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「車に乗っていきませんか?」ではなく「じゃー送るよ」という。自分のやりたいようにやる。断られたら「あ、そう。いろんな人がいるなぁ」でOK。そんな自殺希少地域の話。
そこでは、誰かが困っている時、自分にできることは自然にやって、できないことは誰かに託す。問題は予防したって起きるから、起きた時に柔軟に対応する。効率化を求めると見えなくなるものが見える社会。ゆるく広くつながる人間関係…。
そういう地域にきてから、人を助ける“ようになった”という人が「ここにきたら、そういう方がいいと思って」と語る言葉が、その社会の居心地の良さを表す。
おそらく素直で謙虚な性格であろう著者の、理想化された思い込みがかなり反映されているのでは?と思うきらいもあるけれど(著者もそれについては前書きで予防線?を張っている)この取り組み自体がとてもおもしろいものだし、机の上の理論や研究結果からは感じない温度があって良かった。
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フィールドワークの考察は優れており、端的にまとめられたキャッチコピー的な特徴はわかりやすい。一方で、全ての現象に仮説を立て結論づけようとすることで無理矢理感が出ている箇所も多い。
特にNPOやオープンダイアログが重要であるという説については、結論ありきで文脈からすると唐突な印象がある。著者自身のネガティヴ・ケイパビリティが不足しているのではないか。
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本の趣旨や目的がとてもはっきりしていたので読みやすかった。
自分の考えとリンクしていることがとても多く、肯定された気持ちになった。
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タイトルに集約されているように思う。「何かはおこる」「なるようになる」。人は色々な考えを持ち、多様性があるということと、それを受け入れること。そして自分というものをしっかりと持っていること。自分を持っているということは、他者もまた違う考えを持っているという考えに至るということ。それぞれがしっかりと自己を持つ。そして互いに認め合う。そこで初めて対話が成り立つ。対話の重要性もまた興味深い。
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すごいタイトルだと思ったら、サブタイトルもずっしり。自殺が少ない地域での聞き書きだった。
タイトルにもなっている「ひとの話をきかない」というのは、自分をしっかり持っていて、相手に何かを勧められても、興味がなければ絶対にその行動をしない、ということだ。
なんてこった、僕はそうなんだけど(妻に言ったら、妻もだった)。
さて、自殺が少ない地域というのは、それぞれの地域にハッキリ色があるようだ。血縁が非常に強い地域もあれば、そういうのがまったく薄い地域もある。特徴を探すとすれば、地域が何かの目標を持っている場合に、そして人数がある程度少ない場合に「そうなる」、のかもしれない。
とはいえ、登場する地域が、みな助け合い幸せな地域、というわけでもない。外から親密に見える関係も、実際はそうでもないこともあるようだし、母子家庭が多い地域もある。悪口や陰口だってあるし、いわゆる寒村もある。
事例が出てくると思ったら、それは自殺希少地域の特徴ではない、なんていう表記が続いたりして、全体像はなかなかつかめてこない、と思っていたが、いつのまにやら、自殺希少地域が持つ雰囲気が伝わってくる。自分を強く持ちながら、他は否定しないし、まあまあ関わっていく。そんな感じかなあ。タイトルから想像した本とは全然違ったけど、なんかいい感じ。
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◯ 多様であることを包摂できていたならば、違う意見があってもそれを排除しない。(51p)
◯ 何かあるのが当然としてこれを解決しようとする組織は変化に対応できる。(64p)
◯ 「どうしますか?」と相手のことばによる返事に答えをゆだねるようにはあまり聞かない。「こういうのがいいと思うんだけど、どう?」と聞く。(135p)
◯ 職場の人間関係がよくなる最低限の原則は、目的を同じくすることである。(149p)
★精神科医が自殺の少ない地域へ行って、何が違うのか調査した記録。最後の章にまとめがあるが、調査レポートというより旅のエッセイのよう。ただ人間関係とか組織のあり方とか広く参考になりそう。
★多様性とかジェンダー平等とか時代の方向性と合ってる。
★生きづらさは対話の少なさから生まれる。オープンダイアローグ。
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この本は社会調査の分類でいうところでは、質的調査法の中のインタビュー調査、参与観察を中心として筆者の感じたところ、考察を述べた本である。しかし、本書は社会調査的にも組織マネジメント的も、また自殺防止、予防の観点からも参考になる点が大変多い。
私たちは現代社会は人間関係が希薄だから自殺者が多いんだ、考えがちだけれど、実は自殺の多い地域は人間関係は「緊密」と回答する人が多い、という結果はとても興味深い。
「緊密」な人間関係を持つ会社
「緊密」な人間関係を持つ学校という社会
「緊密」な人間関係が時に問題を生じさせる社会
色々な関係性の中で緊密過ぎる故に問題が生じ、その人間関係から逃げられずがんじがらめになり病気になったり、自死という選択肢を選んでしまう、ということなんだろう。
また、筆者は自殺希少地域の特徴を複数挙げているが、その一つが「理念で向かう方向を決める」という点なのが興味深い。組織内の人間関係がよい組織は共通のゴールを目指している、というものである。みんな違うことを前提とし、違う意見は話し合えるから対立や派閥がない。そして、みんなが共通のゴールを目指して話し合い、同じ方向を見て進んでいける。組織マネジメントの視点からは当然の考え方だけれど、自然にそれができている地域は自殺者が少ないなんて大変面白い。
シンプルなことけれど、地域住民全員が共通理解を持って本当にその方向に進んでいくことは大変難しい。けれども、その中で自然に、昔から当然のように、この原則が守られているから自殺希少地域たる所以なんだろう。
「その島の人たちは人の話を聞かない」
自分がどうしたいのか、それだけであり、その島の人たちは強い。助けたければ、助ける。即座に助ける。助かるまで助ける。自分がある。自分の軸を持っている。
ありのままを受け入れる。
なるようになる。なるようにしかならない。
問題が生じたら頑張らない。工夫して乗り越える。
軸がないとブレる。妬む。人の欠点をあげつらい攻撃する。自分を守るために。
生きやすさとは何か、という観点はもちろん、行きやすい社会、組織を考えるのに役に立つ本。
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タイトルからは想像できないが、組織論についての言及・主張が多くあった。うまくいく組織とはどのように運営されているのか、ということについて、学ぶ点が多かった。
また、単純に、紹介されているエピソードが面白かった。
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向かう方向を共通させる
「困っている人は今、足、助ける」
どうしますか?とは聞かず、「乗っていきな」と言い切ることで甘えやすくなる。
意思決定を相手任せにしない。
本人とよく対話する。
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自殺希少地域にはどのような特徴があるのかー。
対人支援をしている人にはぜひ一度手に取って欲しい一冊。
・「気持ちは大事だ。研究活動もしっかりしなさい」支援活動はやりっぱなしになりうる。指針がなければ感情が判断基準になる。何が正しいのか学ばないまま行う活動はただの偽善になるかもしれない。間違った偽善を押し付けてしまい、かえって不幸を生み出すかもしれない。研究の仕方をしらなければ、自分の考えに合う資料ばかりに目を通して他の真実を無視してしまっていることに気づく手段がない。これを防ぐ唯一の方法は現場にいながら勉強を続けること、本当の意味での研究を続けることだ。
・個人情報を保護しなくても良い地域が生きやすい
・困った人がいたら解決するまで関わろうとする
・緊密さの中に入ることができない人が孤立する。旧海部町では、そういう緊密さがあまりない。コミュニケーションは軽く、そして慣れている
・人間が悪いのではない。ただマネジメントの問題なのだ。それはリーダーの責任である。
・弱っているひとの意思を聞くことは時には間違うことがある。弱っているからこそ本当は助けて欲しいと思っていても助けてと言えなくなる
・現場で決めていけないことだけを決めた。それ以外が現場で決めていいとしている
・マネジメントは人間を管理するシステムではない。マネジメントはひとを大事にするための仕組みづくり
・どうしますか?と聞かない。こういうのが良いと思うけどどう?と聞く
・困っている人がいたら、今、即、助けなさい
・ただ自然があればいいのかもしれない
・みんなお互いのことをよく知っている
・ありのままでいいのである。そのように認められると人は穏やかに生きられるようになる。
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対話することが大事
自分を変えていくこと、工夫していくこと
オープンダイアローグを調べようと思った。
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生きやすさとは何か?
身近な人と助け合って暮らすことを素晴らしいと思う一方で、人付き合いを面倒なことと感じる自分もいて、なかなかに難しい問題です。
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人間関係の上手くいく人は、人が多様だということを知っている。違いを受け入れ、人とよく対話をする。相手を攻撃せず、孤立させず、ありのままを受け入れる。
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自殺者の少ないといわれる地域を実際に訪問して、そこで得た印象がかかれた本。
深い付き合いではなく、浅く広く。そして困っている人を助ける、自分にできなければできる人につなぐ、最後まで見捨てない、の気質のある場所が、結局は助け合える地域になる、という内容。
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おせっかいは、選択肢を提示するのではなくて押し付けちゃった方がいいこともある、らしい。問題が起こるものだと思って、起こった問題を一緒に考えて解決する組織。問題解決する時間は稼ぎがなくなる。の解決としてのNPO。私じゃどうにもならないときに付き合い続ける。相談する。できないときにたらいまわしにしない。弱っているときには入っていいか聞かずに助けに来たよと入っていく。それでも断られたら退散して、出直す!こういうのがいいと思うんだけど、どう?
自分をしっかり持っていて、周りもその人を受け止めている社会。地域で一つのコンセプトを持つ。