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めっちゃ面白い。地味な表紙に反して、惹き込まれた。
どこからどこまでが、生命か。
これは結局キメの問題なので、百人居たら百通りの線引きがある。
が、ウィルスが割と移ろいゆくもので、我々も結構自由にいろんな機能を持ってなかったり、他者に依存してたり。
そんな事例がてんこ盛りで、本当に興味深い。
(しかも、知らない事が多かった!ポップサイエンス系の本はかなり読んでるけど)
本棚でたまたま目について、コロナウイルスについての理解を深めようと手にとったけどこんなに面白いとは。
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人間は新型コロナを駆逐しようと躍起になりコントロールしようとしているが、新たな変異という「ジャンプ」を引き起こすだけで、もしかしたら余計なことをしているのかもしれない。
生命はゆらぎのようなもので独立している生物という物はない。混じり合って存在しているカオス。
これは仏教にも通じる概念だと思った。
だから他人を病原体とみなして攻撃したり恐怖に駆られて人の夢を奪う社会は、ひとときのゆらぎに生きている私たちにとって健全であるとはいえないですね。
生命を一段高いところから俯瞰して見せてくれる本。
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ウイルスの基本的な構造や性質を紹介すると同時に、ウイルスを含んだ新たな生命観について考察した本。
ウイルスは時に人類とは対立する存在となってしまいます。しかし、本書で紹介されている胎盤形成の例のように、長い目で見れば、ヒトを含む生命は多くのウイルスからの恩恵を受けて進化してきている事を理解しました。
生命はそれぞれ独立した存在ではなく、長い年月をかけて他の生物との合体や遺伝子の交換を経て進化し、育まれてきたことを教えてくれる良書でした。
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ウイルスは生きている。著者はそう考える。
ウイルスは代謝をしない(他にもいくつか定義がある)、だから生物ではない、とされてきた。
だが、では生命とは何か、と考えていくと、我々人間だって個体として成り立つ生物か疑問になってくる。僕らの腸内細菌が持つ遺伝子の数は、ヒトゲノムにある遺伝子の数の少なくとも100倍以上あるという。こうなると僕はヒトの遺伝子を残すための存在なのか、腸内細菌のために生きているのかわからなくなってくる。
「丸刈りのパラドクス」が本書のもつ疑問の根底にある。何を持って丸刈りとするか、たとえば1cm以下なら丸刈り、だとしても、じゃあ1.05cmなら丸刈りと呼ばれないかというと、社会通念上はそうでもない。5cmなら違うと思うが、1.5cmならどうなのか? ウイルスと一般の細胞性生物の違いは従来のようなシンプルなことではないらしい。新たな発見が次々にある。丸刈りのパラドクスのような境界領域のことも起きている。
それにしたってウイルスの存在は不思議極まりない。寄生バチが産みつけた寄主に感染したポリドナウイルスは、寄主の免疫反応を抑制する。異物たるハチの卵・幼虫が体の中にいても気にしない、というふうにするのだ。それだけでなく、変態を阻止し、繭にさせない効果も発揮している。
このウイルスは寄主の体の中で遺伝情報を持たない。ではどうやって増殖しているのか? 寄生バチのゲノムDNAからウイルスに供給されるタンパク質を使って寄生バチ細胞で増殖するのだ。つまり寄主側に行ったらあとは死ぬだけ。我々が思い込んでいるウイルスの役割とはまるで違うように見える。
さらにおもしろいことには、こういうポリドナウイルスに対して抵抗性を持つウイルスを、共生細菌経由で持つものもいるという。いったいどうしてそういう進化が起きるのか? やっぱりウイルスは、従来の枠組みで定義しきれるものでもない。ウイルスは生きている、のだと僕も思った。
いやまあ、とにかくエキサイティングな本であった。
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ウイルスが生物の進化にかなり関わっているというむちゃくちゃ興味深い事実
腸内細菌も人にとって重要であることはよく知られてるけど、ウイルスは細菌に感染して細菌のDNAを変えているなんて知らんかった
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難しい、単語が専門的なので頭に入ってこない…
テーマはとても興味深い。
ウイルスと他の生物との違いを、例えで説明する部分はわかりやすかった。
哺乳動物の胎盤が果たす役割に、ウイルス由来のタンパク質があることも驚いた。
また、ウイルスが宿主となって寄主に引き起こす、操りとも思える現象にはこわい気さえした。
人は、人格としては他から独立した個体と言えるが、腸内細菌など元来ヒトが持っていないものとの共生によって、生を営んでいる。その観点からは、生物の個体とは曖昧で、様々な生物が長い歴史の中で混ざり合って生きており、独立などしていないと言える。
利己的な遺伝子、また読まなければ。