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夫が図書館で借りてきた本を、そのまま私も読んだ。
作者が岩井俊二さんということは、映画の原作本だ。
原作のある映画を観る時、先に原作を読むのがいいのか、それとも原作は映画を観た後の、後追いがいいのか。
制作者や作風にもよるのだろうし、いつも答えが出ないけれど、この作品もまた、それがわからない。
でも、主要なキャストがわかっているので、頭の中で場面を想像しながら読んでいくと、俄然映画が観たくなった。
そうか、この本は原作というよりも、映像の内容を本にまとめた物、という感じかな。
映画ありき。だから、読むと映像が観たくなる。そんな作り。
あの岩井俊二監督なのだから、期待を裏切らないに違いない。
だから、映画が公開されたら観に行こうと思う。
こういう話、ありそうだな・・・複雑な家庭環境で育った今あまり幸せではない女性が、SNSで知り合った男性と結婚し、でもそれはすぐに破綻しー。
ここまではよくある感じ。ただ、その後が面白かった。
奇想天外。味方だと思われた人物の、一癖も二癖もある本性。大切な出逢いと別れ。
様々な経験を経て、不幸な主人公が自分の力で生きていこうと立ち上がる姿に希望が見え、清々しい気持ちで読み終えた。
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地に足がついてない七海が地に足がつくようになるまでの物語。
本当の事を話さないことがどんなに酷いことか全然解ってない七海にはらはらする。
そのふあふあした性格ゆえにかなり悲惨な目に合わされるのに本人はそれに気づいてないのが救いかな。
そのさじ加減が絶妙でした。
人生は奇想天外じゃないほうがいい。
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初読。図書館。映画の原作として書かれた小説として読んだので、いろんな場面を頭の中でついつい映像化してしまった。小説としては描写の書き込みが足りなくて流れがつっかえる感じがした。でも映画になればそのあたりのはね方が岩井さんらしいものになるんだと思う。とにかく映画を見るのが楽しみ。
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いろんな世界があるなあ。一見ありそうでない、奇想天外なお話でした。
綺麗なもの、汚いものがいろいろ書いてあって、岩井俊二さんらしい。映像と合わさったらもっと素敵なんだろうな。楽しみです。
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岩井俊二監督が16.3.26に公開する映画の原本。90年後半に出たリィリィシュシュを2010年代で切り取った時の人と人との繋がり合いが見える一冊。
メモ。(1)結婚とは奇妙な慣習だ。特に女性にとっては。住み慣れた場所を捨て、過去を捨て、名前まで捨てて、信じて良いかも分からない男性に人生の全てを委ねるのだ。
(2)ひとはそうやって安全で平和な場所を願うわけです。でも奇想天外を望む本能は誰にでもあるんです。その衝動をバーチャルなもので癒しているのが現代人。
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小説として書かれたものではなくて、場面設定と展開をつらねた映画の「企画」だと考えた方が良い作品。文章は早いテンポでざくざく進む。こういう世界観の中で、映画はシーンを厳選して、作り上げられていくんだろうな。これまでの作品では、スワロウテイルと比較的近いものになりそう。一度目をつけられたら落ちるところまで落ちていくというお話なんだけど、もがきながらもその流れに順応していくさまに美学を感じているのか。いずれにしても、映画こそが完成版であるはず。
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主人公にはすごく共感できた。なんでもないとこから幸せを探すって大変。それができた人こそ本当の幸せを手に入れられるよ
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映画の感想をこちらに書きます
みながら途中で吐き気をもよおした。
心抉られる箇所にどこまでも酔ってしまった。
主人公はネットで知り合った男性と結婚。その後、ネットで知り合った男アムロにつけこまれ、浮気をしていたという嘘を塗りこまれ冤罪状態。家を追い出され、アムロに少しリスクのある仕事をもらいながら生きていく物語。一貫して感じるのは「世の中での生きづらさと心の居場所」がテーマのように思う。
この主人公の流されやすさと自分に都合が悪いことをすらっと嘘をついてしまうこと、本心をいつも隠しながら周りに気を遣うことを優先して生きている姿がどこまでもはがゆくてやりきれない。ネットで吐き出す自分と現実で気持ちを押し殺している自分を合わせながら暮らしている人というのは最近多いのではないかと思う。この映画に危うさを感じるのは自分にも現実で押し殺している気持ちをネットで吐く心がわかるから、主人公を一概に否定できない。嘘が重なってばれたときに、重なっているからゆえのこじれた糸を何から説明すればいいかわからずごめんなさいとしゃっくりが止まらないシーンなんかは自分ならどうするかって考えたときに沈黙してしまうかもしれない。
結婚式の親族を代理のバイトでまかなって偽るところにも結婚式という一見華やかな情景と対比して嘘で固められた壁が同居していてなんとも言えない気分になる。さらにそのバイトで同席となり、家族のフリをしていた5人が本当の家族のように振舞うシーンがあり嘘から始まった集団が家族としての思いやりを感じさせ、奇妙な感情にほうりこまれた。主人公の雇い主でありAV女優をしながら余命数ヶ月で豪邸に暮らすコッコの死ぬ間際のセリフから彼女の純粋で美しい心が感じられた。レジの人が私なんかのためにせっせと買ったものをつめこんでくれている。とてもいとおしい。それだけで幸せで満たされてしまう。「この世の中には幸せがタダ同然であふれすぎていて感覚がマヒしてしまう。だからちゃんとほしいものはお金をしっかり払って買う」という彼女のスタンスから身の回りの豊かな暮らしでマヒしている自分の感覚に気づく。彼女の澄み切った心がいとおしくなる。
彼女の死ぬ準備をする姿が豪勢で(毒の生き物を買ったり、豪邸に住んだり、主人公をメイドとして雇って結婚したり)自分ならどう死ぬかっていうことも考えてしまう。
コッコが死んだ後の母親が生前AV女優だったことから人前で全裸になり彼女の気持ちと重ね合わせて泣くシーンはすごく好きだった。それに心揺さぶられたのかアムロも全裸になる姿にアムロのきれいな心を見た気がした。普段は人を騙したりしながら生計を立てていて素性を見せない彼のきれいな部分をみせる瞬間というのを垣間見た。
そしてラストの主人公が最後にテレビ電話で不登校生徒の家庭教師を続けていた相手から主人公の住む町へ行こうかなという発言があり、ゆるやかな希望を感じるハッピーエンド?で終わる。
不登校の子供が主人公に共感するのは同じように生きづらさを感じているからではないかと思う。
ネットの影響で人生が思わぬ方向に揺さぶられた主人公が最終的にネットでしりあった不登校の子にま��心の居場所というか安泰を見出す(かも、な未来)ことがなんとも皮肉で抉られる思いだった。
そんなこんなでこの主人公のあやうさとあどけなさには終始ひやひやさせられた。。
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映画観るために先に読んだ。読みやすくて一気に読めた。
人と人との上辺の付き合いの表現と、たまに見える本心の表現が混ざりあって、怖くもあり、あたたかくもある。
あと一歩踏み込めば相手との壁を越えられるのにそれをせずモヤモヤした世界にとどまるというのはよくある話だと思う。本心や琴線は自分にもわからない。どこに何かの拍子があるかわからない。そんな中でどうやって相手に触れて自分を見せ、相手と繋がっていくのかを考えさせられる作品だった。
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「この世界はさ、本当は幸せだらけなんだよ」
声の小さな皆川七海は、派遣教員の仕事を早々にクビになり、SNSで手に入れた結婚も、浮気の濡れ衣を着せられた。行き場をなくした七海は、月に100万円稼げるというメイドのバイトを引き受ける。
あるじのいない大きな屋敷で待っていたのは、破天荒で自由なもうひとりのメイド、里中真白。
ある日、真白はウェディングドレスを買いたいと言い出すが……。
岩井俊二が描く現代の噓(ゆめ)と希望と愛の物語。
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想像していた以上に惹きこまれてしまった。穏やかな日常を送る人間はひとりも出てこない。登場人物の誰もが、事情こそ違うものの、何かを抱え、平凡とは言い難い人生を送っている。それなのに、全体に流れる空気は静かなのである。不思議だ。切なくて、危なっかしく、それでいて確固としていてあたたかい。寂しいけれどとても親密な一冊なのである。ただ、映像として見るのは(観ていないが)ちょっと苦手かもしれない、とも思う。
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映画を観てから。
でも、どうしよう、映画を観ても本を読んでもなんにもわからなかった。すごくくやしい。
ただ、わたしは七海も真白も安室も、登場人物みんなが好きです。
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映画にさして興味があったワケではないのですが、やはり話題になっていると手に取りたくなります。
いやー圧巻でした。
すごく目まぐるしくて、作品の中でも何度も出て来るセリフを借りるなら「奇想天外」な物語です。
SNSで本音を吐く七海…しかも2つのアカウントを使い分けて。決して他人事じゃないなぁって思います。
そして何でも屋で、悪い人なのか善い人なのか分からない安室。むしろ悪人・善人なんて分かりやすく区別出来ることじゃないよなぁと改めて思いました。
そして、真白。どーしようもなくて、とても危ういんだけど、それがとても魅力的。
個性豊かな登場人物に彩られた作品は、ジェットコースターにでも乗った様なひと時を味わわせてくれます。
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映画を観る前にと思って読み始めたので、登場人物はなんとなくキャストのイメージで読んでいました。
文章はすっきりとして読みやすいものでしたが、ちょっと物足りなさも感じました。もっと分厚い本でも良かったかなと。
個々を丁寧に描くというよりも、人と人の一瞬の触れ合いを描いた物語という印象で、七海の人生は真白との出会いによって奇想天外な生活に巻き込まれながらも、最初から最後まで世間とはずっと繋がっていて、強烈な出会いに恵まれて引っ張られて流されて歩き出してと、人生は人との出会いで溢れているんだなと思いました。
真白も、安室も、偽の家族も、本物の父も母も、それぞれが自分だけの人生を生きているんだなと。
偽の家族が本物の家族とは違う、一瞬の妙な絆で繋がっていたシーンが一番いいなと思いました。特に最後の偽父。
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2016.4月
前半はよくない方にどんどん進む展開にしんどくなる。主人公を見ていられなくなる。でもきっと今の時代、こんなことたくさんあるんだろうな。人間と人間の関係ってなんなんだろう。裏だらけ。人間って弱いなあ。でも強いんだなあ。純粋。岩井俊二さん独特の毒々しい世界。これを映画でどうするか。見たい。
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小説と言うよりは脚本。まぁ、当然なんだが…。映画の予告を見る限りで期待して見る前に購入し読んだのだが映画を見るとたぶん化ける作品。稀代の映画監督は画を先行して書くのか、話を先行して撮ったのかそこら辺が気になるところ。そして黒木華と言う役者の演技力に気づかされるのだった…。