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人間にとって「配偶者」と「親」、どちらが関係として近いものなのだろう。
それぞれの立場から考えると、強く結ばれている、近しい関係なのはこちらだ、と言えるかもしれない。そしてそれはきっと、どちらも間違いではない。正解もない。
人と人とが関わるとき、配偶者、親子、友人、知人、仕事仲間、などと名前のついた関係で自然と序列を決め、その立場に合った行動・言動を周りが求めてしまうのは自然なことだと思う。ただ、本当の繋がり方、適切な距離というのは当人同士にしかわからない。自分がその人と近しい関係だからといって、誰かがその人に関わるときのふるまいに対して正解を求めたり、許容範囲を作ったりしてしまうのは、自分の物語を相手に押しつけているだけなのかもしれない。
どんな関係であれ、関わることで繋がりの線が生まれる。近い存在だけが輝いているのではなく、遠くに存在することで輝くものもある。それぞれ近づいたり離れたりしながら、無二の輝きを放つ美しい距離が存在している。
この本に登場する人物は皆優しい。とくに、がんを患う妻をもつ主人公の視線や気持ちの逡巡が切なく美しい。生きていても死んでいても、宇宙の中にひとり漂うことになったとしても、生まれてきた以上、自分にはそこかしこに輝きをもった線があるのだな、と思えた一冊。
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40代の奥さんが癌で亡くなるまでの闘病生活に寄り添う夫の葛藤や気持ちの揺らぎを淡々と描いた作品。その描写があまりにもさらっとしていてスラスラと読めてしまって、その後に残るもやもやした気持ちやら何やらがリアルに伝わって来て、現実はこんな感じなんだろうか、と想像しながらあっさり読了。物語を相手に押し付けない、という点に少し考えさせられたけど、ガツンと来たと言うよりは、静かに通り過ぎていった作品。
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1978年生まれ、「カツラ美容室別室」「かわいい夫」「太陽がもったいない」の山崎(やまざき)ナオコーラさん「美しい距離」、2016.7発行です。読後、しばし呆然としました。30数年前の父の死、数年前の母の死の「とき」が思い出されました。結婚して15年、40過ぎの夫婦、がんで入院中の妻を見舞い、看病する夫と実母。死に向かう妻の姿を夫の目で、心で追い、死後の気持ちを語る切ない物語です。「妻と出会い、急速に近づき・・・、そして今、離れ続けている。でも、遠くても関係さえあればいい。」
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ちょっと悲しい話。ケアマネージャーがむかつきました。娘に先立たれる両親のきもちはあまり描かれていない。
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こんな距離感で大切な人と生きたい。そう思えた。こんな風に死を迎えられるだろうか?大切な人に会いたくなった。
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ナコオーラさん色々読んだけど、こんな話も書くんだという単純な驚き。
そして頭にぼんやり浮かんだ感情を実際の言葉に起こすのがとても上手だと思った。
こういうことが言いたかったんだ、という。
余命を告げられた人だけが死と向き合って、そうでない他の人は皆生と向き合って生きている
というフレーズが印象的。
愛する人の死にこんな風な向き合あかたがあるんだな、という発見と感動。
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読み初めた時に最後は泣かせる物語かと思ったらならなかった。
主人公と妻距離感は良かったしタイトル
の美しく距離とは流石と思った。
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40代で不治の病になった妻とそれを看病する夫の話(´-`)タイトルどおり美しい距離の二人だ(^^)今までに自分も身近な人を見送ったり、看病したりしてきたから、夫の想いに「あぁそんな事もあったなぁ」と共感しながら読んだ(^-^)そして自分に死が迫ってきた時、妻のように生きられたら良いな~と思った(*´ー`*)しかし私は先祖さまに呼びかける時も本書の夫のように敬語じゃなく、タメ口だ(^^;)
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山崎ナオコーラの価値観が好きだが、今作の夫婦の「美しい距離」にはあまり共感できなかった。共感できないというか、主人公の妻への思いやりがそこまで考えて面倒くさそうだなという印象。また、妻が周りの人に愛されている様子が美しくて、そんな人間関係のない自分には何だか違和感がある。
ただ、主人公が妻の世話をすることに喜びを感じている点は好きだ。亡くなった時に耳元で「愛してるよ」と囁く姿が美しい。
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末期がんに侵された妻を看病し、看取る生命保険会社勤務の夫の物語。看取り方を考えさせられる。静寂な文体だが、最愛の妻へ少しでも多くの時間を過ごしたい一心で看病する姿は夫婦への愛情、ぬくもりが感じられる。妻の両親、会社へ介護休暇申請しに行った際に上司が家族を看取った話と合わせて、会社も仕事と介護のサポートへ協力したり、サンドイッチ屋関係の人たちなど、多くの人に支えされ、生きていることを感じさせる。看病しながら普段通りの生活をする夫婦の関係と葬儀屋のやり方との間にずれが感じるほど自然な夫婦関係を感じる。
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生と死、家族や夫婦、働き方、社会との関わり方、死の迎え方、言葉の受け取り方...色々考えるとこれはがあった。これからも、節目節目に読み直したいなと思う一冊。
ガンで余命僅かとなった妻を見舞う夫。
妻の看病。
寄り添う夫婦。
やってあげたいことは沢山ある。でも、できることは自分でしたいんじゃないか。
看病の中で、義母から言われる「ありがとう」の違和感(家族なのに)、医師や看護師、介護度認定者の言葉、「死を避けるためのサンプル提示」を求められるような他人からの言葉...
胸の中に起こるいろんな思い、疑問、反論が、夫の声を通して事細かに書かれている。それを読みながら、こちらも立ち止まり、想像し、その場面を考えることが沢山あった。家族が死ぬのと妻や夫が死ぬのはまた違うんだな、とも感じた。
「仕事というものを、誰かを幸せにする行為だと思い込んでいた。他の誰かを幸福にする代わりに自分が社会で生きていくことを許されるのだ、と。だが、違うかもしれない。...」
仕事や働き方に関する記述に、共感する部分もあった。自分の幸せは何なのか。何を持って幸せを実感できて、伸びていけるのか。他人のために、だけでは、頑張れても限界がきてしまう。久々に、医師・吉岡秀人さんから学んだことも思い出した。
今まで読んできたナオコーラさんの作品とは少し印象が違い、どんなときに、どんな思いでこの作品を...と思った。発行時のインタビューやらを遡ってみたい。
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島清恋愛文学賞受賞とタイトルに惹かれて読み始めました。人間関係とは時間と距離感だとつくづく感じる。それに加え自分は病を経験しているので共感出来ることが多い作品です。したにー、したにー、はありますよね。自分達の物語に他人が勝手に入り込む失礼さはよくあるけどそれはそれで仕方がないのかも。寿命は死ぬ時、ほぼ決まっている運命なのかと。因果論では人の一生を語れません。
芥川賞選考会ではいつものように酷評される方がいますね、体質の差なのかな。その選考委員がいる限り賞は取れないと見ます。
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妻と紡ぐストーリー
決してハッピーエンドではない
けど悔いのない終わりだったと思う。
こんな夫婦になりたいと思った。
と同時に、やっぱり妻には迷惑はかけたくないとも思った。
介護を迷惑ととるか、
相手にしてあげれる事と取るかは気持ち次第。
人からの言葉も
悔やみや心配ととるか
余計なお世話ととるかも、気持ち次第。
気の持ちようと距離感、
人との関わりが繰り返される物語だった。
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2017/3/20
死と向き合う時。本人は、パートナーは、親は何を思い暮らすのか。
死は確実にやってきて避けられない。早いか遅いだけ。それは正しいけれど、実際に身近な死に直面した時、現実は残酷で過酷。
最近知人が亡くなって呆然としていた時に読んだ本。
事故や突然死であっという間に死ぬのか、病気で徐々に弱って死ぬのか。それを選ぶことすら出来ない。
悲しみと苦しみと混乱の中、支えてくれるかもしれない本だと思う。
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初めて読む作家さん
前情報なく、本屋さんで見かけて衝動買いしたけど、買ってよかった
色が多い
読みやすい
まだ体験したことがない、近しい人がいずれ死ぬということを、読み終えてから死にゆく側と死なれる側とでちょっと考えた。
後、急にそうなるのと、緩やかにそうなるのと、どっちがいいのかとかも…答えは出なかったけど…