紙の本
こんな風に
2018/11/11 17:56
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投稿者:ケロン - この投稿者のレビュー一覧を見る
世の中の片隅でひっそりと生きている人を、優しくていねいにすくいあげるような、あたたかい気持ちになる作品。
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読むのつらかったけど、なんか最後の50ページで全てがどうでもよくなった。この50ページのために読んでたんだと思ってたら、最初の数ページが全てだった……。
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小川洋子さんの小説を読む時は、一行・一行ゆっくりと、ひとつひとつを味わい、慈しむように。
作中の死は、いつも、生や命と隣り合わせで、ささやかだけど純粋で、美しいけど哀しげで。
「慎重な」小鳥たち。つぼ巣。遠慮深いツグミ。
レモンカナリア、十姉妹、セキセイインコ、文鳥。
メジロ。
鳥の名前は、私にもなつかしい。
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とても良かった。彼の人生が不遇だとかつまらないとは全然思わない。愛溢れる素晴らしい人生だと思う。
あらすじ(背表紙より)
人間の言葉は話せないけれど、小鳥のさえずりを理解する兄と、兄の言葉を唯一わかる弟。二人は支えあってひっそりと生きていく。やがて兄は亡くなり、弟は「小鳥の小父さん」と人々に呼ばれて…。慎み深い兄弟の一生を描く、優しく切ない、著者の会心作。
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とても優しい作品です。
私たちは社会の規範と理解を超える人たちに対してレッテルを貼り、見えないところに押しやることで安心して社会生活を送っている側面があって、そのことに気づかされると、私自身もそうやっておめでたく生きているのかなと思い、怖く悲しくなります。社会のそういう側面をとらえて、その一方で、司書や名誉園長のように心優しい人たちの存在も描きながら、なにか純粋で透明なものを小鳥の声に託している、そんな小説だと思いました。
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小鳥との不思議なやりとりが、現実の世界から優しく引き離してくれる様でした。
どんな人の人生にも、淡くせつない出来事がある。小父さんの図書館での様子は、小さい時の甘酸っぱい記憶を思い出させてくれました。
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「小鳥の小父さん」と呼ばれる、人と上手くコミニュケーションが出来ない、孤独な老人の物語。
小川さんらしい、ひっそりとしていて孤独で哀しいお話。
でも根底には温かさがあり、一生が美しく描かれていて読む手が止まらない。
独自の言葉しか話さなくなった7つ年上のお兄さんとの生活、お兄さんがなくなった後に始まった幼稚園の鳥小屋の掃除の生活、図書館で巡り合った淡い気持ち、いろいろな出来事を経験しながら、ただ淡々と描かれる毎日。
普通の人とは全く違った生活でありながら、でも普通の人と同様に普通に人生は紡がれる。
そのギャップの描かれ方、これこそやっぱり小川さんの作品なんだろうな。
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初の小川洋子作品。優しいお話だった。小父さんに新しい世界が広がるか?と思ったけれど、結局はいつもの生活のまま終わってゆく、でもそれが悪いことではないなと思う。小父さんは概ね、幸せだったはず。個人的に、子供の頃に巣から落ちた雛を育てたことがあるので、鳥は嫌いではないけれど特に飼いたいと思ったこともなかった。が、作中の小鳥の可愛いこと!小父さんが小鳥を愛でているのが目に浮かぶ〜
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ことりの小父さん。
場面展開も少ないし、単調でもありながら
それがすごく心地よくて。
ポーポーのキャンディの包装紙からつくられたことりのブローチ。それが増えていくとこが同じことを繰り返す彼らの時間をはかっている唯一のものに思える。お兄さんの死後、小父さんの人生はやはりことりと一緒に過ごしていくわけだが、時間とともに周りが変化し、その変化が小父さんに影響を否応無しに与えていって、頭痛というかたちで現れていく。
最後は(小父さんは安堵して休んでいるように死んでいるところから始まる)死んでしまうのだが、その前に飼われている目白をどんどん籠から出していくという、大胆な行動によって、小父さんの抱えていた息苦しさの様なものを発散していたように思えた。
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http://blog.goo.ne.jp/abcde1944/e/15e095707d05592f36a152fab9752cf3
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読み始めは、空気の薄い、高原にいるような、少しつらい感覚がありました。慣れるにつれ、「小鳥のおじさん」と呼ばれる男性の生涯は、とても美しいものであることがわかります。一生の間、僅かに出会う人々も、渡り鳥のように、凛とした、いさぎよい清らかさをしめします。今まで私が読んだ小説の中で、もっとも美しい心を持った人物になっています。
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兄弟愛を描いた一冊、平凡のありがたみを再認識した。
読んでいて著者の独特な世界観に引き込まれた
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鳥の言葉がもし理解できたら、きっと、この物語と同じくらい繊細なのではないかと思うほど、繊細で優しく静かな本。
ほんの少しの風の音、光、生き物の気配に敏感に気づく。そういう世界の中で生きている"小鳥の子父さん"の小さな生活の中に起こる静かな変化が描かれている。けれども、途中涙が止まらない程哀しくなったりすることも起こる。
ダイナミックな変化の中にだけ喜びや悲しみがあるのではなく、この小さくて静かな暮らしの中のささやかな変化にも、同じくらいの喜びや悲しみがあった。
本当に、この物語自体が鳥のさえずりではないかと思うような、美しく哀しく素晴らしい作品。
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鳥に関する優しい本とは思いつつもの
自分の中では消化できなかった内容。
もっとゆとりをもって生きていかなきゃと諭されているようでもあって。心苦しかった。。
ファンタジーを心底から楽しめるには自分に余裕がなきやだめなのかと。改めて実感。
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宝石の様に心のさざめく飴玉を、舐めて溶かしてしまうのは勿体無いと思いながら口に含むのを抑えられなかった、そんな気分で堪らずに読み切ってしまった感じ。読み進むにつれ、“小鳥の小父さん”の慎ましやかな人生に祝福の囀りあれと願って止まない気持ちに。多分それは、自らにも、慎ましくしたならば相応の報いを願う希望のような思いを誘い出されるから。