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投稿者:Fuji - この投稿者のレビュー一覧を見る
「人はズルなしで生きられるのか」
自己が定めたルールで生きる著者。
ただそのルールはフェアなのかは不明。
自己に都合のいいルールのなかで生きていれば、ズルなど存在しない。
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2016/7/9 Amazonより届く。
2018/6/12〜6/20
サバイバル登山家、という新しいジャンルを作り出した服部文祥さんの筑摩新書から発売されていた「サバイバル」に加筆して文庫化したもの。
食料等を出来るだけ自前で現地調達する、というのは確かに昔の人が行っていたであろう、原始的な方法。読む分には面白いが、実際にやろうとすると大変なんだろうなぁ。
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出来る限り道具に頼らず己の能力で道具に置き換えて行く。食べ物は米と調味料。タンパク質は釣りで確保。テントは持たずタープと寝袋。電気製品は持たない。
なるほど、これは男としては憧れを抱かざるを得ないでしょう。孤独に山をうろつき星空の下で眠る。
でもきっと臭くて暑くて寒くてひもじくて寂しい。若い頃なら絶対影響受けて山の中でしばらく実践していたかも知れないです。
ルール作りが基本マイルールな感じなんで境界線が分かりませんが、その辺りが中学生っぽくてなんだか可愛い。ここまではダメだけどこれは持って行っていいとか。
なんだかんだ面白くて、デビュー作もすでに買ってしまいました。
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「意外とカワイイ人だな」が読後の感想でした。
極力道具を減らし、米と調味料以外の食料は現地調達し、できるだけ"ズルなし"で自然を相手にするサバイバル登山家・服部文祥さんの著作です。
内容は、実際に登山した時の模様と、道具の説明などを書いた実用的なパート、そして登山・自然に対する服部さんの考えや思想、若い頃について書いたエッセイ、といったところ。写真や図解はほぼなく、文章一本勝負ですがこれがまたグイグイと読ませる文章で、とても面白く読めました。冒険記部分ももちろん面白いですが、服部さんの思想や哲学、死生観、自分を深く見つめる時の表現が特に面白く、文章がまっすぐストンと心に落ちてくるようで、服部さんの考えにしっかりタッチできた実感があります。
この本を読む前は、服部さんは自分と他人に厳しく、正直すぎて融通がきかない、図太い神経の持ち主で、理屈っぽくてカッコつけで、孤高ゆえに人を寄せ付けない変わり者(がゆえに面白い)と思っていましたが、この本の中の服部さんはそのイメージとはやや違います。意外にもカワイイのです。カッコつけきれてない思春期男子を見ている気持ちになる場面がちらほら(笑)。
サバイバル!と言いつつ時に山中の人工物の誘惑に心揺れたり、他の登山客に対して自意識過剰だったり、カッコつけたがったり、そんな自分にツッコまずにいられなかったり…なんというか、自分の内面を正直に書いているがゆえに「そんなこと書かなけりゃ最後までカッコつけられたのに」と微笑ましいです。でも自分に正直でないと登山はできないだろうと思います。自分の体調や能力や気持ちを、虚栄心から高く見積もることは登山では命取りになるでしょう。
小難しくとっつきにくそうなオジさんと思っていましたが、憎めない可愛い人だと思いました。以前テレビ番組で服部さんが某登山家を批評した時、「登山家として3.5流」と言いつつ「彼はいい奴らしいから、会ったらほだされちゃうかも」と苦笑していましたが、服部さん自身も結構人たらしなタイプなのかもと思いました(笑)
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「サバイバル登山とは過去への回帰ではなく、自分の力で山に登る最新登山なのである」
筆者によって独自に編み出された「サバイバル登山」の実践と思想を綴る著作。300ページ強。全四章で、それぞれ思想的な背景、実際の山行例としての北アルプス縦断記、具体的な個別の方法論、過去の印象的なエピソードを基にしたエッセイ集と、章ごとに明確に色分けがされている。「増補」分は第三・四章に追加されている。文庫版あとがきも含め、新書版からの追加は70ページほどとなっている。
本書は著者による二冊目の本だが、章立ての内容やコンセプトとしては第一作の『サバイバル登山』に近い。そのため、著者の思想の根本的な部分を著作から読んでみたいけれど、単行本でしか出版されていない『サバイバル登山』には手を出しづらいという読者に訴求しやすい。
挑戦的な副題「人はズルなしで生きられるのか」は実験的な企画の検証のように映るが、要するに「≒サバイバル登山」であって内容そのものは前著同様に著者の普段からの活動の書籍化である。また、「ズル」ということについての考察は第四章の第五節、「ズルをしない悦楽」(増補前の実質的な終局部分にあたる)に集約されている。副題については『サバイバル!』だけだと前著との差別化が難しくなることによる苦肉の策かもしれないが、著者の活動を知らずに前述のような期待をして肩透かしを食らう読み手もいるだろうことから、ややアンフェアな名付けには感じた。
サバイバル登山そのものは例えばライターやゴアテックスの雨具を使うなどは許容範囲とするなど、原理主義的な実践ではない。サバイバル登山はあくまで生の実感を得るための方法論であって、とくにストイックさの限界への挑戦を目的としたものではないからだ。個人的に思い浮かんだ身近な例としてアウトドアの活動とは正反対のジャンルだが、TVゲームの「縛りプレイ」が近いものを感じる。
私自身は具体的な登山や川釣りといった具体的な内容にはあまり興味がないのだが、著者の考え方に魅力を感じて著作を何冊か読んでいて、本作も全部ではなくてもそれなりに興味深く読めた。サバイバル登山の経験から著者の考察を経て得られた警句が随所に散りばめられている。その点を要約してみるなら、「ズルをしない」ということはつまり生きる実感を得られる活動に必要な方法論であり、そこへの誘惑が本書の狙いといってよいのではないだろうか。
少し余談だが、著者の本のなかで一般にもっとも親しみやすいのは、半生記も兼ねた『サバイバル家族』だと思う。