紙の本
右肩下がり
2021/11/09 23:06
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投稿者:6EQUJ5 - この投稿者のレビュー一覧を見る
「衰退している日本」というのを意識せざるを得なくなったのは、いつ頃からか? しかし、避けられない現実。
そんな日本の今を佐藤勝氏が5人の論者と語った一冊。
表紙のタイトルも、帯の造作も、しっかり右肩下がりになっていました。
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経済成長の鈍化と格差の拡大、日本の今を覆う閉塞感。
佐藤優が、30・40歳代気鋭の知識人たちと“右肩下がりの今これから”を打破していくためのヒントを得んと編まれた対談集。
01)津田大介 情報を見極めること
情報の扱い方~自主メディアの作り方など、実践的なメディア術・仕事論。
02)古市憲寿 希望を持つということ
北欧やロシアでの生活から得た幸福や豊かさの見え方。
現状の幸福に気づかないのはもったいない。
03)萱野稔人 家族を持つということ
結婚、家族の原始性。
移民と共同体が成すものとはなにか。
04)木村草太 変化の中で生きること
現状への不満→変化を求めることへの危惧。
法律を一般市民のもとへ返すためのアプローチ。
05)荻上チキ いじめについて考えること
いじめを階級化させるな。対策は、予防と対処療法と。
未来の知識人階級をサポートする(古い狼から才能ある羊を守る)ことが使命だと語る佐藤。モスクワ在任によって“ポストモダンの影響”から疎遠だった彼が、「日本の知識人」を憂いながら未来へと希望をつなぐ。
1テーマ毎の対談形式なので専門的な内容に踏み込み切れていない分、気になるトピックが手軽に読めて視野が広がる。
若い方に読んでほしい一冊。
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父に、「カネは優君が将来、必要なだけ稼ぐことができる。ただし、家族での思い出は、お金では買えない。世の中にはある程度、歳をとらないとわからないことがある。お父さんの言っていることの意味を、優君もお父さんと同じくらいの歳になったらわかる。」と言われた。今になると父が言っていたことの意味がよくわかる
結局ツイッターは、自分が好む意見を集まる。自分自身の世間をつくるメディアだと思います。
ロックフェラー回顧録 誰でも億万長者になれるが、それを3代維持するのは難しい。なぜなら、大衆のやっかみによって反発にあうか、国家権力につぶされる。あるいは両方によってつぶされるから
潰されるにはどうするか チャリティーをすること、人の役に立つことをすること
開沼博 漂白される社会
日本が右肩下がりと行っても、それは人口減少に起因するものであって、そう悲観的になることはない。労働のミスマッチさえなければ、誰でも自分が生きる上で必要なものごと以上の価値を作り出すことができる
古市憲寿 希望難民御一行様
スウェーデン 警察国家
30年後 団塊ジュニア世代が高齢化
就職氷河期第一世代やフリータ第一世代とも重なります。つまり一生非正規のまま、結婚もせずに、貯蓄もせずに高齢者になった人々が大量に出現。しかも、世代的に一人っ子が増えているから、ほんとうの意味で彼らは単身高齢者になってしまう。そうすると、都心に高齢者スラムができるかもしれない。少子高齢化が、徐々に日本を、二流国、三流国に変えていくと思います。
人は自分に甘く、相手に厳しい条件を要求する
家族円満の秘訣は、一緒に食事を食べること
人間が他の動物と非常に異なること。ひとつは結婚制度。もう一つは家族みんなで飯を食うこと。食料を分け与えること。
パイが縮小してくると、交換条件がないまま、我慢や妥協案を押し付け合うことになる、マイナスの合意ってほんとうに難しいと思います。
離婚は結婚の3倍のエネルギーがかかる
結婚は相互の合意でできる。経済面でも将来性でも何でも、最初はとにかくお互いにいいところを見ながら結婚をします。そもそも若いうちは経験も少ないですし、ずっとお互いに若く健康できれいなままだと勘違いしています。
一方離婚の話し合いは、お互い完全の不信の原理で進みます。しかも10年以上一緒に暮らしていようものなら、相手の手の内を知り尽くしている。そうなるともう、ものすごい消耗戦になりますね。さらに片方が別れたい、片方は別れたくないと意見が決裂しようものなら、あっという間にストーカ事件に発展します。
これからの時代は知識が生きる武器になります。自ら進んで知識を求め情報を集める人とそれができない人の間には、どんどん差が開いていくでしょう
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読書メモ
津田大介:津田大介のメルマガは月4回配信で登録者8,000名、月額約650円。ホリエモンのメルマガは月4回配信で月額約850円。佐藤優のメルマガは月2回配信で国際情勢関係、登録者数1,000名を上限に。
古市憲寿
「起業者や成功者の話って、どうしても個人の努力や能力にスポットがあたりがちですが、実際はその背景にある環境的要素や社会的要素を無視できないわけですよね。生まれた地域、どんな教育を受けたかなどによって、その人が成功するかしないかはかなりの確率で変わってくる。」
萱野稔人
「そもそも結婚は個人の判断でするものではなかった。家族や地域といった共同体の意思によって行われてきたものでした。ところが戦後、結婚イコール恋愛のゴールというふうに概念が変わったんです。」「…フランスに留学していたとき、芽が出ずにいろいろな仕事をして食いつないでいる日本人アーティストをたくさん見ました。それから日本人ホームレスも。…中略…自分の家族とか国から、まったく切り離されて生きるって本当に大変なんだと。」「自由は素晴らしいというけれど、家族のような共同体を持たない個人が自力で生きていくのは本当に大変だし、いざという時に危ないものだと思いますよ。」萱野「家族ってやっぱり人間にとっての安全保障の最後の基盤というところが未だにあるのでしょう。」
木村草太:「憲法にしても、その他の社会改革にしても、何かを変えたいという欲求を持つのは、現状に不満がある人です。しかし現状の不満を正しく分析もせず、ただ何かを変えたいという思いだけで進んでしまうとどうなるのか。歴史を振り返れば、ファシズムに行き着くことになります。今の状況が改善される保証がなくても、「とにかく変えてくれる人」に付いていってしまう。帰ることだけが目的化する。」
萩上キチ:「『現代の日本のいじめはひどい、昔はここまでひどくなかった。』というデマを口にする人がいるのですが、いじめはどの国にもどの時代にもあります。そして報道イメージに反して、いじめの件数自体が増加しているわけでもありません。」「…(前略)検証効果のない、慢性的な『感動主義』をつくるなんて、百害あって一利なしですよ。」「いじめ・体罰の肯定論者って、よく教育効果を謳いますよね。でもいじめ・体罰に教育効果はありません。」佐藤「日本は「殴れば殴るほどいい兵隊になる」という旧帝国陸軍文化圏に属していますからね。(略)猫だって一度怒られたら、次怒られる前に逃げます。でもそれは健全な教育ではないですよね。」
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160511読書メモ
p75
「福祉が手厚い」というにも、見方を変えれば、家族の権利を国家が奪っていった歴史ともいえる。
p81
テキストの中で自分探しをするんだよね
p133
「何かを変えたい」という欲求を持つのは、現状に不満がある人たちです。
しかし現状の不満を正しく分析もせず、ただ何かを変えたいという思いだけで進んでしまうと(略)ファシズムに行き着く
p173-174
アメリカ→地域学区ごとにスポーツのプロフェッショナルが教育(アスリートのみ)
イギリス→レクリエーション
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前書きだけ読んで、早くも泣いている。
佐藤さんは相手のよいところを引き出す力と優しさを持っていると感じた。
「組織の掟」を読んでおくと、いくつかのエピソードが紹介された箇所について、より理解が深まると思う。
内容としては、生活と思考に余裕のある人向けになっていて、私のような凡人には合わないと感じた。もしくは、読み取れない程度だから対処を考えても無駄ですよ、ということかもしれない。
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佐藤優氏と5人の若いリーダーたちとの対談。
・SNSでは自分の好きな情報にしかアクセスしなくなると、自分に近しいコミュニティの話題が世界の多数派の意見のように感じてしまう「エコーチェンバー現象」を起こしてしまう。
・やみくもにネットサーフィンをして情報を集めるよりも、専門で情報を提供してくれる有料サイトを活用する方が時間というコストに大きな差益が出る。
・成功者には、「努力」や「能力」だけでなく、その背後にある環境的要素や社会的要素は無視できない。
・自分探しとは、旅をしたりして新たな発見をするよりも、自分自身を掘り下げる方が良い。そのためには、自分のことを知っている親、友人、職場の人などに話を聞くと、自分の価値を見つけることができる。
・教育格差などは、日本でもイギリスのような階級社会が出来始めているのかもしれない。
・専門家の実力は書評で分かる。書評力がある人の意見は信じられる。
・様々な分野で自分が信頼できる専門家を確保しておく。そうすれば、メディアや世論がおかしな方向に行っても自分で判断できる。
・家族円満の秘訣は食事を一緒に取ること。
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面白い!対談がミソ。え、今の話ってそうなの?そっちの方が気になる!みたいな。通りすがりにちょいちょい鋭い観察が出てきてワクワクする。結婚の項は特になるほど納得!佐藤ブランドの他の対談もぜひ読みたい。
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元外交官で今は作家の佐藤優と若手論客との対談集。
佐藤優の若手論客の分析が的確で、対談内容もバラエティに富んでて面白かった。
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佐藤さんについては僕はまだよく知らないのだけど、対談相手の人たちが好きな人たちだったし、楽しそうに対談している雰囲気と、対談のテーマも参考になって、読んでいて楽しかった。最近ちらほらと読書してるけど、やっぱり対談好きだー!
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若手エリートの方々との対談方式の本。
いろんな専門家との対談なので、話題も多岐にわたる。
どの方面の話にもついていける著者がやはり凄い
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●読んで得たもの
現在の社会構造に対する、さまざまな分野で活躍している20代から40代の人々の考え方
●感想
津田氏、木村氏との対談が興味を持って読めた部分。
現代社会の何が問題であって、それを改善するためにどのように対応していけばよいかということを読み取るのが難しかった。
他の本では、この本の対談者と反する意見が書かれているものもある。
対談者の考えを述べるだけでなく、反対の意見や考えに対する反論も知りたかった。
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佐藤優と、夜TBSラジオやJ-WAVEのニュース番組を聞いていると出てくる、僕と同年代かちょっと若い人たちの対談。ネトウヨの人たちからしたら罵声を浴びせたい人たちばかりだろう。僕は対談相手たちのラジオ番組をよく聞いているので、本書にもあったエコーチェンバーが起きているのかなあ、とも思う。
古市憲寿が、自分探しより母親へのロングインタビューを、と提言していた。だが本人はまだやったことがないという。佐藤の母親は沖縄戦で自決寸前まで行き、その後は余生だったのでは、という。その母親にロングインタビューをしているのだが、まだまとめられないのだそうだ。いずれ世に出てくるのだろう。楽しみ。あれ、本書の趣旨と違う。
佐藤は国際政治が専門と言いながらも、相手のフィールドでも十分に暴れられる、と感じた。この本、右肩下がりたる我が子にあげようと思うけど、読まねえだろうなあ…。