紙の本
『チポロ』
2018/07/09 20:22
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投稿者:百書繚乱 - この投稿者のレビュー一覧を見る
神々がつくり、神々が見捨てた人間界には魔物がはびこりはじめていた──
ススハム・コタン(シシャモの村)に祖母と二人で暮らす少年チポロ
チポロのことをなにくれとなく世話してくれる村の少女イレシュが、海からやってきた魔物たちに連れ去られてしまう
「……だからって、なにもしないでいるなんてできるかよ!」
チポロはイレシュを救いに北の果ての港町ノカピラに向かう
父の残した二本の〈魂送りの矢〉を手に...
『天山の巫女ソニン』の菅野雪虫によるアイヌ神話を下敷きにした冒険と成長のファンタジー、2015年刊
本書の重要な登場人物の一人である「ヤレイスーホ」を主人公にした続編が2018年6月に刊行
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面白かった。子供のための物語という感じ。
負け続けると卑屈になってしまいそうなものだけど、チポロはバカにされながらも力を蓄えてきた。
信じる力の強い子供だった。
反対に自分も人も信じずにだいぶ歪んでしまったヤイレスーホ…たった一度、無条件で助けられたことが彼をほんの少し変えたのだとしても、結局イレシュに届かなかったのが切ない。
あの後どうなっちゃったんだろう。
イレシュの気持ちも複雑なまま残りそう。
続編が読みたい。
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いろんな人の真心が交錯する話だったように思います。
相手のことを思いやっての行動。だからこそ、ひとりよがりにもなってしまう。
通じあえた面と、そうは成り得なかった面。
きっと全体でみると大団円なんだけど、端々に寂しさが残るそんなラストでした。
チポロは強いけど、対してイレシュが背負うものって、まだ今後も大きなしこりとして残るんじゃないかなって。
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わたしたちは語りつくせないほど多くのことの、ものの恩恵を受けて生きている。
そして、そのことを、忘れてしまいがち。
こうして折に触れて思い出させてくれる作品に出会えることはとても意味があり、手に取ることができてよかったと思う。
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祖母と二人暮らしの貧しい家の子チポロは、ある日見事な鶴を射止めます。その事から自信をつけた彼は、諦めることなく努力や工夫をするようになります。
ある日チポロは、村を訪ねてきた、人間に近い神シカマ・カムイから、魔物の襲来に気をつけるように言われます。だが、魔物が現れた時、チポロから教えられた呪文を唱えた友だちのイレシュはさらわれていきました。
チポロはイレシュを連れ戻すために、力を蓄え、魔物がいると言われる北の港を目指すのでした。
国造りの神兄弟の弟とアカダモの女神チキサニとの間の男児オキクルミ。そのオキクルミと妹と、人間たちとの関わりの中から生まれた冒険話。
ストーリーはとても面白く、ぐいぐい読ませるものがある。人物や場面の設定にも無理がない。
また、物語の随所に、諦めないことや思いやりの大切さが、くどくない形で盛り込まれており、好感が持てる。
ただ、登場人物(特に主人公のチポロと友人のイレシュ)の語る言葉が今風過ぎて、アイヌ民話を基調にしたこの物語の中では浮いてしまう点が残念。
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チポロは体も小さく狩りも下手だったが、ある時大きな白い鳥を射止める。自信をつけたチポロは、「どうせ狩りが下手だから」とあきらめず、「どうすれば獲物が獲れるか」と考えて行動するようになり、すこしずつ強くなっていった。そんなある日、やさしい幼なじみのイレシュが魔物にさらわれてしまった!村人たちはあきらめて忘れようとしたが、チポロはイレシュを救いに行く決心をし、旅に出た…。
アイヌ神話を下敷きに、独特の世界を見事に紡ぎ出した物語。人も神様も魔物もみんな存在感があって魅力的。チポロの誕生をめぐる謎が効いています。
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なんにも考えず、するすると楽しく読めました。アイヌ神話を元にしているらしく、神話好きとしてそちらについても、ちゃんと調べてみたいなと思いました。今は同じ国だけど、別の国の物語のようで不思議な感じ。
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児童書?YA?ジャンルはわからないが大人向けではないのかも。たいへん読みやすく、読後感も良いお話だった。サクサク読めて、疲れなかったのも良かった。この人のソニンシリーズが大好きだったので読んでみたけど、やはり作風があっているのだろうなあ。
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主人公がしっかり大地を踏みしめてる冒険譚、旅先に社会が見えるし空気の匂いがします。続編書けそうな雰囲気。
チポロは猪突猛進型ですが何か言ってから自省したり自分を律する客観性も持ってる子だなと。自分のことじゃなくてもシャチのカムイにぱっと謝るシーンに微笑みました。
たぶんこのお話の中で誰よりも思考しているのはイレシュですね、ヤイレスーホは危なっかしく見えます。
プクサいいやつだな~。
ミソサザイのカムイのおしゃべりずっと聞いてたい。
シカマ・カムイの人生相談室があったら訪ねたい。
弓のレプニかっっっこよすぎか!!!
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いいねぇ 少年がきちんと若者になっていく話
物語はこうでなくっちゃ という王道モノだけれど
それでも いいねぇ
主人公たちもさることながら
その取り巻く、カムイ(神)たちにも、頼りなく描かれる人間たちにも
作者の愛情にあふれているのがいいですね
読後感がさわやかです
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童話のような語り口、しかし内容はなかなかハードな冒険譚だった。
全体的にアイヌのイメージなのか、神様がめっちゃ気軽に存在しててちょっとびっくりした。笑
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アイヌ神話である「柳の葉が川に落ちシシャモ(ススハム)になった」という話がもと。小さな少年チポロの成長譚。
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アイヌの神様は、人間に厳しい。
そんな伝説ができるのは、厳しい自然のためか。
「負けるのなんか慣れてる。何回負けたって、どうってことない。」など
心に刺さるセリフがいっぱいです。
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アイヌの世界観が綺麗でした。
自然や生き物に感謝する生活が素敵です。
ただ、前半は良かったけど、後半から段々軽いノリになってしまったのが残念でした。
設定はいいのに活かせていない感じ。
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アイヌの神話をベースにしたファンタジー。
というか、アイヌ神話なんて、ほとんど知らなかったので、ちょっとこの機会に知りたいと思った。
チポロは1羽のツルを仕留めた。
両親を亡くし、祖母と暮らす、貧しいチポロには、体格も小さいし、大事な弓も1本しかない。
でもその日はツルを仕留めた。食べる前に供養(魂送り)をすると、ツルの神さまが現れた。これからも自分の仕留めた獲物お大切に供養して魂を送り返しておくれ、と言われて、その後は守護霊のようにチポロを見守ってくれる存在となった。
近所のイレシュはチポロの理解者で、親友だ。
チポロの父が亡くなった時、神にカミナリを撃たれかけている時、チポロが不意に言った呪文がある。
アイヌの神さまたちは、人間の我儘さ傲慢さに愛想をつかして、見捨てようとしていた。
チポロたちの村にも災いがきても、神々は守ってくれないようになるかもしれない。
チポロのはもしもの時のおまじないとして、むかし、自分が唱えた呪文をイレシュに教える。そして、本当に魔物が訪れた時、イレシュがチポロから教えてもらった呪文を口にしたため、イレシュは異形の魔物たちに連れていかれてしまう。
その時、狩に出ていて、イレシュを助けられなかったチポロ。
三年の年月を経て、チポロは12歳になり、狩りの腕を磨いてきた。イレシュのウワサを聞いて、イレシュを助けるため旅に出る事にした。
アイヌの神話、古代の村での神さまたちが身近な生活、様々な個性的なキャラクター(チポロの家族、イレシュの家族、ブクサ、シカマ・カムイ、それにもちろんヤイレスーホ!)がいい。
また続きや続編も読みたい。