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第2回アガサ・クリスティー賞受賞作。文庫化にあたり再読。
『時』をテーマにしたSFミステリで、『事件の謎を解く』ではなく、『現象の謎を解く』が主題。ラストは冒険小説のようなテイストもあった。
単行本で読んだ時にはもうちょっとミステリ寄りの長編だと思っていたが(何しろ「アガサ・クリスティー賞」だし)、SFやファンタジーに近い印象は変わらず。
巻末には『SFマガジン』掲載の受賞インタビューも収録。その中にあった『ミステリ読みのかたがたのほうが比較的すんなり私の作品に接してくださっている感触がありました』というのはちょっと意外だった。確かに『黒十字サナトリウム』にしろ、本作にしろ、所謂『SF』のイメージに収まりきらない部分はあるが、ミステリよりはSFに近いと思っていたので。
……で、以前も何処かで書いた記憶があるのだが、『黒十字サナトリウム』を文庫化して貰えないものだろうか。もう一度読みたい(※要するに持ってはいるのだが、何処にあるかが解らない)。