- 現在お取り扱いが
できません - ほしい本に追加する
- 予約購入について
-
- 「予約購入する」をクリックすると予約が完了します。
- ご予約いただいた商品は発売日にダウンロード可能となります。
- ご購入金額は、発売日にお客様のクレジットカードにご請求されます。
- 商品の発売日は変更となる可能性がございますので、予めご了承ください。
4 件中 1 件~ 4 件を表示 |
紙の本
息づまりそうな愛と狂気の世界
2015/12/25 16:25
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:紗螺 - この投稿者のレビュー一覧を見る
出だしは少年少女が村の外の森などを探検する話だが、それはあくまで「宇津茂平」という土地の叙事詩の導入に過ぎないことがすぐにわかる。時代も百年近く前までさかのぼりつつ、細部まで緻密に描かれる。マシュと呼ばれる麻薬に近い酒が要所要所で出てくることで、まがまがしいような空気が立ち昇り、息苦しいほどの濃密な世界が作り上げられている。
少年少女が水車小屋で出会った男(人形を妻と呼び、会話している)の過去や、その人形をもともとつくったロシア人の話。更には水車小屋の男がそうなった原因。そういったことが丁寧に、しかし勢いと迫力を持って次々と明かされる。
特に、ロシア人の、日本人妻に向けた屈折した愛情は狂気に縁どられて非常に濃厚に描き出される。読んでいると、その世界に呑み込まれそうな錯覚さえした。同様に、後半で描かれる、あるひとりの若い男が狂っていく様も凄絶。
4 件中 1 件~ 4 件を表示 |