投稿元:
レビューを見る
かなり吐き気をもよおしてしまう作品。それは誰にでも潜む心の悪が赤裸々に書かれてる。絶対読んだ方がいい!
投稿元:
レビューを見る
■説明
冒頭に神父さんが 「エクソシスト」を例にとって 悪魔は実在する と説く場面からこの物語は始まります。 主人公は美貌で愛らしい笑顔をもつ女医。
物語の中には なんとも殺伐とした事件が沢山でてきます。
■感想
遠藤周作の本です。 ある意味感想が書きにくい本でした。
遠藤周作さんがクリスチャンだということを知っていたので、気になって余計に私の中でさらっと読めない部分があったのかもしれません。
私はほぼ無宗教。でも、その人がどういう宗教を信じているかというのは強引な勧誘など迷惑がかからない限り気にしません。
最近起こる理解不能な事件。まったくそれと同じような動機で、いえ、動機はないと言ったほうがよいかもしれない。そんな事件がどんどんと起こります。 そうして、それがなにひとつ解決しない。現代の苛立ち 理解できない不安感。焦燥感。それが最後まで続くというような読後感です。
たとえば、最近の不快感を覚える事件とは結局はどういうものだろうかと自問すると
「自分勝手」というキーワードがありそうに思います。 相手も自分と同等の人間としてみることなくただ、「自分が不快だから」「自分がうまくいかないから」「自分がやりたかったから」という理由であり、そこにはそれ以上の説明がつかないものが多いです。
それが、世間の人たちには理解不能であり、行動が予測できない恐ろしさを感じさせます。
「友達が欲しかったから監禁した」「自分の人生がうまくいかないからできるだけ金持ちの子供を殺害した」「借金をばらされそうだったから殺した」 そこには自分しかありません。いずれも相手を人間として見ていないという共通点があります。自分だけを見つめ自分だけが大事で 相手を都合の良い存在として認めることがあっても人間として見ない。
この本の主人公の女医もまさにそういう人です。自分が罪悪感を感じてみたい。こういう悪いことをしたら少しは罪悪感を感じて空虚な気持ちがなくなるのではないか というただそういう理由で表に出ない悪事を巧妙に行います。 そうして、この小説には 勧善懲悪もなく、また宗教の目に見えた救いも現れません。発生する事件、女医の口にする言葉どれも どこかで聞いたことのあるようなものです。 クリスチャンである遠藤周作はこの本で何を言いたかったのだろう。 宗教の不在を言いたかったのだろうか。 読み終わったときに遠藤周作という人を考えてすっかりと腕組みをしてしまった本でした。
投稿元:
レビューを見る
「君が俗物のくせに俗物でないふりをしているからさ」このセリフがやけに心に残った。周作といったら『海と毒薬』が傑作かもしれないけれど個人的に好きなのは『死海のほとり』とこの作品です。
投稿元:
レビューを見る
どんな悪を犯しても痛みを覚えぬ白けた虚ろな心をもつ女、を描く。「動機の無い犯罪」が現れ始めた頃に書かれたものなんだろうと思う。作者自身がキリスト教徒である点が、上手く作用している。
投稿元:
レビューを見る
女医がどれが誰なのかよくわからんけどなかなかスリルある。芳賀の最後の言動はさすがに予測つかなかった。
投稿元:
レビューを見る
遠藤周作氏らしいミステリー作品。
「いつの間にか埃が部屋に溜まるように悪魔はひそかに、目だたずに人間の心に入る」
悪魔からの誘いと気づくことなく、私達は日々を過ごしている。そしていつの間にか悪魔に心は占拠されて・・。寒くなる恐ろしい作品です。しかし私達はその現実を知らなくちゃいけないのでしょう。
投稿元:
レビューを見る
どうしてNO IMAGEなのでしょうか?表紙も作品のイメージにあった絵でとても好きです。
内容は素晴らしいの一言なのですけど、それではレビューにならないので
本当の悪とは?誰でも疑問に思うことを医師の目線と神父の視点で描かれています。
遠藤周作先生の本なので、キリスト教の観点が出てくるのですが
宗教観を除外しても興味深く読めます。
これは1984年に出版されている本ですれど
現代にも通じる問題が色々描かれています。
かなりタブーな問題ですが、障害児、植物状態の高齢者、新薬の開発、精神病の診断
主人公が医師なので、自然医療の問題が多くなるのですが
医療についての知識があまりなくても、それらの問題がとても分かりやすく
描写されていると思います。
一般に悪と言われる事をとにかく試してみる医師の何も感じない空虚な心
今は医療ドラマが多く放送されていますけど、この本の映像化は絶対無理と思います。
ので、是非たくさんの方に読んでもらいたい小説だと思います!
投稿元:
レビューを見る
久しぶりに没頭して読めた本。憶えのある感覚ではあったけど、結局こういう大人にはならなくて済んだかな。分岐点はどこで何なんだろう。でも「善を質ではなく量ではかっている」あたりのくだりでほっとしてしまった。そうだよなあ、そういうものじゃないよなあ。宗教に興味を持ったことはないけど、神父の存在がすごく心強いというか安心した。
時間を置いてもう一度読み返したい。
あと解説は医療小説って言ってたけど、あまりそうは思わなかった。時代が違うからかな。
投稿元:
レビューを見る
弁解のない「悪」の描写がむしろ心地よい。
ある種の女性の本質が描かれている。
フィクションだけど、こういう人って実は結構いるはず。
投稿元:
レビューを見る
何をやってもむなしい、次々と男と寝ても、精神薄弱の少年を操って動物虐待をさせても、何をやっても罪悪感を感じない。そんな女医にふりまわされ精神を病んだ入院患者と彼を助けようとする神父。
なんか暗い。ミステリーという触れ込みらしいけど、人間の暗部というか、人間のもう一つの側面って感じかな。こんな罪の意識を感じない人が最近は増えているのかもしれない。
投稿元:
レビューを見る
天使とか悪魔とか出てくる好きなパターン。
遠藤周作では、深い河に続くヒット。
久しぶりに一気に読んでしまった。
投稿元:
レビューを見る
内容が好きか嫌いかといったら、好きではないながら、星は五つ。
とにかく怖かったです。。陰湿な悪を続ける女医。女優ばりの美人なのに、何にも無感動で、良心の呵責を感じるかどうかためすために様々な悪を働く。。
医療問題とも絡ませながらミステリー調に進むけれど、これはミステリー本だという感覚はなかったです。
また神父がでてきますが、彼がいてよかった。。
そして、私は無感動な人にならなくて本当によかった。。
やっぱり病院てこわいな。。最近不必要な手術繰り返していた病院があったけど、医療倫理はどうやったら良くなるのでしょうか。。
次は明るい本を読みたい笑
Jan 2011
投稿元:
レビューを見る
高校の先生に紹介されて気になっていた本。
ミステリーっぽくとても読み易かった。
現代人の心の乾きというやつは随分昔から変わらないようだ。
投稿元:
レビューを見る
遠藤周作さんの描く悪魔像が、とても怖かった記憶があります。本当にこんな人間っているんだろうか?もしいるのなら、彼らは救われないのだろうか…。普段神の存在など意識したことのない自分ですが、この時ばかりは神の存在について考えさせられました。
投稿元:
レビューを見る
遠藤らしい。サスペンスのようなプロットでありながらも、もっと現代社会の深層に触れるような尖さがある。単純なサスペンスとして読んだら退屈だと思う。神父さん出しゃばりすぎ感がある。テーマは悪とは、悪魔とは。神父の言葉を借りれば、「悪は目に見えるけど悪魔は見えない。空気のように稀薄で、ホコリのように知らない間に心に積もって人間に悪を行わせる。悪魔は人間に、自分はいないと思わせたい。そんな非科学的な、非現実的なものは、と思わせたい。そして少しずつ心に積もる。」
悪魔か、と考えさせられる。現代人の無気力に積もると言っている。