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ちくま文庫でもヘレン・マクロイが読める喜び
2017/05/19 23:52
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投稿者:J・P・フリーマン - この投稿者のレビュー一覧を見る
ベイジル・ウィリングシリーズ、相変わらず面白いなあ。12年ぶりに現れた親戚が殺されてしまう。長い間会いもしなかった人間がなぜ殺されたかという謎と、匿名の脅迫電話の目的が必ずしも符合しないことが事件を複雑にしていました。
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まさに絶品
2015/09/19 08:52
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:本格ファン - この投稿者のレビュー一覧を見る
ウィリング博士が精神科医探偵らしい活躍ぶりをこれほど見事に見せてくれたのは、今まで翻訳のある長編の中でほかにないのでは。これが本来のウィリング博士か、と再認識させられる。
それと、なにより人物の描き分けがうまい。不幸な生い立ちを背負っているようで、どこかあばずれっぽいフリーダ、繊細に見えて意外と芯の強そうなイヴおばさんなど、個性たっぷりの登場人物たちがお話を盛り上げてくれて、普通小説として読んでも読み応え十分。
謎解きもクライマックスの演出も本当にお見事。そうか、こいつなのか、と思って納得したとたん、いきなりひっくり返される。壮絶なラスト・シーンはまさに圧巻。
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『暗い鏡の中に』『幽霊の2/3』などで知られるヘレン・マクロイの初期長編で、精神科医ベイジル・ウィリング博士を探偵役に据えたシリーズのひとつ。
マクロイは創元推理文庫で邦訳が出ているが、本書はちくま文庫から刊行となった。
一見すると長閑なロマンス小説にも思える舞台設定から、謎の電話、終盤に向けての盛り上がり……と、マクロイの特徴がよく出ている作品だった。パズルのピースがはまるように、それまでの伏線が回収されるのはいいのだが、肝心のクライマックスに、やや平板な印象を持ったのが残念なところ。
ともあれ、版元もふたつに増えたことだし、このまま他の未訳作品も刊行して欲しい。
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これが1940年代に書かれていたというのがスゴイ。丁寧な人物描写でメインキャラは5~6人しか居ないにもかかわらず、その中の容疑者を絞らせない。ある程度予測はつくものの最後までしっかり読めるし、ちゃんと”名探偵皆を集めて・・・”というセオリー通り。
しかも一番の驚きは二重人格というサイコ調の味付けが単にスパイス以上のレベルでしっかり物語に取り込まれていること。この時代に二重人格なんてまだまだ物語に取り込みにくいテーマだったろうに。
しかもそれにおぼれることなく犯人はちゃんと設定してあるのがうまい。
新訳だと思うけど、これまた読みやすかった。
以前から名前は聞いていたが今回初めて読んで、まだまだ知らない作家が多いことを痛感。
他の作品も読まないと!
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初、ヘレン・マクロイ。
面白かった!
狭い舞台に限られた容疑者達。単純なプロットでありながら、最後まで犯人を絞り込ませない上手さがある。登場人物達の個性も明快で、心理描写も読み応えあり。
ラストが少し端折り過ぎで、腑に落ちない箇所もあるけれど、古さを感じさせない良質な古典ミステリーだった。
次は何を読もう。
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珍しくちくま文庫からマクロイ。ウィリング博士シリーズの長編である。
ナイトクラブの歌手フリーダが匿名の電話の警告を無視して婚約者の実家を訪れたことから起こる波乱。彼女の部屋が荒らされ、ついには殺人事件が起きる…
容疑者は少ないがそれぞれ心理描写が克明に描かれ、サスペンスが盛り上がる。真相は今読むとなるほどと思うが、当時は新鮮だったと思われ。タイトルもおしゃれ。
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古い推理小説であるが、謎解きがメインで非常に楽しめる。登場人物が少なくて、犯人になり得る人物も少ないのだが、最後の最後までこの人が犯人だと確信できないプロットが出色である。精神科医のウィリング博士が謎を解き明かすシリーズの4作目(邦訳は2作目)にあたる。マクロイの処女長編「死の舞踏」に続いて読んだが、このシリーズはあまり一般人と接点がない精神科医が謎解きをするのが面白い。シリーズで未翻訳のものもあるので、出版して欲しいと切に願う。翻訳も素晴らしく、非常に読みやすい。一番おもしろいところはネタバレになってしまうので、ここで紹介できないのが残念だ。
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匿名の警告電話を受けたフリーダは、婚約者にも話さないまま警告を無視して婚約者の実家へ向かう。
ふたりが到着してから何者かがドアをノックしたり、再び警告電話がかかったり、フリーダの部屋が荒らされたりする。そんな中、ついに毒殺事件が起きる。
何か面白そうな本はないかなあと本屋さんを物色中、たまたま目にとまった作品。
「あなたは誰?」という、少し昔の海外ミステリー映画のようなたいとるに惹かれて購入。
一言で言うと、なかなか面白かった。
ひとつの毒殺事件だけなのだが、文章が上手いのか読ませる。
所謂、田舎と呼んでいい場所で容疑者も絞られ、誰もが怪しそうでいて誰もがそんな事をしそうにもない。
ミステリーの舞台設定の、これぞ定番という形だ。
このよくある感じが、却って新鮮に感じる。
ポルターガイストや二重人格というものを作品に織り込んでいるのも、現代ではまた新鮮だ。
作品が書かれた頃では、本当に新鮮だったことと思う。
この作品は精神科医ウィリングシリーズのひとつ。
このシリーズは長編だけでも13もある人気シリーズだったようだ。
精神科医が謎を解くということで心理学的な記述もあり、作家の造詣の深さがうかがえる。
派手なミステリーが好みのかたには物足りないだろうが、文章の端々から時代や文化を感じられるところや、ひとの心理を扱った推理など愉しめる点も多い。
この作家の作品をもうひとつ同時に購入したので、そちらも期待して読みたい。
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初のヘレン・マクロイでした。
クラシカルな時代背景と狭い田舎ならではの閉塞的でどろどろした雰囲気は好きでしたが、謎解きとしては…?
イブやエリスの心理描写はしっかり書かれていたと思います。
犯人はけっこう最後のほうで判明してそこから一気に伏線が回収されるのですが、展開も会話もわりと地味なので途中で次の展開まだかな?と思ってしまいました。笑
ポルターガイストなどの心理学的な専門知識もたくさん出てきてそのあたりは興味深くてすらすら読めました!
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精神科医ウィリング4作目。
婚約者の実家へ向かうナイトクラブの歌姫。
行くな、という警告の電話がかかってきたり、
泊まりに行った実家の部屋を荒らされたりと、
事件が起き始める。
犯人は婚約者なのか。
彼女を気に入らない婚約者の母なのか。
久しぶりに帰って来た婚約者のいとこなのか。
婚約者を愛している幼なじみなのか。
19歳のお披露目パーティが開かれ、
ダンスをして、夜食を食べて、カードゲームをして
午前四時になったところで殺されたのは、
毒入りチョコレートを食べた、婚約者のいとこだった。
例によって、気になるのは殺人事件よりも、
周囲の人間模様だったので、
最後に幼なじみの気持ちが報われそうで良かった。
気になったのはパーティの最中に、
歌姫がまたたくまに彼女のファンになった男性たちと、
階段で話していた場面。
彼女の魅力と品のなさが見事に描かれていたが、
素敵なドレスを着ているのに土足である階段に座るんだ、
と衝撃を受けた。