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演繹的に将来を占う
2018/05/07 20:57
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投稿者:hima - この投稿者のレビュー一覧を見る
著者は、自分は中国の専門家ではない、と卑屈にも嫌みにも取られかねないほど謙遜しつつも、あくまで冷徹に数理的、演繹的手法をもって、誰もが注目する中国の近未来に対する予測を立ててゆく。いわゆる「嫌中本」とは一線も二線も画した労作と言えるだろう。
著者が予言するところは、エキセントリックな結果を期待する読者にとっては消化不良かも知れないが、その予測の手法を一通り読み終えたあとでは大いに説得力と思わせるものである。今のところ言論界であまり脚光を浴びてはいない人のようだが、この著者のことは今後注目に値するのではないだろうか。
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中国のバブルは いつからはじまり、いつ頃に崩壊したのか?
バブルとは そもそも なにか?
アメリカのバブル
日本のバブル
アメリカのITバブル
そして、現在 中国のバブル。
バトンは 次は 誰に受け継がれるのか?
『資源国の不動産』オーストラリア、カナダ、ノルウェー。
バブルとは、『常識的な水準を超えた上昇』のこと。
では 『常識的な水準』とは?
PER。
上場株式の時価総額を名目GDPでわる。→バフェット指標
BRICS とは、誰がいったのか?
Brazil, Russia, India, China, and South Africa
投資銀行 ゴールドマンサックスのエコノミスト
ジムオニールが 2001年にいうことで広まった。
中国人 一人当たりのGDP が 9000ドルとなっている。
これから、更に伸びるのか?落込むのか?
中所得国のワナに 入るのではないか?
人民元の通貨が 安くなっている現状で
人民元の価値安定に 政府は動くと
人民元を買いささえて アメリカの国債などの外貨準備高を切り崩す。
それは、人民元が 海外に流出しないために必要である。
しかし、金融緩和措置をしないと 産業は育たない。
→不透明な中国経済の見通し。
その矛盾に 財政政策のジレンマがある。
人民元を安くすることで。国内の過剰在庫をダンピング輸出する。
アメリカの『新関税法』にオバマはサインした。
意図的な人民元安政策をとると アメリカを刺激する。
アメリカは 保護貿易的な政策に移動しつつある。
1つ目は「変動相場制の採用により、対外開放路線へ」
(安定成長シナリオ、名目5%程度の成長)、
2つ目は「「中所得国の罠」による長期停滞」
(低成長シナリオ、名目1〜2%程度の成長)、
3つ目は「統制経済の強化と対外強硬路線」
(対外戦争の可能性が浮上し経済成長率を語る意味がなくなる)。
筆者の主観的な見方としてそれぞれが起こる確率は
1つ目のシナリオが40%、2つ目のシナリオが55%、3つ目のシナリオが5%(158p)。
今後の中国の展開として、
人民元の変動相場制とすることで、市場開放をする。
会社の会計制度を 国際基準とする。
習近平は かくも 官僚の腐敗追及に チカラをそそぐのか?
どのような 思想が 背景にあるのか?
儒教と法家の2重的思考が これを支える。
この安達誠司という人は、中国経済をフレームの枠で
冷静に理解しようとしていることに 共感が持てる。
今の中国がどこへ向かうのか がシャープに見えて
面白い論調だった。