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シリーズ第3作。
主人公が巻き込まれたバスジャック事件は、解決したかに思えたが、謎は深まるばかり、というのが上巻。バスジャック犯の職業に関して、ヒントが出てきた。
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(上下巻あわせたレビューです)
読み始める前から多くの読者の戸惑いの声は聞いていましたが、読み終えてどういうことなのかよくわかりました。物語の本筋であるはずのバスジャックとそれに連なる事件そのものが霞んでしまうくらいの衝撃がラストで待ち受けています。この後味の悪さは数ある宮部作品の中でも一二を争うのではないでしょうか。
人気作品をシリーズ化すると物語の中に安全地帯のようなものが作者と読者との間で暗黙の了解として育まれ、意地悪く言うとなあなあの関係というか、お互いに安心感をもって作品と向き合うことになると思います。実際、ちょっと浮世離れした杉村三郎の家庭は本シリーズにおける「安全地帯」であったわけですが、宮部みゆきはその状態を良しとせず、本作の最後でそれをぶっ壊してしまいます。固定読者が離れてしまいかねないある種ハイリスクな形だと思いますが、あえてその道を選んだ宮部みゆきの勇気を私は買いたいと思います。
「宮部ブランド」という言葉に現れているように、宮部みゆきは皆が安心して読める国民的作家であると同時に、常に何かしらの挑戦をしてきた方だと私は認識しています。文庫版下巻裏の内容紹介欄に「これぞ宮部みゆきの真骨頂」とありますが、本作に関してはなかなか意味深な一文だなあと思いました。
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いくらなんでも一人の人物がこうもいろいろな事件に巻き込まれることがあるだろうか、などというつまらないことを思わせる隙もない宮部みゆきのうまさ。すごい。
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「名もなき毒」は読んでて虫唾が走ったけどこれは面白いね。半日ほどで読み終えた。カラマーゾフのあとだからまるで漫画のようにすらすらいけますな。
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「皆さん、お静かに。動かないでください」。拳銃を持った、丁寧な口調の老人が企てたバスジャック。乗客の一人に、杉村三郎がいた。呆気なく解決したと思われたその事件は、しかし、日本社会のそして人間の心に潜む巨大な闇への入り口にすぎなかった。
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シリーズ最新作の「希望荘」が出たので、まだ読んでいない杉村シリーズを順番に読んでいる。これは「誰か」「名もなき毒」に続く杉村シリーズ第3作目。過去の物語がところどころに出てくるので、読んでおいた方がわかりやすい。
最初の方にバスジャック事件があり、これをどうひっぱったら「巨大な闇」になるのか…?上巻ではバスジャック解決後に別の事件も発生するが、つながりは見えない。
いろんな事件に巻き込まれるけど、杉村家の娘の桃子が成長してたり、妻の菜穂子も子離れしなきゃと言っていたり、相変わらずほほえましい。
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杉村が巻き込まれたバスジャック事件の話が大半を占め、後半途中からその事件の犯人に関連すると思しき話が明らかになり、杉村が調査に入ろうとする段階で終了。
著者が本作で、人間に関する何を問題としようとしているのか非常に気になります。
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シリーズ第3段。ただし、1・2の印象は(読みはしたけれど)薄め・・・。
1作目はたしか、自転車事故に逢った老人の、加害者を探していて……
2作目では、社内のトラブルに巻き込まれ……程度の印象。
さて、本編。
宮部さんらしい語り口で紡がれる“バスジャック事件”が物語の発端となるのだろうな、という程度の認識で読み始めたものの……なかなか話が加速してくれなくて、少々やきもき。
上巻の終盤数十ページを残して、一気に動き始めた。
上巻を終えて、やっと物語のスタート地点に立ったという感じ。
続きが気になり過ぎるっ!!!
★4つ、8ポイント。
2017.01.05.古。
※2017年の初読了。
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「誰か」、「名もなき毒」に続く杉村三郎シリーズ3作目。とにかく長い。主人公が最後、離婚してしまうのが意外な顛末。
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「誰か」「名も無き毒」に続く、杉村三郎が主人公の3作目。あまり、続編やシリーズものを書かない宮部みゆきにしては珍しいのですが、下巻まで読むと、そろそろ「名探偵もの」を書きたくなったんだろうなあ、と納得できました。ミステリ、推理小説では「名探偵」が登場するシリーズものって定番ですもんね。
宮部みゆきはしばらく古い作品ばかり読んでいたのですが、本作は2010年9月12日~2013年10月3日に新聞連載され、2013年12月に単行本が刊行されています。
ネットや携帯などの道具立てが最近(といってももう5年前ですが)のものになって、少し読みやすくなりました。と言っても、携帯電話とWeb2.0ぐらいのレベルで、その後のスマホとSNSという現在を代表する道具立てはまだ登場しませんが…。
あと、相変わらず高級車代表としてシーマが登場するのがなんか可笑しいです。バブルの頃の高級車代表が忘れられないのでしょうか…。この頃は全然売れていなかったはずですけれどね。
単行本は1冊で刊行されているのに文庫化に際して上下巻構成にされています。
その上巻では、バスジャックの犯人はおそらく<トレーナー>だったのではないか、と語られます。最近だとあれだ、「コーチング」。昔は「ST、センシティビティトレーニング」って言ったんですね。で、自己啓発セミナーやらマルチ(まがい)商法とは義兄弟だ、と。この辺の胡散臭さを一言で看破してくれてすっきりします。
で、伏線を敷くだけ敷いて、下巻に続くのですが…。
やっぱり杉村さん、巻き込まれすぎかつ首を突っ込みすぎ、です。
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ものすごい引き込まれて読んだ。
さすが宮部みゆき。この筆力はさすが。
上巻の1番の読みどころ(?)はやっぱりバスジャックシーン。
あの場面はもう手に汗握りながら読んだ。面白かった。
ただ、このシリーズに共通してることやけど、とにかく読んでいて嫌な気分になる。
人の悪意が漂う感じというか、なんかこうもやっと。
とりあえず下巻に進みます。
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上下巻読んでの感想。
取材帰りにたまたま乗ったバスで事件に遭遇した杉村たち。
犯人はやけに落ち着いた老人で、まるであらかじめ書かれたシナリオを演じるように淡々と犯行の指示を出していく。
杉村の上司である編集長は老人にある種の人間特有の臭いをかぎ、老人もまた編集長に対して何かを感じた。
それが何であるかわからないまま事件は解決し、犯人の老人は死んでしまう。
事件は終わったように見えた。
けれど、老人は種を蒔いたにすぎなかった。
誰も気づかなかったけれど。
悪は伝染する。
いや、すべての人間が心のうちに深く隠し持っている悪、いわば潜伏している悪を表面化させ、悪事として発症させる「負の力」は伝染すると言おうか。
少しずつ、蒔かれた種は目をだし新たな場所で花を咲かせる。
そして悪は拡がっていく。
悪を自覚した者は自らが抱える悪に苦しみ、無自覚な者は周囲を悪によって苦しめていく。
突然に宅配便で送りつけられた大金・・・犯人が約束した・・・現金を受け取っていいものかどうか。
人質だった人たちは迷いながらも、それぞれの事情から結局は悩みながらも受け取ることにする。
杉村もまた退職する覚悟を決め、人質だった人たちと歩調をあわせる。
老人は何のために事件を起こしたのか?
杉村たちは老人が指名した3人からある推測に辿り着く。
調べがついたことで、さらに苦しむ人間を作ってしまうとも知らずに・・・。
世の中には、こんなにも悪意が満ち溢れているんですね。
時代の流れなのだろうか。
それとも人の中に負の感情が少しずつ蓄積し、はけ口を求めているのだろうか。
事件が起これば、加害者宅だけではない。被害者宅にもいやがらせの電話をする人間がいる。
取材という名を借りて、正義面をしたメディアがハイエナのように関係者に群がっていく。
インターネット上にはもっと簡単に悪意があふれている。
文字を武器に、あらゆる悪意が大手を振って闊歩している。
悪意に立ち向かうにはどうすればいいのだろうか?
何よりも、どうしたら悪意に感染せずに済むのだろうか?
怖ろしいほど間近に悪意は潜んでいる。
大好きなシリーズだった。
登場人物にもそれなりの思い入れがあった。
だからこそ、衝撃的な物語となってしまった。
こんなことになるなんて・・・どうしてこんなことにという哀しみと、許せないという怒りと。
物語とはいえ、文字を通してこれまでに作り上げてきた私だけの思いもある。
いきなり鉈をふるわれ、粉々にされてしまった。
作家には作家なりの思惑があるのだろう。
この先の展開を見据えてのものかもしれない。
それでも、とても哀しい。
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バスジャックが発生し、事件は終わった。でも、解決していないという奇妙な状況となる。バスジャック犯はいったい誰なのか。
いつもながら、いつの間にか物語に引き込まれ、一気に読み進む。
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上巻の半分近く、バスジャックの描写が淡々と続く。物語がどこへ向かうのか、ペテロとどう関係あるのか、先が見えないままだらだら読み進めるのがちょっと退屈だった。
作品全体の社会的なテーマは「伝染する悪」、具体的にはマルチ商法や’人材開発’ということなのかな。どちらにしてもあまり縁がない話で、マルチ商法はともかく、STについては最後まで現実味が感じられなかった。
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事件があっけなく終わり、あれ、上巻の前半なのに、これからどんな展開が待っているのか、いろいろ想定するとなんかいい
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バスジャックに巻き込まれた主人公。ドキドキしながら読み進めると、上巻の半分であっという間に解決。でも、本当の物語はここから始まります。後半の展開が楽しみ。