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序文に登場するのはトマ・ピケティ。献身的で皮肉な本、という素敵な言葉を送っている。印象としては、ピケティよりも楽観的かつ現実路線を目指した本、といえようか。
世の中は一度不平等がやや減ったのに、再び不平等な世界になった。第二次大戦中は不平等が縮小した。では戦争をすればいいか? もちろん違う。
主にイギリスを中心とした欧米のデータがメインで語られる。不平等はなにか単純な理由だけで起きるのではない。けれど長期トレンドよりエピソードをみたほうがつかめるものがある。
最後に、広く検討されずにいて過激である、とする15の提案を挙げている。
全部書くのは面倒くさいので省略するが、国民貯蓄国債を通じてプラスの実質利率を保証しろ、だとか、全児童へ相当額の児童手当を払い課税所得として扱う、児童ベーシックインカム、などなど。
「政治では重要なものが二つある。一つはお金で、二番目は何だったか忘れた」という有名な言葉がある。それでも政治は大切だ。折しも日本では、死ねとかブログに書くと間接的に政治が動いてくれるという構図が現れたが、これが単一省庁での行動になっては予算消化レベルで終了だろう。それでも、過去に不平等の削減が起きた時の原因のひとつは、政府の介入が成功したことだという。逆にいえば政府の介入で不平等をより大きくすることも出来る、のは僕らがよく知ることである。