紙の本
確かに頭が下がるが思い違いも
2016/08/04 11:19
9人中、9人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:そよ風 - この投稿者のレビュー一覧を見る
著者は海上自衛隊特殊部隊の出身者である。
その実体験は昨今の日本ではなかなか無いことだと思う。
確かに国防という命懸けの任務の遂行には頭が下がるが、少し、残念に思われる事がある。
著者は幸い本当の戦闘には参加していない。
この本の中で、手本とも言うべきアメリカ海軍特殊部隊シールズを見下しているが、それは誤りである。
日本人唯一の米陸軍特殊部隊グリーンベレー軍曹の三島瑞穂氏は、ベトナムのジャングルでベトコンと戦い抜いてきたプロ中のプロだった。
その、三島軍曹はめったに他の部隊は誉めなかったが、シールズに関しては、そのティームワーク、化け物の様な体力、テクニックなどを誉めていた。
軍曹が私に昔語ったことがある。
日本人は勘違いしてるが、ハリウッドの作った特殊部隊を信じている。
あれは嘘だ。
シールズもグリーンベレーも例え自衛隊と言えども本当のところは見せないんだ。
こいつらアホか?と思わせるんだよ。
簡単にそれが演技なんてばれないほどにな、と。
流石、ベトナムでアンダーカバーとして動いていた軍曹の言葉には重みがあった。
著者はシールズなんてこんなもん、と切り捨てているが、逆にそれはシールズのセリフだろう。
まだ創設して間もない海上自衛隊特殊部隊
著者もあとがきに書いているように、情けないことに辞めたいと言う人間をリンチで殺してしまうというどうにもならない不祥事を引き起こす始末
シールズはその選抜は世界一厳しいと言われる、が、自由にリタイヤできる。
その時教官はこう声をかけるのだ。
君はここまでこられた人間。
この先どこへ行っても通用する。
頑張れ!
著者はシールズが拒否したからシールズへ訓練に行かなくてかえって良かったと書いているか、この思い上がりが、後輩たちのリンチ殺人を引き起こす土壌となったとは考えないのか?
三島軍曹は常に自衛隊特殊部隊の将来を案じていた。
が、軍曹が亡くなったのはリンチ殺人事件の一年前だった。
これはせめてもの救いだっと思う。もし、軍曹が生きていたらどれほど怒り悲しんだことか。
悲しいが、軍曹の生前の自衛隊に対する心配を記する。
軍曹が発行していた三島リポートの読者で、購読料を払わないのは自衛隊員に多いんだ、残念だよと、悲しい表情をされたことが何回もあった。
日々国民の為に汗を流す自衛隊員の方々には心から御礼と尊敬の念を申し上げるが、イジメやリンチはあってなならない。
そして、俺達は特別だぞ!という慢心が悲劇を生むという三島軍曹の言葉を忘れないで戴きたい。
三島軍曹は海上保安庁の特殊部隊SSTを本当に良い部隊だと話されていたことも記しておきます。
くしくも、SSTはシールズが育てた特殊部隊である。
投稿元:
レビューを見る
【海自特殊部隊創設者が語る「国ために死ぬ」ことの意味的組織論】数々の実戦を経験した海上自衛隊特殊部隊創設者が語る「国のために死ぬ」ことの意味と、「兵士を死なせる」国家への願い。
投稿元:
レビューを見る
自衛隊を辞めてからの訓練が激しすぎて、別の世界の出来事としか思えない。
そこでのトレーニングパートナーから発せられた我が国を守ること、国民のあり方についての根本的な疑問に、著者は答えられるのか。
我々も国としての答えを持てるのか。
投稿元:
レビューを見る
永野修身
戦うも亡国、戦わざるも亡国。戦わずしての亡国は、魂までも喪失する民族永遠の亡国なり。たとえ一旦、亡国となろうとも、最後の一兵まで戦い抜けば、我らの子孫は祖国護持の精神を受け継いで、必ずや再起三起するであろう
日本という国は、何に関してもトップのレベルに特出したものがない。ところが、どういうわけか、ボトムのレベルが他国に比べると非常に高い。優秀な人が多いのではなく、優秀じゃない人が極端に少ないのだ。日本人はモラルが高いと言われるが、それは、モラルの高い人が多いのではなくて、モラルのない人がほとんどいないということである
軍隊にはその国の底辺に近いものが多く集まっている。要するに軍隊はその国の底辺と底辺が勝負するものなのである
現に、自衛隊が他国と共同訓練すると、「なんて優秀な兵隊なんだ。こんな国と戦争したら絶対に負ける」と、毎回必ずいわれる
ミンダナオ島 フィリピン南部 フィリピンの1/3
ミンダナオ島だけは、島民の激しい抵抗により植民地化が進まず、古くから定着していたイスラム教が勢力を保ち続けた
自分が大切だと決めたもののために何かを諦める
殺し、殺されながら共存している
そのためのルールがある
全部を生き残させようとしたら全滅する
必要以上に殺してしまえば、自分が飢える
ドイツの名将ロンメルは、「訓練死のない訓練は、戦死のない戦闘と同じで、芝居と同様である」
投稿元:
レビューを見る
会社の同僚の方のお薦めで、お借りして読んでみました。
著者の伊藤祐靖氏は元海自特殊部隊の小隊長。自らの実体験を踏まえての記述は、その主義主張の立ち位置如何に関わらずいろいろな面で興味深い内容でした。根っこの考え方の部分では、私として明確に共感しかねるところがあるのですが、それでも著者のメッセージの真剣さは十分伝わってきます。
予想外に面白い気付きをたくさん得ることができる面白い本でしたね。
投稿元:
レビューを見る
陸軍と海軍の意思疏通の方法の違いが面白かった。
「海軍型意思疎通」
・・・ 船全体で生死をともにし、船内における意志疎通は比較的簡単、よって船長が判断し、各部署は船長の判断の材料となる情報をあげるに留める。
船長が何を考えているかは、あまり推察しない。言われたことをやる。他の部署の仕事には興味なし。
「陸軍型意思疎通」
・・・ 作戦が始まってしまえば、隊員同士の意思疎通はほぼ出来ない。
よって隊員は隊長が当初作戦の目的として提示した任務遂行のためには自分は何をすべきか考えて、事態が想定どおり行かない場合でも任務遂行のために自分は何をすべきかを自問し作戦行動に移す。(或いは事前に不測の事態が生じた場合の対策も共有する)
作者は海軍型が、渋谷のハチ公前に何時に集合と指示があった場合、携帯電話をもって行き連絡を取りあい不測の事態に備えるような方式であるのに対して、
陸軍型は、渋谷のハチ公前に何時に集合と指示があった場合もし○○分遅れた場合は、△△に移動し、◇◇まで待つ。それでも会えない場合は、XXに移動し■■まで待つ、と言った具合に予め綿密に行動計画を立てて意志疎通の出来ない状態でも行動することだと言う。
投稿元:
レビューを見る
タイトルや帯の内容からは国粋主義的な偏った内容の展開かと思ったが、そういう単純な思想の左右の話ではなく、一般人向けに書かれた軍務に携わる人間の世界のリアリティから読者に考えさせるテーマを投げかけてくる、そういう凄みのあるものであった。あまりなじみのない自衛隊について、様々な見方ができ、勉強になった。最近のニュースもまた違った視点で見ることができるかもしれない。
投稿元:
レビューを見る
特殊部隊創設者によるエッセイ。なぜ特殊部隊が必要だったか、どのような考えをもって立ち上げたのかがよくわかる。筆者の自衛隊の評価も問題点も、率直に語っており、強烈な軍国主義者ではなさそうである。そして、ミンダナオでの修行が強烈だ。常に実戦を意識している海洋民族の弟子と死ぬ寸前まで訓練をする。軍人とは何か、を考えるうえで非常に参考になる一冊だ。
投稿元:
レビューを見る
海上自衛隊創設者の日本への強烈なメッセージ。「なぜ先祖が子孫のために残した掟を捨てて、他人が作った掟を大切にしているのか?」この問いに答えられる奴はいるのか?
投稿元:
レビューを見る
日本初の自衛隊特殊部隊の創立メンバーである伊藤祐靖氏の著書。
特殊部隊創立のきっかけとなったのは、1999年に起きた北朝鮮による能登半島沖不審船事件なのである。なんとなく大昔から自衛隊には特殊部隊があるものだと、勝手に勘違いしていた自分には少し意外だった。作品の中では、伊藤氏が創立メンバーとして経験した厳しい訓練の様子や、退官後に渡航したミンダナオ島でのエピソードなどが紹介されている。
伊藤氏によると特殊部隊の隊員になるためには、生まれ持った資質のようなものが必要なのだそうだ。体が丈夫なのはもちろんだが、その資質とは相手の心情を察する能力であり、いざという時には自分が犠牲になるという、伊藤氏の言葉を借りれば「特異な本能」なのである。
自分には特異な本能もなく全く別世界のお話しなのだが、せめて特殊部隊の隊員が命を賭して助けるにふさわしい人間でありたいなと思った。
投稿元:
レビューを見る
真剣に戦うことを考えてた人の話で、全部に頷けるかは別として面白い。
戦闘にあたっての陸海の文化の違い(ビークルかインディビジュアルか)、レンジャーでの経験、ミンダナオ島での生活、防大での指導経験にあった非常時においての常識に囚われた判断の弊害など、改めて戦闘に全ての基準を置くことの重要性を感じた。
投稿元:
レビューを見る
米軍
兵員の業務を分割し個人能力に頼らずシステマティクに動かす。交代要員を量産できる。
特殊部隊
不平不満を感じても、その場で何とかする。
任務分析
通信ができないときの意思疎通の手段。
上級指揮官の存在意義
それは戦闘前にある。
始まってしまったら現場指揮官に専念させる環境を整えるのが仕事。
戦争
各国の底辺と底辺が勝負するようなもの。
エース同士の戦いではない。
最高の軍隊
アメリカの将軍、ドイツの将校、日本の下士官。
自分の何を失ってでもやる価値があるか?
成功の確実性が変わらずに自分のダメージがより少ない方法を模索する。
アメリカ人
おなかいっぱいになっても、食べるのをやめない。
日本人
空腹時は凄いが、ちょっと満ち足りるとやめてしまう。
日本人の危うい行動美学
我慢の限界を超え堪忍袋の緒が切れたときの感情的な敵対行動。
投稿元:
レビューを見る
この本、思考方法以前に思想で受け付けられない人もたくさんいるのでは?
第一優先以外を捨てられると、ある意味生きやすそう…
投稿元:
レビューを見る
文春新書のデザインのせいもあって、このタイトルがよりキツく迫ってくる感じがしますね(笑
センセーショナルなタイトルですが、別にイデオロギー的なイロモノ本ではなく、著者の経験を元にちゃんとパッケージングしたらまぁこうなるか、という感じです。読めばわかるんだけど、タイトルで敬遠する人はいるかも。
とっても良い本でした。
事前に想像していた流れは、自衛隊的なエピソードが並んだ後に、今の日本人はだらしない!的な展開で、一方的に扇動されるかなと思ってたらさにあらず。
序盤は確かに自衛隊のエピソードで、圧倒的なスピード感に引き込まれて感情的にも高ぶったものの予想通り。でも、そこから先の広がりは予想外で、お父さんのエピソードも効果的に作用してる印象。ミンダナオ以降はゾッとするほどエッジが立ってて、日本人論的なくだりも刺さりました。(経験と自覚があるだけに。。
色々面白かったくだりはあるのですが、絞るなら、優先順位と絞り込みのくだり、常識を捨てる話、そして、日本人の「3回目には皆殺し」のくだりと、感情を押し殺さないこと。
あとがきもメッセージ性があって、なんか一貫してるなぁという印象。敢えて避けずに通ったのは素晴らしいのでは。
投稿元:
レビューを見る
海上自衛隊の特殊部隊設立の経緯、その後の筆者の海外での訓練生活を踏まえた日本への考えがつづられた1冊。
格闘訓練や避難訓練の箇所を読み、平時に非常時をシミュレーションしていないことにハッとさせられる。