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人の生ということを、あくまでも宗教哲学的に探求し、精神的変貌を遂げるまでの、まさに内面の記録。いわゆる「じぶんさがし」とは全然違う。ニーチェの「ツァラトゥストラ」三段階変化を思わせる展開が、いくつかの人物との対話を通して繰り広げられる。大戦によってそれまでのヘッセの「平和」「叙情性」が崩れて、「神が死んだ」のち、どうキリスト教圏の人が生きるべきかが考えられている。東洋と西洋という二元対立を超えようとする。
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シンクレールは私だ、と思うことが、間々ある。
弱虫で、気弱で、そのくせそんな自分の殻を破りたくてもがく。
仕事、恋愛、友情、家族、日常。
心が沈んだとき、私は『デミアン』を読む。
読み終えた瞬間、まるでデミアンが私にキスを贈ってくれたような気持ちになる。
11歳のときに出会った本が、いまだに私を支えている。
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青春期の価値観の揺らぎを書き出した力作。
己の内に深く没入していながらも、外から見た自己も捨てきれず悩む主人公シンクレールに自分の姿を投影する人は沢山いると思います。涙も笑いもありませんが、読み手に深い共感を与えてくれる本です。
教科書によく載せられている『夜の孔雀の目(クジャクヤママユ)』を読んだ時は、かなりの衝撃を受けましたが、本作をある程度落ち着いて受け止められるようになったということは大人になったということでしょうか。しかしもう少し早くに読んでおけば良かったと思いました。
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幼少の頃の親や家の中にある明るい世界。少年になるにつれて眼前に広がり始める暗い世界。彼は暗い世界に浸るとき必ず罪悪を感じる。しかしデミアンという少年に会ってから世界の見方がだんだんと変わっていき、自己を究極にまで見つめようとするに至る。 とてもおもしろかった。ところどころ自分に経験のあるような心情や出来事があって昔を思い出した。
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主人公シンクレールが日常を通しデミアンに感化され成長し、そして変化を描きながらその心情がリアルに描写されている。
社会に対する懐疑をもち、如何にして生きるかという人の悩みをリアルに再現している。
そのヘッセの哲学に魅了されてしまった。
捉え方は人それぞれだが、いや自分自身、解釈しきれない・・・
もう一度読みたいと思う。
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高校生くらいに読んでたらベスト。
もうこの段階には届いてるので、驚きとかよりも、賛同になってしまった。
でも良い本。
人間は生活してると、知らぬ間に2種類の世界を持つことになる。
明るい世界 と 暗い世界
明るい世界というのは自他にとってのぞましい綺麗な世界。
暗い世界は自分の良心に逆らってしまう世界。エゴとか性欲とか。自分が出したくないのに出してしまう世界のこと。
暗い世界を見るということは悪いことじゃない。そこから逃げても生きていけるけど、そういう自分がいるということをまずは認めなきゃいかん。
人間は自然や歴史からの派生と考えると、自分の枠に制限を求めず、なりたい自分になることができる。
嫌な部分も含めて、自分で自分をつくり上げるのが生きる目的。
人間は見えてる世界が現実。と、考えがち。
でも人間はもっと主観な生き物。
自分の内面こそが、現実世界の全て。
内面を口に出すこと。すごく大事。
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ヘッセが、ユングの深層心理学にはまって書いた小説。
すごくおもしろくて深く迫ってくるのだけど、日常生活と折り合わないです。
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暖炉の火を見つめながら祆教(ゾロアスター教)のことを思い出したりとか、「鳥は卵の中から抜け出ようとたたかう。鳥は神に向かって飛ぶ。神の名はアプラクサスという。」というような台詞が出てくるところなどがとても印象に残る小説だった。最後のシーンの雲の重苦しい流れの描写も素敵だった。
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途中まではとても、とても好きになりそうだなぁと思ったのに、終盤に向けて「?」となった。別の小説がくっついたみたいな気分。
こういうの嫌いじゃないけど、あまりに思い込みが激しいのは危険。
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大人になるには葛藤が必要やんね。
2つの世界を行き来する多感な少年シンクレールくん。
深いです、でも宗教色が強くて共感できにくい部分もあったり。
デミアンの存在は私にはめっちゃなぞやった。
彼は何者?
人間ばなれしてるような。
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車輪の下を読み終えた後にヘッセが気になり始めて購入した本。大学生の時に買ったのに途中で飽きて結局読み終えたのは4年後ぐらいになった…。
まぁ読んでみれば面白いですが結構難しいですね。
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少年の脆くて危険な心の様を描いていたけれど、読むごとにどんどん落ちていってなかなか先に進むことが出来なかった。読み終わった後もそこから何かを得られた実感は無く、ただ淡々と文字を目で追っていただけのような感覚に陥った。
外国文学って、やっぱり少し苦手です。
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気弱な少年が不思議な少年デミアンとの出会いから、何かに目覚め、妄想に駆られ、悪にあこがれていく話。結局どこにも行き着けないのだが、キリスト教の強烈なテーゼにメスを入れて、善悪の明確なコントラストを打ち崩すような流れがある。第一次世界大戦の悲劇を目の当たりに、ヘッセが苦悩から書き上げた名作。東洋の宗教哲学がゆっくりと流れて入るような、ヘッセ自身の混濁がなんとなく読み取れる作品。わかりづらさもある。
09/4/30
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精神分析の影響を強く受けたヘッセの作品。
全体を通して主人公シンクレールの精神的成長、自我の追及というものをモチーフとしている。
自我の追求とは自分に正直にということなのだろうか?
登場人物のエヴァ夫人とは、恐らくシンクレールのアニマではないだろうか。
そして光の世界、暗の世界とは自我、もしくは意識の世界と影、もしくは無意識の世界のことではないだろうか。
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「鳥は卵の中からぬけ出ようと戦う。卵は世界だ。生まれようと欲するものは、一つの世界を破壊しなければならない。」革命とは。私たちの内心を揺さぶるものとは。。若いうちに読んでもらいたい一冊。