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『グラス氏の失踪』
フッド博士の元に相談に訪れたブラウン神父。知り合いである下宿屋マクナブ家の下宿人トッドハンターと娘マギーの恋。会談中に飛び込んできたマギー。グラス氏と名乗る訪問者との争いの音。縛られた状態で部屋に残されたとトッドハンター。部屋の中から消えたグラス氏の正体。
『泥棒天国』
イタリアの詩人ムスカリの出会った銀行家のハロゲイト家。美しいエセルに恋したムスカリ。旧友エッツァとの再会。山賊の横行する山道の旅の途中襲われた一行。ハロゲイト氏を誘拐し2000ポンドを奪った山賊。到着した警官隊の目的。
『ヒルシュ氏の決闘』
無神論者ヒルシュ博士の家の前で彼をドイツのスパイと告発するデュボクス大佐。自分の無実を証明するために決闘を受けるヒルシュ博士。博士の書いたという文書。フランボウの捜査の結果、すべてが間違っていると判明。ブラウン神父の持った疑問。
『通路の人影』
劇場の通路の人影。ウィンスモア卿、カトラー大尉、俳優ブルーノが訪れたローズ嬢の楽屋。自分の楽屋に戻ったブルーノ。通路に出た所を殺害されたローズ。ウィンスモア卿、カトラーの見た人影の違いの謎。逮捕されたブルーノ。衣裳係パーキンソンの秘密。
『機械の誤り』
ブラウン神父がフランボウに語る20年前の事件。アメリカの牢獄で慰問をしていたブラウン神父。所長のアッシャーが捕らえた脱獄犯。近所の富豪トッド氏のパーティでの復讐を目論んだと言うアッシャー。嘘発券機にかけられた犯人。凶悪犯と証言する女。所長の元に怒鳴り混むトッド氏。
『カエサルの首』
酒場で目撃したつけ鼻をした男をフランボウに尾行させたブラウン神父。酒場に似つかわしくない貴婦人からの依頼。クリスタベルの父親が彼女に残した遺産と兄に残した古銭コレクション。古銭コレクションからローマの硬貨を恋人に渡してしまったクリスタベル。古銭コレクションを盗んだことを強請の材料に使う謎の男。
『紫の鬘』
呪われたエクスムア卿。先祖の盗み聞きの呪いで耳が奇形になる家系。常に紫の鬘をかぶり耳を隠すエクスムア卿。エクスムア卿の土地を横領しようとした弁護士グリーン。エクスムア卿が呪いの言葉を発してから消えたグリーン。着替えを使用人に手伝わせないエクスムア卿の秘密。鬘が隠す物とは?
『ペンドラゴン一族の滅亡』
ブラウン神父、フランボウ、セシル・フォレスターが訪れた提督と呼ばれる男性の屋敷。近々正式な後継者である甥のウォルターの帰還がある屋敷。訪れた夜、燃え上がる塔。火事を消そうとするブラウン神父達を妨害する使用人。ジプシーの少女とウォルターの関係。
『銅鑼の神』
フランボウとリゾートホテルで食事をとるブラウン神父。その直前に舞台にあがり見学中に床が抜け発見したもの。何者かに銃撃されるブラウン神父とフランボウ。ボクシングの試合に沸く地元。試合を止めるブラウン神父。ブードゥ教の秘密。
『クレイ大佐のサラダ』
銃声を聞いたブラウン神父。敷地に侵入した怪しい人物を銃撃したと証言するクレイ大佐。逃げるときにくしゃみをす��犯人。クレイ大佐の友人パトナム少佐の屋敷から盗まれたもの。パトナム少佐が後見するオードリーと婚約していたクレイ大佐。精神をやみ破談になった婚約。
『ジョン・ブルノワね奇妙な罪』
アメリカ人新聞記者キッドが取材に来たジョン・ブルノワ氏。近くに住む友人チャンピオン氏のパーティに出かけたと執事に追い返されるキッド。チャンピオン氏とブルノワ夫人の関係。森のなかで殺害されたチャンピオン氏。森の死の直前にブルノワ氏に殺害されたと訴える。
『ブラウン神父の御伽話』
ドイツに併合された地方都市を訪れたブラウン神父とフランボウ。併合されるときに起きた事件。オットー公の死の謎。
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「新訳」だけあって導入部分によくある禅問答のような意味の汲み取りにくいブラウン神父の会話が、訳者の工夫や注釈が入ってる事などにより創元版より理解しやすくなってる印象。(それでもなお、禅問答みたいだなぁと思うところはあるので、そこはとりあえず読み流して話を進めるべしです。読み進めていくうちに「あぁ」と意味が通じてくるのでそういう読み方をするしかないかな、と)
前作が出てから3~4年経ってるので、次が出るのはまたそのぐらい先でしょうかね。楽しみに待ってます。
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原書名:The Wisdom Of Father Brown
グラス氏の不在
盗賊の楽園
イルシュ博士の決闘
通路の男
機械の誤り
カエサルの首
紫の鬘
ペンドラゴン一族の滅亡
銅鑼の神
クレイ大佐のサラダ
ジョン・ブルノワの奇妙な罪
ブラウン神父の御伽話
著者:ギルバート・キース・チェスタトン(Chesterton, Gilbert Keith, 1847-1936、イングランド・ロンドン、小説家)
訳者:南條竹則(1958-、東京都、小説家)、坂本あおい(1971-、東京、翻訳家)
解説:甕由己夫(1961-)
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ノロマな動きにみえて頭の回転は早いブラウン神父の名推理を描いた短編集第2作目。前作と比べると相棒フラウボーの出番は減ったがその分話が更にバラエティーになった感がある。分かりやすいような分かりにくいよう何とも言えない文章により人を幻惑するようなトリックは前作同様。
公正な機械でも判断する人間により誤りが生ずるというまんまのタイトル『機械の誤り』は本書発表の100年以降経った今でも通ずると思う。
シャーロック・ホームズは第二短編集で過去がある程度判明し『最後の事件』で劇的な決着を見せるがコチラの神父の場合キャラクターはハッキリしているが素性が謎めいていて神出鬼没的な要素がある。相棒が元泥棒現探偵(探偵も引退しているような仄めかしもある)という点も含めてやはり不朽の名探偵の一員といえるだろう。