紙の本
井上荒野氏による男と女のやるせない大人のコメディーです!
2020/09/08 10:04
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投稿者:ちこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は、『わたしのヌレエフ』(フェミナ賞)、『潤一』(島清恋愛文学賞)、『切羽へ』(直木賞)、『そこへ行くな』(中央公論文芸賞)などの傑作で知られる井上荒野氏の作品です。同書は、ある朝、伽耶は匡にこう告げます。「あなた、恋人がいるでしょう」と。結婚15年にして、セックスレスの夫婦の会話ですが、二人の思惑はどうしようもなくすれ違っています。愛しているなら、必ずできるのでしょうか?女がいて、男がいて、心ならずも織りなしていく、やるせない大人のコメディーとでもいうべき一冊です。
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それぞれ恋人のいる夫婦の揉め事を描いたコメディ。
コメディというほど笑えるわけではないが、夫婦とその恋人たちの本音は共感する人も多いはず。キャンプのシーンはやりすぎな感があるが楽しんで読めた。
男女の感覚の違いは扱いやすいテーマ。でも、興味がわいてしまうのも事実だ。
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喜劇ではあるが、匡に感情移入して伽耶の面倒臭さにうんざりしてしまい、最後まで読むのがしんどかった。
誠一郎の視点に立っても面倒臭いと思う。
伽耶の視点に立てば・・・立てない。
いつまで経っても女性の気持ちが理解出来ない訳で。
著者の作品を読んだのは初めてなので、別の作品も読んでみよう。
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結婚して数年して子供いない夫婦だが、それぞれ不倫相手を持っている中で始まるストーリー。
かなりコミカルに描かれていて共感できるような、
ちょっと違うような。
でも、同じような夫婦生活を送っている夫婦は多いはず。
それなりに楽しめました。
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結婚15年目
お互いに恋人がいるセックスレスの夫婦
果たしてこの2人は何を選ぶのか
結婚とは夫婦とは愛とは今の自分にはまだまだ理解出来ないけれどいつかわかる時がやってくるものだろうか
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主人公の夫婦それぞれに恋人がいて、妻の提案から、何故か4人でキャンプに行くことになる…っていう、ちょっと理解しがたい物語。
コメディといったらコメディなんだけど、やっぱりこの人の作品に出てくる女の人は切ない。
この人の作品に出てくる女性は、相手への愛情はあるのに、相手からの愛情を以前のように感じることができず、愛情を形で示してもらうこともできず、女としても自信を失いかけている。そんな女性が多い。
どれほど好き合っていた2人でもいつかこんな日が来るのかな。
切ないな。
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女性は、
誰かの唯一の存在でありたいと、あり続けたいと、時として言葉や態度とは裏腹に、思うものなのかも、と。
伽耶は当然そうであったし、一見そうは見えない朱音にしても、匡の口から「妻を同志とおもっている」発言を聞くしな、あっさりと匡の前から去る。
それに比べ、男性は、より下半身に忠実というか、単純というか愚かというか。
女のほうが真面目でゆえに面倒なのが常。
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子どものいない中年夫婦のセックスレス。妻も夫も欲求不満。これが子どもがいる場合、妻がセックスを拒むようになると、夫のみが欲求不満。いずれにしても、そのはけ口を妻以外、夫以外の異性に求める気持ちは想像できる。しかし、異性の相手が明確に分かる場合、自分はとてもじゃないが我慢ならない。夫婦である伽耶と匡がそれぞれの恋人とキャンプに行くという暴挙が、夫婦和睦の切っ掛けになったようだが、それは倫理観の認識ではなかったように感じた。
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ドキドキしながら、せつなくなりながら、読んだ。
あの人もこんな感じだったのかな。
「へらへらしていて、ぺらぺらしていて、でもまあ、どこか味があって、独特で。」
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タイトルがもうずるい百点だって
タイトルが確信をついて。内容も確信をついて大変沁みました。
つらいきもちから逃れようと行動するんだけど
もっと意味わかんなくてドツボにはまるその痛さが大変沁みます。
ぶんこがでたらかってほしいな
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2021.3.18読了。
大人のコメディってあったけど全然笑える〜って感じの内容ではなかったよ。
結婚十数年の夫婦はお互い恋人がいて。
夫のことは愛していて、でも恋人は必要で。
愛と必要はどっちが上?
なんて考えて。
それをはっきりさせるためにちょっと不審な行動を取るんだけど(夫の恋人と飲んだり、4人でキャンプに行ったり)自分でも「何やってんだろ」って思ってたり。
結局は夫を選ぶよね。
恋人が必要っていうのは一種の暇つぶしなんだよね。まさに"遊び"なのよ。
特に本の中の恋人は自分を大切にしてくれてるって感じじゃなかったから尚更ね。
まあ夫婦なんてこんなもんよ。という感じの割と共感のある本でした。
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読了後、タイトルの意味がこんなにしっくりきたのは初めてかもしれない。
夫婦お互いが愛人がいてテーマは重いし、いい気分のものではないのに、内容はスラスラと読める。
実際自分がこういう状況になれば、こんなことコメディー要素ではないよなと思いながらも
ドラマの最高の離婚のように、途中途中はのほほんとよめた
お互いの愛人の存在を知るからこそ、他人に見せる顔が気に食わなかったり、1番は私でしょ?俺でしょ?が強い。本当にそこは愛ではなく、他の人より自分が勝っていたい気持ちなのかも。
結果的に夫婦に落ち着くけど、けしてハッピーエンドではない。
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どわ〜難しい問題にぶち当たった。「愛と必要」のどちらを取るか?愛する人間と、必要な人間。愛してる人から愛されていればそれでよいわけではなく、かつ必要としてくれなければ(性行為の対象として)心は満たされないという問題かなあ。浮気とか不倫って結局そういうことなのかなと思った。
夫婦には互いに恋人がいて、その恋人と四人でキャンプにいき……と、ここからどう展開していくの?と不安になったけど、よい着地点だった。愛と必要、どちらも重なる相手と一緒にいることが人間の幸せなのかもしれないね。
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読み手によってコメディと取るかリアルと取るか別れるだろうなこれ、うーん、なかなかリアルなとこ描いてくるな、と思ったらどんどんコメディ仕立てになってって、また少しリアルに舵を切った感じがあるけど、夫婦主体過ぎて不倫相手達の後半雑に扱われぷりがむしろリアルじゃないと思ったかな。ラストに含ませてるけど、こんなファンタジーじゃすまないと思うんだよな。まあ面白かったよ女性が書いてるってのもなかなか。
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井上荒野と出会ってしまった。彼女の小説が面白いと聞いて、どうしても読んでみたくて。しかし、果たして、初めての井上荒野が、この小説で良かったのか。
ダブル不倫を認め合う夫婦と、それぞれの恋人を加えた交流。四人各々の視点で描かれるのだが、性に開けっぴろげな大胆な女流作家ならではの言葉選びもさる事ながら、四人それぞれの気まずい空気感をコミカルに表現しながらも、頭に浮かぶのは「なんて前衛的な」という感情。そう、取り繕わずにはあり得ない世界を描く事への挑戦。
で、気になるのは、解説の香山リカ。セックスレスが女性のうつ病の原因というような大胆発言。どいつもこいつもプログレッシブだなあ。