「北東京の子供たち」だけは読むに耐えなかったけど、「ジャララバードの兵士たち」、「ハドラマウトの道化たち」はエンタテインメントとして面白く読めた。事実の調査や盛り込みはすごいと思う反面、wikipediaを並べた小説(もちろん、この作品は違うけど)のように見えてしまって、やり過ぎはあまり好みじゃない。事実は小説よりも奇なりのフックを超えたやっぱり小説の方が奇なりを期待して、著者の近作を読もうと思う。
投稿元:![ブクログ](//image.honto.jp/library/img/pc/logo_booklog.png)
レビューを見る
一話目、「ヨハネスブルクの天使たち」の冒頭数ページからはとてもこんな作品だとは予想できなかった。良い意味で裏切られた。
DX9という味気ない名前しかつけられていない日本製のロボット、通称“歌姫”が流通している架空の近未来が舞台のディストピアSF短編連作集。時代はおそらく2040〜50年代くらいか。
DX9、あるいは天使たち、は作品の軸ではあるけれども、具体的な外見の描写は控えめ。耐久性が恐ろしく高い、ということ以外ほとんど分からない。あえて抽象的に描いている感じ。
海外、特に中東やアフリカの内戦や戦争の記述が非常に詳しい。参考文献が各話の最後に記載されているが、執筆にあたり調査が徹底していると感じた。
文体は少しクラシックというかスノッブ気味に感じるところもなくはないけど、読みにくいとまでは言えない。ただ、短編連作というスタイルが効果的に発揮されているかは少し疑問だった。一つ一つの物語が少し物足りなく感じられたので、一本の長編という形を取った方がより面白く読めたかも。
投稿元:![ブクログ](//image.honto.jp/library/img/pc/logo_booklog.png)
レビューを見る
巻末の解説にもある通り、"歌姫" と称される歌唱用のロボット DX-9 が、本来の用途を離れて転用され「人の死」に密接に関わる場所で落ちる、と言う短編が繰り返される。
女性型で「よくできたペッパーくん」とも言うべき量産品であり、廉価で高耐久なので盛んに目的外利用された、という設定である。
しかし、この「ボディつき初音ミク」が物語上の必然性を持っているかと言うとそうでもない。その点で『南極点のピアピア動画』(野尻抱介)とはかなり異なる。
この物語では「天使たち」は重要なギミックではあるが問題を解決しない。基本的には傍観者であり、そこから外れる時はたいてい死をもたらす。つまり「死の天使」なのだ。
投稿元:![ブクログ](//image.honto.jp/library/img/pc/logo_booklog.png)
レビューを見る
廃墟から少女型ロボットが落下する連作短編集。ヨハネスブルグで何千もの天使が空から降り注ぐ。表題作がセンセーショナルで心を掴まれた。紛争、民族、宗教に深く切り込む、伊藤計劃を彷彿とさせるテーマ性。作中での外見描写はほぼ皆無だが、歌姫ロボットDX9は某ボーカロイドを連想させる。 最後の短編、北東京の片隅で歌い続けるDX9に、海に沈む夕陽のような美しいものを感じた。
投稿元:![ブクログ](//image.honto.jp/library/img/pc/logo_booklog.png)
レビューを見る
登場する歌唱ロボットは初音ミクを意識していると思いますが、DX9はシンセサイザーのベストセラー機DX7の廉価版。あまり売れなかったようでちょっと残念な感じがイメージにあってるのかもしれませんね。?
投稿元:![ブクログ](//image.honto.jp/library/img/pc/logo_booklog.png)
レビューを見る
日本製ホビーロボット・DX9と世界各国の巨大建築物を主軸とした短編集。物語の舞台は南アフリカ、アフガニスタン、イエメン、NY、そして日本と多岐に渡るが、全て戦争(民族紛争やテロ)を題材とする。当初の目的をとうに見失い、終わりの見えなくなった勝者無き争いの戦火を生きる登場人物たちの虚無感が重くのしかかってくるが、それでもしぶとく生き抜こうとする彼らの意志に胸を打たれる。SFではあるが、あくまで味付け程度に留められ、文学作品に限りなく近い質感の作品。直ぐに答えは出せずとも、人は歩み続けることが出来るのだから。