紙の本
続編もよみたくなる、そんな出会いがある本
2016/03/29 14:52
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投稿者:szk - この投稿者のレビュー一覧を見る
初あさのさん。なかなか文体に馴染めなかったけど、徐々にのめり込むことができた。かんかん橋のあるちいさな町「津雲」でのお話。真子ちゃんが中心ではあるけれど、わたしは菊さんの話と和久くんの失恋話がいちばん良かった。いつも悲しい顔をしていた菊さんの旦那さんが、唯一笑顔になれる、菊さんをお嫁さんとして迎えたエピソードは涙なくしては読めない。生きているうちに菊さんに話せなかったのも、昔の男性だからなのかなあ。長瀬鉄工所の社長の行く末も気になる。あの家族、再会することできたかな。そして最後の真子の決断。それでいい。
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長編ではあるけれど、複数の語り手による物語だった。小学生や中学生がこんな言葉知らないだろうとツッコミを入れたくなることはあったけど、人物の心情描写が繊細で引き込まれた。ラストは衝撃だった。
続編も出るのね。単行本だから高いけど、余韻を感じられるうちに読みたいな。買ってしまおうか。
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おそらく作者あさのあつこの出身地である岡山あたりを想定している、中国地方のある田舎町を舞台にしたお話。厚い文庫本でオムニバスに6つのストーリーが収められている。短編というには1つがもっとボリュームがある。町の真ん中には「かんかん橋」と呼ばれる古い石造りの橋。町の中を移動する時も、町から出ていくときも、この橋を通る。大人も子どもも老いも若きも、それぞれの人生。いろんなことが起きるけれど、それでもみんな頑張って生きているよね、って感じられる。
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菊おばあちゃんの話が好きです。
次に進む力が日常の些細な繰り返しの中にあるのだと伝わってきます。今いる現実を受け止める強さと、未来へ生きる価値が確認できました。
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田舎町にある小さな食堂「ののや」の真子を主人公とする少女の成長の物語。子供が大人になっていく時に感じる自己嫌悪のような感情を率直な言葉で綴っていく。子供に読ませ感情の起伏の疑似体験をさせたくなる小説だ。圧巻なのは、92歳おばあちゃん菊がまどろみの中で振り返る独白。17の嫁入から4人の子供と夫を見送るまでの過酷な人生に、涙がこぼれそうになる。あさのあつこ作品が重松清と並んで中学受験の国語の試験に引用される理由がわかる。
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ほっと一息つけるかんかん橋のような場所が誰の心にもあるだろう。
暖かい日も寒い日も、楽しい日も悲しい日も、周りのものすべてが自分の味方に見える日も逆にすべてが自分の敵に見える日も。
何をしてくれるでもないけれど、いつだって自分のことを見ていてくれているような存在があったことを思い出せた。
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先に続編を読んでしまったので結末を知っていたりもしたけれど、小学生の真子ちゃんがとても初々しくって愛おしくなる。在りし日の大将はこんな風だったんだあと妙に感慨深くなったり、母じゃない奈央さんに目を見張ったりでいつもと違う気持ちで物語をさかのぼった気がした。
こんな読み方もありかなと思った。
お菊おばあちゃんのお話もとてもよかった。