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定年前の会社役員のダメダメぶりを描く社会的風刺小説。
優柔不断で、自己中で、感情的で、刹那的でも社会的地位を持つダメダメおやじの崩壊物語で、救いようがありません。
長峰=猿なのでしょうが、自分は薄井=猿で自己崩壊していったと解釈しました。
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表紙は鴨居玲の道化師、素敵なんだけど。
ゲスの極みオヤジ、だなこりゃ。しかもオチなし。
と言いつつ、金と女とプライドと、欲まみれの主人公がどんどん深みにハマっていくのに下世話な興味をくすぐられ。桐野の筆に乗せられて最後まで読んでしまった。あー面白かった。
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物語で主人公でなくてもどこかに共感する人がいるものだけど、これはただの一人もいなかった
しょーもな
「バラカ」はよかったのになあ
タイトルも表紙も合わない気がする
ラストもねー、ピシッと終わってほしかった
でも最後まで読んでしまったよ
≪ エゴばかり 教えてくれて 猿の夢 ≫
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全て自業自得。人間の様々な弱さが表に出ている主人公です。
妻と成人した息子がいる59歳のとある会社役員、薄井。
10年以上付き合いのある愛人、巻き込まれる社長のセクハラ問題、それに関わる秘書へのやましい想い、そして亡くなった母親の遺産をめぐる実妹との確執。完全にドラマ化したら観入ってしまうストーリー。
主人公の薄井は、家庭の様々な問題から目を遠ざけて、言葉巧みに濁し・ごまかし、結論を先送りして、痛いところを突かれたら常識論や一般論で口撃する。あぁ…あまりにも人間的すぎる(笑)
帯に作者が寄せた「これまでで一番愛おしい男を書いた」との言葉通り。前述しましたが平日夜10時のドラマのようで先が気になり一気に読めました。
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著者の作品は「バラカ」に続いて2冊目になる。
今作の登場人物はいずれもクセがありそれぞれ自分の事しか考えていない印象。どこか「渡る世間は鬼ばかり」を彷彿とさせる。
途中面白くなりかけて箇所もあったがどこか突き抜けない。
「バラカ」もそうだったが読後感はあまり爽快とはいえない。今作も長峰さんと田中さんのどちらが本当の事を言っていたのか結局最後まで明かされず物足りない印象。
全体としてはまあまあ。
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銀行からの出向先で次期社長を夢見る60間近の男性が、様々なトラブルに見舞われていく。
会社内のセクハラ、長年の愛人、実家の相続を巡る確執など、次から次へと下世話な問題が発生する。加えて、夢で未来を見るという老女を妻が家に連れてきたことから、ますますややこしくなってくる。
右往左往する主人公を筆頭に、周囲の人たちも常識はずれな面が強調されていて、よくこれだけの面々を揃えたなというほど。
何より、主人公がことごとく情けない。
女性と見れば尻尾を振り、お金にも地位にもしがみつき、本人はすべて計算ずくのつもりが浅はかで失敗を重ね、でも反省もなく傷つかないから懲りない。
現実に側にいたら嫌悪感しかないが、そこは作者の懐の深さで、「これまでで一番いとおしい男」としてすべてを母性愛でくるんで、笑い飛ばしながらさばさばと描いている。
だから、最初はダメダメ振りにうんざりしていたけれど、徐々に作者の俯瞰する目線と同化して、しょうもない奴の結末を見届けてあげよう、という余裕が出てくるから不思議。
ある程度の年を重ね、魅力のない主人公を楽しむゆとりのある人向き。
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ダメダメ男のお話。人間臭さ、うまくかけているなあ。占い師と薄井、滑稽で哀れ、女のしたたかさ、目が離せなくて、一気。
最後は不思議だけれど、楽しく読めました。
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表紙の人のルックスを主人公のルックスと思って見てしまう。人物評は一読した中では書かれてなかったと思ったので、ミスリードっぽい?裏切り者はいなかった(と理解)のに常に疑心暗鬼。しんどそうだけれど、身に覚えがなくもない。し猿、預言者が使いそう〜と思いつつも、弱っている時にされると間に受けてしまいそう。
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デフォルメされた60歳直前のしょぼくれた元金融(現転出)の親父の生活。
あまりに自分の状況と似ているが、まあ、こんな親父もいるかな? こんな環境もあるかな?というレベル。
あえて読まなくてもよかったかなという徒労感だけが残った。
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(2017.07.29読了)
う〜ん。感動は、ありません。
後味も良くないです。
男、59歳、大手銀行出身。
現在は出向先の上場企業で財務担当役員。
愛人とのゴタゴタ、妹夫婦との相続問題のゴタゴタ、そして妻とのゴタゴタ…。
表紙の絵がぴったりはまります。
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1年以上ぶりに桐野先生の本。
銀行から出向してきた平取の主人公、薄井の節操のなさに不快感。セクハラパワハラについて徹底的に教育を受けてる元銀行員がここまでおおっぴらに鼻の下伸ばすか。
と思いつつ夢中で読了。
愛人のいるくらいいい男だという感じの、薄井の元銀行員らしい企業内でのカッコ良い仕事ぶりを見たかった。
うさん臭い長峰おばあには最後までドキドキさせられた。
結果いつもと同じ、むさぼるように一気読みだった。下世話本。夢中にさせてくれて桐野先生感謝。
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初出は『週刊現代』。
主人公の薄井は「オッサン」だ。
出世に意欲を燃やし、愛人と逢瀬を楽しみつつ、お手当は月3万というケチっぷり。
しかも平気で会長秘書にセクハラ発言はするし、母の財産をあてにして自分の住む戸建てを検討する。
ギラついた昭和のオヤジの悪いところをかき集めたような人物だ。
そんな薄井の人生が都合よく行くはずもない。
今までの報いが一気に降りかかってくる。
それを見てザマアミロ、と主人公に対しマイナスの感情を抱く。
長峰という女は家庭を侵食し、破壊する詐欺師なのか。
彼女のいうことはどこまで信用に値するものなのか。
もしやマインドコントロールなどされてはいまいか。
薄井は全て、あの婆さん、長峰のせいだと思っているが、実は全て自分が招いた災厄なのだ。
母の介護もせず、妻を顧みず、愛人にも美味しいところだけを求める。
なんだか「死ぬまでナントカ」ばかりのこの掲載紙に著者が痛烈なパンチを食らわせたような気がする。
見ざる、聞かざる、言わざる、せざる。
礼なきことはしてはいけない。
それを薄井は、いや、あなたたちオッサンは理解しておいでか。
彼は化かされたのではない。
己にだけ都合の良い夢から覚まされ、現実を直視させられただけに過ぎないのだ。
v
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ゲスな男の物語。
多数派とは思わないが、優柔不断で、その場しのぎの対応を繰り返し、すぐに寝返り、気の多い男というのは、一定割合、確かに存在する。そういう意味で、ある程度、リアルに読み進められた。
薄井正明は取締役で、常務や、展開によっては社長の目もある。妻子と幸せな生活を送り、長男と二世帯住宅の計画も着々と。つきあいの長い愛人がいるが、タイプの異なる会長秘書もすごく気になる……。
今後も恵まれた暮らしが続くと思いきや、会社も、家庭も、愛人関係もことごとく崩壊していく。
プライドの高い男は攻め込まれるともろく、覚悟を決めた女は強い(そして、怖い)。
夢で宣託をする謎の占い師?(詐欺師?)長峰栄子の「言葉」が物語を加速させる。彼女の存在は、最初から最後までずっと不気味だった。
会長秘書・朝川真奈のキャラクターもいい。
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話の先が気になって一気に読んだ。最近では珍しいことだ。
桐野さんの小説にしては、ほとんどひねりがないし普通っぽいけど、これはこれで面白く読めたから良し。
主人公の優柔不断さ、自己保身、その場しのぎのウソ、愚かな策、女性の攻撃に対する腰の引け方など、リアルに感じた。
女性の内面の描き方のリアルさは桐野さんの小説の醍醐味だと思うが、男性については、他にどんな小説があったか。この小説を男性が読んでもリアルだと思えたろうか。
桐野さんの新刊の発売を1年知らなかった自分にショック。新聞をやめたのだが、本の情報は圧倒的に新聞に頼ってたことがやめてからわかった。書評と広告。映画に関してもそうかも。
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不倫相手に甘えたメールを送りつつ会長秘書との甘い生活を想像しながら家に帰るとジャージを着た怪しい女性に振り回される。
桐野さんにしては珍しい?笑える話かと思った。
(ドラマ化されたら絶対笑えるとは思う)
主人公があっちこっちの女性にふらふら、そして胡散臭い占い師にも振り回され…どんどん先を読みたくなる内容ではあった。
でも、介護もせず財産だけはちゃっかりもらおうとする打算的な主人公。キケンと思いながらも美人秘書との妄想が止まらない馬鹿な面も。
これは人間臭いが憎めない、愛されキャラなのか?
しかもなんでそんなにモテる前提なんだろう?
最後はバタバタで残念だった。
占い師をギャフン(笑)と言わせるとか、もうひとひねり欲しかったな。