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紙の本

新しい歴史改変小説

2017/01/31 16:49

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:kapa - この投稿者のレビュー一覧を見る

「プランD」というタイトル、またカバーデザインに地下鉄路線図?が使われているので、事件のあった場所のことかと思ったら、読み進めていくと「ドイツ再生計画」のことだとわかった。本書は、最近面白い作品が多い、ドイツ「警察小説」Kriminal Romanなのだが、そこにいわゆる「歴史改変小説」の内容も盛り込まれた新しい形の小説である。これまでドイツ関連の「歴史改変小説」というと、ナチス・ドイツが第二次世界大戦で勝利をした後の世界を舞台にすることが中心であったが、本書は、1990年の東西ドイツがなかったという設定になっている。ドイツ再統一が20年以上前の「歴史」となりつつあることを反映しているのだろうか。
舞台は東西ドイツに分裂したままのベルリン。1990年東ドイツが「再生」という名のクーデターを行い、壁の解放・国家保安省(シュタージ)の大幅縮小などの民主化を進めるも、人口流出が止まらず、再び壁で分断された都市になってしまう。東はクーデターを主導したエゴン・クレンツ、西は社民党左派のラフォンテーヌが指導者となっている。史実ではクレンツは失脚したし、ラフォンテーヌはシュレーダーに敗れて政界の表舞台から消えてしまった。破綻寸前の東は、西ドイツがロシアから購入している天然ガスのパイプラインを敷設しているので、いわば「通行料」を外貨として獲得している。
西は「通行料」改定条件として、東の民主化を要求するが、その民主化を疑わせるような、存在しなくなったはずのシュタージの手口を使った殺人事件が、あろうことかガス・パイプラインの要衝の地で発生する。しかも殺された人物が、西側から東に移り、「再生」を進めた学者。西側は取引条件であった東の民主化、シュタージの縮小に疑問を抱き、東西ドイツの刑事による合同捜査が進められる、という設定。
他のドイツ「警察小説」の主人公と同じく、本書の主人公ヴェーゲラーは冴えないオヤジ刑事。一方西側刑事は、ベンツSクラスを乗り回す対象手系なスマートな刑事、というお約束通りの人物設定。ヴェーゲラーは、刑事になってからの師の行方不明死、そして今では天然ガス輸送官庁のエリート官僚となったモト彼女への断ち切れぬ思い、とやはり過去のトラウマを背負っている、というのも同じ。長々と展開される主人公の妄想・モノローグには辟易とさせられるところはあるが、後々この物語の鍵である裏切り・不信の伏線が用意されてはいるが。
東では、監視国家の名残か、携帯電話だけが唯一西側技術を凌駕しているが、自動車は旧トラバントの後継車しかない。読んでても、排気ガス・ゴミ・廃墟からのにおいが鼻につきささってくるような描写がすさまじい。また、ポルノ小説かとおもわせるような描写もあり、著者の筆力には驚かされるところが多い。
最後は西も東もわからなくなるような、裏切り・不信が渦巻きながら、事件が解決に向かっていくのだが、最後はこのまま東西分裂のままなのか、また「再生」するのか、を問いかけるように終わってしまう。実在する政治家等(但しロシアのエリツィン、プーチンは登場しないが)を使っているので、結末が制約されてしまったのだろうか。
今後「歴史改変小説」として、東西ドイツが統一されなかった世界、また、今回のBREXITのようにEUは失敗に終わった世界が使われるようになるだろうか。見方によっては、トランプ大統領の登場も「歴史改変小説」のようなものかもしれない。

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