紙の本
明治維新の亡霊
2016/03/11 22:06
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:黒猫 - この投稿者のレビュー一覧を見る
182ページと薄く字も大きめなので簡単に読めてしまえたが、明治維新賛美の方にお勧めしたいと思う本。何より衝撃だった事は、幕末の萩藩(長州であり、現在の山口県)には、現代の特別会計に当たるものが既に作られていて、藩の庶民の生活は苦しく、そのお金は高杉晋作その他一握りの人間に豪遊や軍備に湯水のように使われていたという。現代の日本とぴったり重なる状況がすごく、この二十世紀においても脈々と明治維新の亡霊が受け継がれた日本に生きていることにゾッとした。まるでホラーの世界としか思えない。外国の陰謀論についても触れているが、例え本国が乗り気でなくても、任された外交官の個性によって状況を左右された結果、陰謀論と言われても仕方ない歴史の形もあるのかと、別の視点を考えさせられた。
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★★★★☆
苫米地英人は、母方が長州で、父方が会津というなかなか興味深い出自だ。
もちろんどちらも名家なので、一般には知られていない歴史的事情なども、祖父母などから聞いているらしい。
そんな彼が読者からの再三のリクエストに応えるかたちで書いた“明治維新の本”が本書である。
だが、本書は親族からの伝聞といった正確性に難のある情報を参考にして書いたものではなく、彼いわく「信頼できる一次資料だけを元に書いた」という。
だから、明治天皇替え玉説などは、取り上げていない。
明治維新は日本人の好きなテーマだ。
坂本龍馬や西郷隆盛などは時代を超えて人気があるし、江戸城無血開城を誇りに思っている人も多いだろう。
著者はこういった日本人の大多数の持っている印象が、事実とズレていると指摘する。
明治維新を境に、その前は暗くて、その後は明るい、というイメージがあるが、これはおかしい。
我々が既に知っている事実を並べるだけでも、戦争のなかった日本で、維新後から戦争ばかり起きていることがわかる。
なぜ、そんなに戦争ばかり起こるのか。
誰が何のために起こしているのか。
そこに著者の作品ではお馴染みであるところのイギリス・フランスのロスチャイルド家、グラバーや松下村塾の面々といった、一筋縄ではいかない人物たちの名があがる。
ドラマのセリフじゃないが「金の流れを辿れ」ば、見えなかった様々な関係性が浮かび上がる。
戦争をすると当事国の通貨が使えなくなる ⇨ 国際決済できる銀行があれば大儲けできる ⇨ 戦争前に外資系銀行を日本に上陸させよう ⇨ 銀行を知らない日本人に銀行システムを知ってもらわねば ⇨ 伊藤博文らを留学させよう ⇨ etc.
陰謀論めいていると思う人もいるだろう。
かく言う僕も半分くらいはそういう気持ちで面白がって読んでいるところはあるし、ここに書かれていることだけで歴史が動いているというような一面的な見方をするつもりもないが、こういう思惑で動いていた人達もいただろうと思わせるだけの説得力が、著者の提示する論拠と推理には、ある。
宗教的、イデオロギー的な面から歴史を考察するのも大事だが、金の動きというのはそれらよりも圧倒的にわかりやすい。
個人的に好きなのは、伊藤博文がイギリス公使館を焼き討ちにしたすぐ後にイギリスに留学しているのはどういうことか、ということに対する著者の考えだ。
国際金融資本の説明などの後にその結論を読んで、意外なくらい当然な答えにハッとさせられた。
そこに限らず、近代史に興味のある人なら必ずどこかハッとするポイントを見つけられるはず。
ニコ生の著者の放送によると、本書を書く上で山口県にある古本屋に連絡して、そこにしかないような資料を多数、手に入れたそうだ。
いつもながら著者のバイタリティと博覧強記ぶりには驚かされる。
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萩藩 メディアの影響で長州藩
ハモンドの言葉 それは日本人だけから端を発しているように見えなければならない
アーネスト・サトウ 父ドイツ人 母 イギリス人 サトウという姓はスラブ系の姓で日本の佐藤とは関係ない
ジャーディン・マセソン商会 前身が東インド会社 マンダリンオリエンタルがグループ会社
ロスチャイルド家 通貨発行権をもつのが強み
イギリス側というのはイギリス政府でなく国際金融家
龍馬 倒幕したかった薩長、内戦で儲けたかったグラバーを裏切った
薩長がもし勝ったら、日本に傀儡政権ができてしまう これは都合が悪い
民主主義の最大の敵は金融資本主義
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出張の新幹線の中で読むべく、友人より借りて読了しました。
前半の明治維新の前後での毛利家の裏金話、グラバー商会、ジャーディンやらの欧米金融資本の暗躍の件は理解出来ます。その後の明治維新から現代迄の長州閥の系譜の話が続き、筆者の最終結論が「金融資本主義が民主主義の最大の敵」となつてゐます。脈絡、論理展開がお粗末に尽きます。とても科学者の本とは思へない、トンデモ話であります。久しぶりに悪書を読んで仕舞ました。
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あ、っと驚くような新解釈は出てこなかった気がします。
薩長閥がいまだに幅を利かせているのは、まぁ、そうだろうと。
国際金融家から搾取されている、のは確かにそうでしょう。が、別に日本だけの話でもないと思う。
カネ自体を無価値にしない限りは変わらないでしょうね。
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明治維新での長州藩(萩藩)、薩摩藩のバックに何者がいたのか、金の流れ、外国商人の動きなど、教科書では語られない歴史の真実を探究している。
歴史の授業では、ゴタゴタした明治維新について、理解ができない部分が多かったが、この本では整理して書かれていたので、全体像が掴めた。
敵の敵は味方として外国と手を組んだつもりが、逆に取り込まれてしまった薩長という見方が興味深かった。
この本で、銀行が戦争屋だということと、この時代に活躍し、世間では、好印象の歴史的人物も作り出された虚像だということが、よく分かった。