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インターネット法 みんなのレビュー
- 松井 茂記 (編), 鈴木 秀美 (編), 山口 いつ子 (編)
- 税込価格:3,190円(29pt)
- 出版社:有斐閣
- 発売日:2015/12/21
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2018/05/01 00:28
投稿元:
インターネット法の事例やパターンを詳しくまとめてある1冊。
かなり硬派な内容なのでインターネット法を先行した大学生とかが授業とかで使いそう。
2020/07/01 16:15
投稿元:
インターネットの提供や利用にあたって該当し得る関連法規制とこれに係る法的観点を論じたもの。日々の業務でしばしば見かける論点について、関連する根拠法令やガイドラインの所在と論点の中身に触れることができる。他の新書やビジネス入門書のような平易な構成・内容にはなっていないので、論点の理解には少し苦労するが、その分、法的思考能力を高めることができたように思う。読み応えのある本でした。
以下、参考になった点のメモ。
ーーーーーーーーーーーーーー
1 コード論(ローレンス・レッシグ):
・インターネット法を理解する上での不可欠な視点
・インターネット世界を規律するものに法令以外にインターネットの作用を定め、限界を設けているコードがあると指摘する。
例)著作権
著作物の無断アップロード
→著作権法による規制
→法律以外の手段による制約:技術的な保護(ウォーターマーク・コピーガード)
・技術的な制約を回避する技術の開発・利用→技術的な措置の無意味化を法律で禁止。
→法律以外の手段による制約も最終的には法律的に執行が必要
・インターネットの上でどこまで自由が保障されているかは、法律と法律以外による制約の複合的な規制の結果で決まる。
2 インターネットにおける表現の自由
2.1 インターネットにおける表現の自由の変遷
・通信サービス:コモンキャリッジ→誰にでもあまねくサービスを提供する義務・料金規制
*20世紀初頭の英米法:蹄鉄工や旅館主、運送・港湾・鉄道事業者
→公共的な性格/公共施設から私的利益を得る→公衆全体に恩恵を。
2.2 表現の自由との関係
・通信事業者:他人の通信を媒介する立場
→言論者として表現の自由の保障を受けるわけではない
→他人の通信内容に対する責任から免除&他人の通信への閲覧禁止・秘密保持・不当な差別的取り扱いの禁止
2.3 ブロガーに表現の主体としてのマスメディアと同じ「特権」を与えるべきか?
・報道機関による国民の「知る権利」への奉仕としての重要性
・最高裁判所の理由付け:国民の知る権利に奉仕、国政や公共的事項、重要性と公共性
→ブロガーも伝統的なマスディア組織ではなくとも、特権を得られる可能性がある。
2.4 ネット中立性(通信の制限・遮断)
プロバイダーはネット上の全ての合法的な通信を、その発信源・種類・受信する装置・相手によって差別することなく、消費者に送ることを義務付けられるべきか?
・コムキャスト事案(連邦通信委員会)
①プロバイダーのネットワーク管理に関する規制権限は通信法の規定に基づいて認められる。
②プロバイダーがゲートキーパーとしての力を用いてアプリケーションプロバイダーの通信サービスを制限する恐れがあることを認める。
③プロバイダーをコモンキャリアとして扱わない以上、差別禁止等のコモンキャリアの義務を課されることはない。
・「開かれたインターネットの保護および促進」(連邦通信委員会 2015年2月採択)
→コモンキャリアとしての義務は多くを負わない。
→遮断禁止・速度制限の禁止・有償での優遇の禁止等を一定の範囲に限って義務付け
・日本:
帯域制御は一定の合理性がある場合にのみ認められるとして、その合理的範囲を判断するために関係事業者間での自主的なガイドラインの改定が重ねられている。
3. 名誉毀損・プライバシーポリシー侵害
3.1従来の法理とインターネットの特性
・インターネット
→表現の自由:自らの意見・方法を発信、他人と交換
→他人の誹謗中傷、情報の瞬時拡散、被害の拡大・長期化
3.2名誉毀損
3.2.1 関連法令
・刑法:「公然と事実を適示し、人の名誉を毀損あ者は、その事実の有無にかかわらず、3年以下の懲役もしくは…」(230条1項)
*事実を適示せず人の名誉を毀損→侮辱罪(231条)
・民法「故意又はいつによって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者あhこれによって生じた損害を賠償する責任を負う」(709条)
*名誉の侵害は財産以外の損害も賠償(710条)
3.2.2 名誉の概念
人の品性、徳行、名声、信用等の人格的価値について社会から受ける客観的価値、
憲法13条の保障する人格権の1つ
3.2.3 「対抗言論」の考え方
・判例:インターネット上での反論によって十分にその回復が図られる保証があるわけではない。(①被害者が名誉毀損的表現の存在を知らないかも、②反論で拡散する恐れで反論を控えることも、③匿名の表現に対して有効適切な反論は困難な場合も)
*考え得る反論:②→批判を誘発した者が反論せずに裁判に訴えるのは表現の自由の精神に反するのでは?、③反論の奏功は主張の巧拙の問題では?
3.3 プライバシー・肖像権侵害
3.3.1 プライバシーの概念
「私生活をみだりに公開されないという法的保障ないし権利」としてのプライバシーを個人の尊厳(憲法13条)を保ち幸福追求権を保障する上で必要な不可欠なものであり、不法行為法上保護される人格的利益(「宴のあと」事件)
*米国「自己に関する情報をコントロールする権利」
3.3.2 肖像権の概念
・私生活上の自由(憲法13条)の1つとして、承諾なくみだりに容貌等を撮影されない自由を有する。
・司法上、肖像権はプライバシー権ないし人格権の一部として保護。
3.3.3 パブリシティ権の概念
・肖像権を前提に、肖像等のする商品の販売等の促進する顧客吸引力を排他的に利用する権利。
・人格権に由来する権利の一内容を構成すると解される。
3.4 わいせつな表現・児童ポルノ
・2011年刑法改正
①わいせつ物頒布罪:わいせつ物(文書、図画、電磁的記録に係る記録媒体その他の物)の頒布行為)
②わいせつ物公然陳列罪
③わいせつ物等有償頒布目的所持罪(所有頒布の目的で、わいせつ物を所持し又はわいせつ電磁的記録を補完する行為)
・わいせつの定義
曖昧さ
→処罰を恐れて無難な表現を取るように自己検閲(萎縮効果)をもたらし、表現の自由の観点からは問題。
→運用面は警察の裁量によるところが大きい。
例)モザイク処理=警察が摘発のための事実上の基準に過ぎない。
・ストリーミングは「頒布」?
該当しない。頒布=不特定又は多数の者いの記録媒体上��電磁的記録その他の記録を存在するに至らしめること」
→ストリーミングはキャッシュメモリへの一時的な保存だけで瞬時に削除されるため、記録の保存は生じていない。
3.5 児童ポルノ
プロバイダーの自主規制によるサイトブロッキング
通信の秘密の不可侵との問題(憲法21条2項後段、電気通信事業法4条)
ブロッキング:ユーザのアクセスを「知得」し、アクセスを遮断する目的でその情報を「窃用」するもの→通信の秘密侵害罪の構成要件に該当
→緊急避難(刑法37条1項)に該当する前提
3.6 青少年保護
3.6.1 「青少年環境整備法」(2009年4月1日施行)
・携帯電話事業者に対するフィルタリング提供義務
:ただ、義務違反の罰則がない。民間の自主的取り組みを尊重。
・インターネット接続役務提供事業者にも課されたが、「利用者に求められた場合」のみ。
:プロバイダーの提供義務の例外あり:契約者が5万人を超えない場合
(法18条但書→青少年環境整備法施行令(平成20年12月1日))
・携帯キャリアとプロバイダーの義務差異の理由は?
→携帯の方が問題が多い現状にあり、差異を設けることでプロバイダーの過度な規制を避ける意図
・特定サーバー管理者=ISP、コンテンツプロバイダー、掲示板・HPの管理者
→努力義務&「知ったとき」に対応
*表現の自由への配慮により義務軽減
3.6.2 共同規制の可能性
・規制する側と規制を受ける側の協力に基づく規制
・公権力は自主規制を前提。仕組み創設にのみ関与、自主規制が予期せぬ作用を発揮したり、目標が達成されない場合に限り介入する。
・環境保護、個人情報保護、消費者保護などの分野でも重要性が認められている。
3.6.3 いじめ防止対策推進法
・いじめを受けた児童等はいじめに係る情報の削除、プロバイダー責任制限法に基づいた発信者情報の開示請求にあたり、法務局/地方法務局の協力を求めることが可能
4 差別的表現・ヘイトスピーチ
・定義:人種・性・性的指向等を異にする「少数者集団」に対する侮辱・名誉毀損・憎悪・排訴・差別などを内容とする表現行為。
ヘイトスピーチと同義とも解される。
・表現との関係の問題
:差別的表現であっても、「表現」である限りは、「思想の自由市場」における「対抗言論」による対処が原則と考えざるを得ない。
5 電子契約をめぐる私法的な問題
5.1 契約の成立時期
5.1.1 ウェブ画面
・申込に対する承諾通魏の表示で成立(画面の認識有無は関係なし)。
・通信障害等により画面表示されない場合は承諾通知は不到達と解される。
5.1.2 メール
・承諾通知の受信者が指定するメールサーバーに読取り可能な状態で記録されたときに成立(電子契約法4条、民法97条1項)
・受信データが元データに復元できないなどは不成立
・同メールサーバーに記録された後に消失した場合は成立
5.1.3 未成年による意思表示
・中学生が「成年ですか?」という質問に「はい」のクリックを押してオンラインゲームを購入した場合、親は取引を取り消すことは可能?
→制限行為能力者が自らを偽り、行為能力者であると相手方を信じ��せるために詐術を用いた場合、取り消し不可(民法21条)
・どのような年齢確認措置を講じるべきか?
→未成年者による申込みの発生可能性、取り消された場合のリスク、取り消し防止に要するシステム構築等の費用などのバランス勘案
→単純な「はい/いいえ」質問では詐術ではないと解される可能性もあり。
→親権者の同意が必要である旨を表示し、年齢や生年月日の入力を求めるようなシステムが必要な場合も。
5.1.4 システム障害
運営者に欠陥のないシステムを構築してサービスを提供する義務(名古屋地判)
通常の注意義務にとどまるが、その注意義務は個々の具体的な検討が必要
6 支払い・決済・電子マネー
6.1 クレジットカード
・決済後、カード会社から売主に対して手数料を差し引いた額が振り込まれる
(法律構成は、債権譲渡と第三者弁済がある)
6.2 支払いに当たっての問題点とデフォルトルール設定のアプローチ
・支払/決済の途中でデータが消滅したら?途中で取り消した場合の支払いの効果は?資金を受け取る前に支払人/決済機関が倒産したら?支払人から「先ほどの支払いは間違いだった」と言われたら?
→法ルール/約款は多数派デフォルトルール(もしも当事者が交渉した場合、大抵の場合は合意によって自発的に選択されるであろう」と思われるようなリスク配分を採用すること)が一般的には望ましい。
6.3 電子マネーの問題
・支払の原因関係に瑕疵があった場合に、電子マネーによる支払いの効力に影響は?
:無因構成と有因構成→多くの電子マネー約款で無因構成を採用。
:錯誤や債務履行解除の認定は、非常に複雑な事実確認作業が必要で、決済事業者はその原因関係に精通していないので、同瑕疵の有無確認は容易ではないため。
・無権限取引→多くの電子マネー約款では利用者負担
:紛失防止対策を採るインセンティブ設定
(セキュリティの脆弱性による責任は決済事業者と思われるが、そのように記載する約款は皆無)
6.4 銀行振込の問題
・原因関係(誤った口座に振り込んだ等)と支払関係→受取人の同意を得ないと振り込んだ資金を回復することができない。
→一方的な組み戻しを認めると、ひとたび確定した後に組み戻しがあり、被仕向銀行は受取人に対して賠償責任を負う可能性があるため、いつまでも入金記載しないインセンティブを持ってしまう。
→原因関係の瑕疵の有無は当事者でないと判定困難。
・無権限取引
→負担基準としては、安価・実効的にコントロールできる者に負担させることが望ましい。実現が難しい者に負担させてもリスク低減はできない。できる者に負担させることでリスク回避を努力するインセンティブが生じる。
→利用者にコントロールさせるべき。
→他方で記憶力等には限界があるから、一定の注意喚起や安全なシステムの開発責任は銀行側で負うなどの分配が考えられる。
6.5 クレジットカードの問題
・原因関係と支払関係
→有因構成を取ると決済機関による原因関係の調査コストが発生するが、利用額の大きく、悪質な加盟店による被害額が甚大となる可能性もあり、消費者保護の必要性が高い。
→消費者は、悪質な加盟店には引っ掛からないという楽観的なバイアスがかかることも考えられるの。
→カード会社を通じた保険購入の強制が合理的。
・無権限取引
→多くのクレカ規約は、不正利用による金額をカード保有者の負担としたうえで、紛失届、カード紛失を通知した場合は、不正利用分の金額を免責する。
→カード会社は、クレジットカード盗難保険を購入する。
→カード保有者に対する年会費や加盟店手数料等に転嫁。
7 知的財産権
7.1 特許権
7.1.1 発明「自然法則を利用した技術的思想の創作のうち高度のもの」
大別して物の発明と方法の発明がある。
液体水素を燃料とするロータリーエンジンは物の発明、染料を用いずにたんぱく質をピンクに染色する方法は方法の発明。
7.1.2 自然法則ではない発明とプログラム
・自然法則を利用していない単なる思考の産物はいかに有用でも特許法上の発明ではない。暗号作成方法、語呂合わせ等の記録方法、ゲームのルール、商品の陳列方法は等は発明ではない。
・プログラム:発明性あり。
HW資源は、電力等の自然力を利用。プログラムはHW資源を使用して初めて技術的有用性を発揮するため。
7.1.3 ビジネス方法特許(ビジネスモデル等)
HW資源を用いることに技術的意義を有するものであれば、発明性あり。
7.2 著作権法
7.2.1 著作物:小説、解が、音楽、映画等。人間の知的・文化的活動の所産といえれば該当
*プログラムも対象:コンピュータに特定の動作を行わせるための指令の組合せが常に決まりきったものではなく、そこにプログラマーの個性が表現される余地があるため。
7.2.2 著作者の権利:
著作物に対する思い入れを保護する著作者人格権
→世に公開する時期・方法を決定する権利(公表権)、著作物を公衆に提供・提示するに際し自己の使命を表示し、又は表示しない権利(氏名表示兼)、意に反する著作物の改変を受けない権利(同一性保持権)
著作物の利用から生ずる経済的な利益を保護する著作権。
→複製する権利、公衆送信する権利。
著作物のアップロード=複製権、公衆送信権
7.2.3 違法ダウンロード
・ダウンロードは個人的私用のための複製行為なので、複製権が制限される私的複製にあたる→著作権侵害には当たらない(30条1項)
但し、著作権を侵害する自動集送信と知りながら行う録音又は録画のダウンロードは侵害(第30条1項3号)
・キャッシュの一時的な蓄積情報は、私的複製でなくても違法ダウンロードにはあたらない。キャッシュは自動的な発生なので。
7.3 商標法、不正競争防止法
:マークやロゴで継続的な良品の提供を期待する。信用を勝ち得る。
7.3.1 商標権
・商標登録の出願が必要
7.3.2 不正競争防止法
・未登録の商標も保護される可能性あり。
・使用を通じて識別力があり蓄積された信用が化体している。
・努力の賜物は法律上の保護に値するため。
7.3.3 ドメイン名
使用されるドメイン名が提供されるサービス等の出所を表示すると受け止められているか。
8 個人情報保護
8.1 クッキー
広���を掲示したウェブサイトを訪問した利用者の端末にIDを振り、そのクッキーIDをもって利用者が同会社が広告を掲示した他のウェブサイト訪問した際に、振られたIDの同一性を認識して、利用者のサイト横断的な閲覧を記録する。
8.2 改正個人情報保護法
8.2.1 「容易照合性」:
・相当な調査をしてはじめて回答が可能になるような場合
・内部組織間でもシステムの差異雨に技術的に照合が困難な場合
・照合のため特別のソフトを購入してインストールする必要がある場合
→「容易」には該当しない。
8.3 通信の秘密
8.3.1 通信履歴
「電気通信事業における個人情報保護に関するガイドライン」:
・通信履歴も通信の構成要素なので通信の秘密として保護される。
・課金等、苦情対応、不正利用の防止その他の業務の遂行上必要な場合に限り、記録することができる(ガイドライン23条1項)
・他者への提供は「利用者の同意がある場合、裁判官の発付した令状に従う場合、正当防衛又は緊急避難に該当する場合その他の違法性阻却自由がある場合を除いては」認められない。(同条2項)
8.3.2 位置情報
①基地局単位の位置情報(「基地局に係る位置情報」)
②GPS位置情報
→①は通信の秘密に関連するものとして、②は通信の秘密には関わらないが「高いプライバシー性を有する」情報として、高いレベルの保護が与えられべき(ガイドライン解説48頁、位置情報プライバシーレポート6-7頁)。
8.3.3 捜査関係事項照会
→違法性が必ずしも阻却されないため、原則許されない。
→2011年の刑訴法改正を受けて、捜査機関は、記録命令付差し押さえをする必要があるときは、通信履歴のデータのうち必要なものを特定し30日を超えない期間を定めて、これを消去しないよう書面で求めることが可能。
9 プロバイダーの責任と発信者開示
9.1 プロバイダー責任法:
・プロバイダーのセーフハーバー方式
・被害者による発信者の特定し得る情報開示を請求する根拠
*電子メール等の1対1の通知は除外
*名誉棄損情報、著作権侵害情報などの違法情報。有害情報は対象外
・開示対象(限定列挙):
侵害情報の送信に係る氏名、名称、住所、メールアドレス、IPアドレス、利用者識別符号、SIMカード識別番号のうち携帯端末から送信されたもの、第5号から第6号までに係る侵害情報が送信された情報(タイムスタンプ)
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