【ネタバレ注意】非常に面白い短編集でした。
2020/11/10 22:57
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投稿者:Sayuri - この投稿者のレビュー一覧を見る
【ネタバレ注意】
全体的にSFな話が多いですが、長いものはなく、とても読みやすかったです。また設定もあまり凝ったものではなく、理解しやすかったです。
以下、お気に入りの作品別の感想です。
・イルカは笑う
この本の表題作。表紙的にも、「イルカがせめてきたぞっ」的なものなのかなって思って読み進めていき、私も作中の爺さんのように穏やかに読み終えられると思っていましたが、最後の二ページですべて打ち消されました。これはやられたなと感じ、私もイルカと一緒に笑ってしまいました。
・血の汗流せ
今までで一番面白い青春小説でしたね。ちょっと不思議な少年に恋する少女のお話かと思えば、すこしずつ狂気的になっていき、最後には地獄(天国)に至るなんて、想像できませんでした。非常に面白かったです。
・みんな俺であれ
物語と言うよりは、設定資料みたいな短編。最後の一ページが何度か読まないとわからなかったのですが、意味がわかった時はぞっとしました。
・あの言葉
巻末の解説にもある通り、この本の中で一番シリアスな作品。国の転覆? のために翻弄した過去を持つ女性が政治家になって、それでもかつての仲間の最後の言葉を求めるお話。私の好きなタイムトラベルもの? でした。
・あるいはマンボウでいっぱいの海
マンボウの産む三億個の卵が全部無事に孵化したら? というお話。この本に数本は行っている落語テイストの作品の一つです。おおよそどうなるか先が読めるのに、二人の会話のみで進められる物語が面白かったです。
独特の世界を展開する田中啓文氏の面白い短編集です!
2020/06/17 09:22
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投稿者:ちこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は、上方落語の愛好者で、地口(駄洒落)を作品構成の主要部分として描いていく作風で定評のあるホラー・SF作家の田中啓文氏の短編集です。同書には、最後の地球人と地球の支配者イルカが邂逅する表題作「イルカは笑う」のほか、倒産した日本国が遺した大いなる希望を描いた「ガラスの地球を救え!」、ゾンビ対料理人の対決をテーマとした「屍者の定食」、失われた奇跡の歌声が響く「歌姫のくちびる」など、感動の横に恐怖や笑いが横たわる12の名短編が収録されています。田中啓文氏の世界を十分に楽しめる書となっています。
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投稿者:Zero - この投稿者のレビュー一覧を見る
田中啓史らしい、ジャンル不明の短編集。ダジャレとパロディが多いのはいつものことなので気にしない気にしない。自分の中では『悟りの化け物』『歌姫のくちびる』は傑作だと思う。
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地球の支配者・イルカが最後の地球人に面会する……表題作、すべてのSFファンに捧ぐ「ガラスの地球を救え!」他、感動・涙・恐怖・笑い・脱力に満ちた12の名短編。日本よ、これが小説だ。
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最後の地球人と地球の支配者イルカの邂逅「イルカは笑う」、倒産した日本国が遺した大いなる希望「ガラスの地球を救え!」、ゾンビ対料理人「屍者の定食」、失われた奇跡の歌声が響く「歌姫のくちびる」…感動・恐怖・笑い・脱力、ときに壮大、ときに身近な12の名短編。日本人よ、これが田中啓文だ!
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表題作のほか、「ガラスの地球を救え」 「本能寺の大変」 「屍者の定食」 「血の汗流せ」 「みんな俺であれ」 「集団自殺と百二十億頭のイノシシ」 「あの言葉」 「悟りの化け物」 「まごころを君に」 「歌姫のくちびる」 「あるいはマンボウでいっぱいの海」
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SF&ホラーテイストといういささか苦手なジャンルではあり、グロテスク極まりない描写には一瞬立ち止まらざるを得なかったが、それでも田中啓文ここにあり、という物語であふれている。近未来のものは特に、捻りが効いていて、背筋がぞっとするほどである。元ネタを知っていても知らなくても愉しめ怖がれる一冊である。
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ショートショート「まごころを君に」のオチに笑った。いかにも落語のオチで、とぼけた感じがいい。言うまでもなく、「まごころを君に」は「アルジャーノンに花束を」の映画化で、クリフ・ロバートソンがアカデミー主演男優賞を受賞した作品の邦題。
シリアスな「あの言葉」とホラーの「歌姫のくちびる」も良い。バラエティに富んだ短編集だが、ショートショートのおかしさが個人的には好み。ショートショートだけの作品集も出してください。
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SFとホラーを中心とした、パロディ・ギャグ小説。
同作者の他作品でホラーな雰囲気の中、描写がギャグ調に感じられてサメた事があったが、ギャグを中心にしたら寒い。後半の少しギャグ調が抜けた作品は良かった。
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シュールなSF短編集。
どれも一抹の後味を残す佳作ばかり。
タイトルの「イルカは笑う」はそうなんだろうなというオチだけどオチに至るまでの運びが良い。
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「本能寺の大変」やら「屍者の定食」やらといったタイトルから窺い知れる通り、実に脱力するSF短編集。頻出するグロテスクな描写もやっぱり著者ならではだなあ。
しかし一作目の「ガラスの地球を救え!」ではうっかり感動しそうになってしまった。ううん好き。
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ダークで脱力な短編集。
後味悪かったり、小ネタが多かったり、
皮肉たっぷりだったり、大人味を各種取り揃えてあります。
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ちょっと雑な話もあったけど楽しかった。
ゾンビシェフの、筒井康隆っぽいな〜と読んだら、
ぽいのね。
イルカのオチの笑い、良かった。
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表紙のイルカが可愛くてジャケ買い。
まあまあ自分はシニカルな話が好きだと
自負していたのだけれど、
この短編集のシニカルかつブラックなユーモアには
正直ついていけなかった。
所々当て字的なダジャレ(地口?)も多いのだけれど、
元ネタがわからないのが多数。
洋画邦画好きにはツボに入るのだろうか。
全体的に自分には合わなかったなぁ。
「まごころを君に」「あるいはマンボウでいっぱいの海」
といった落語的な作品に出会えただけでも良かった。
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好みが分かれる作風ではあると思いますが、私は好きです。
短編集なので、読み易いし、お得感があります。
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田中啓文による12の物語が収められた短編集。
ジャンルはSFとホラーが多い。
地球から宇宙船に乗ってやってきた三匹のイルカ。
彼らの目的は,遠く離れた星にいる〈最後の人間(ザ・ラスト・マン)〉から地球の支配権の〈引き継ぎ〉を受けることだった。
「イ,イ,イ,イルカだと?人間の代わりに地球を支配するのがイルカだと?こんな馬鹿げた話があるか。(…)」
その事実を受け入れられない〈最後の人間〉は三匹のイルカから,イルカが地球を支配するに至った経緯を聞く。
今すぐにも命絶えそうな状態の〈最後の人間〉と,三匹のイルカによって語られる今ある地球の姿。
「大丈夫,我々はイルカですから」
本書の表題作『イルカは笑う』である。
本書の各物語には著者によって散りばめられたユーモアのこもった”元ネタ”が存在し,それに気づくことができればより楽しんで読むことができると思う。
イルカに笑われないように,本書の元ネタを理解できるだけの教養を身に付けたい。
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アニメに特撮に落語にホラーに音楽に歴史にドラマに…
いろんなものを「SF」という串で貫いた、
何兄弟かわからんくらいの団子風短編アンソロジー。
いろんなジャンルのお話が楽しめて、お得感いっぱいですw。
個人的には、「あの宇宙戦艦」の意外な活躍を見られたのが
えらい嬉しかったです〜(笑)。