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愛知県豊橋市で困難とされたレモンの完全無農薬栽培を成功させた農家の物語。「奇跡のリンゴ」を彷彿とさせるけれども、木村さんののような先達のおかげか、あそこまでの艱難辛苦ではないようだけれども、もちろん相当な苦労をしているのは当然のこと。ただ、著者の場合は従来のミカン栽培も本筋として残しておくなど、経営者としての起用さも兼ね備えていたのが良かったのだろう。販売方法もいち早くネット通販を始めるなど、やはり先見の明があったようだ。
とにかく、食卓においては脇役であることの多いレモンについて、これほど濃密な情報に触れたのは初めてだったので、非常に興味深く一気に読み切ってしまった。
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異端児の讃歌
「農薬に対する違和感」が、
筆者をレモンの無農薬栽培へと駆り立てる。
「反骨心」
もともと本文中には一言も出てこない言葉だが、この筆者は相当に反骨心が強い。
既成の物に盲従しやすい三河人特有の気質からすると、かなりの「異端児」である。
筆者はプロの文筆家ではない。そのため表現のつたなさが散見され、特に漢字の誤用法はかなり現れる。
しかしそのことが却って、筆者の「異端児の熱き想い」を雄弁に語る。
筆者のレモン栽培のポイントは3つだけ。
・鉢植え栽培
・善玉菌による発酵技術
・害虫を食べる天敵の活用
後は栽培の苦労話とレモンに対するあふれる情熱がこの本を最初から最後まで貫く。
筆者の農法の主役は虫の活用である。
強い思い入れを持って独自の農法に取り組んでいる。
上記3つのポイントはそのためのお膳立てのようなもの。
ついついその熱気から私も「ファーブル昆虫記」を買ってしまった。
こうして他の本とのつながりを誘発するのも、また読書の楽しみである。
愛すべき異端児、レモンばか。
筆者の河合浩樹氏にぜひ会ってみたいものである。
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輸入レモンは安価で手に入りやすいが、国産レモンは高価で手に入りにくい。レモンには色々な調理法があるが、輸入ものは皮まで安全だとは言い難い。そこで、完全無農薬レモン作りへの挑戦が始まる。試行錯誤を重ねる中で、虫を使った栽培法にたどり着く。