紙の本
世界史の中の日本の位置づけ、外国との交流の在り方とその影響などを軸に書かれている
2023/12/02 10:54
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投稿者:まなしお - この投稿者のレビュー一覧を見る
「シリーズ日本中世史」の第4巻で最終巻です。ここでは、戦国時代から江戸時代までが取り上げられている。普通、戦国時代なら各武将同士の戦いを軸に書かれていることが多い。しかし、この本では、世界史の中の日本の位置づけ、外国との交流の在り方とその影響などを軸に書かれている。これは、私にとっては新しい視点だった。本が薄いのでもっと掘り下げられる部分がたくさんあると思う。
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シリーズ日本中世史の最終巻であり、岩波の日本史シリーズの掉尾を飾る一冊。村井先生らしく中世から近世へと向かうこの時代を世界史の中に位置付けるという方向性が全面に押し出された1冊となっている。蝦夷地や琉球への言及も豊富なのはもちろん、秀吉の朝鮮出兵にもかなりの紙幅が割かれていて、日本史ではどちらかというと秀吉の誇大妄想として簡単に片付けられてしまう戦争を東アジア国際秩序再編成の大きな契機として描かれる。
「以上のように、鉄砲伝来や朝鮮侵略といった「日本史上のエポック」は、世界史的な文脈における巨大な変動の一部として捉えることで、はじめて全体像が見えてくる。その結果として生み出された江戸時代=近世は、アジアにもヨーロッパにも似姿を見いだすことができない独特の軍事国家でありつつ、「武威」で裏打ちされた平和を永く維持し、近代化への準備を整えていった。その近世をくつがえした明治維新が巨大な変革であったことはいうまでもないが、それ以降の欧米をゆるぎない規範とする近代化や、「天壌無窮の神国」をふりかざして欧米に対抗しようとした天皇制・軍国主義が、近世からの連続としてあらわれたことも事実である。」(219-220)
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元来なじみ深かったこともあるだろうが、統治、軍事、産業、貿易をめぐって、ぐいぐいと引き込まれた。特に天草、島原の乱を通して、キリスト教の威力を感じ、海禁(鎖国)に踏み切り、宗門人別改が実施されたことは、宗教の力を甘く見てはいけないと学んだ。このことは一向一揆にも感じる。
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戦国時代、安土桃山時代、江戸時代初期という日本史の中でもよく知られた時代が対象だが、戦国大名間の戦の勝敗や覇権争いは最小限しか触れず、蝦夷や琉球といった日本の辺境であり外国との境界域での動きや、朝鮮・中国・ポルトガルといった当時の日本にとっての外国との関係に注目し、時の権力者・為政者の世界観といったものに迫っている点で、ユニークかつ大変面白かった。
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戦国時代から織豊政権、江戸時代へと天下が統一される過程が叙述される。視点がアジアの中の日本になっている点がオモシロイ。
秀吉の朝鮮出兵って、やっぱりとんでもないことだったんだと教えられる。これによって破壊されたアジアの秩序がいかに回復され、新しい枠組みが誕生したのかをみる。
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何気に読んだ本が、今年最高の歴史の本でした
考え方の一部に、相容れないものこそありますが
室町時代を俯瞰して、貴重な視点を提示してくれました
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シリーズ日本中世史の最終巻で室町から江戸初期までの統一過程を扱う。前の3巻と違い、朝鮮出兵の影響等にページを費やしていることから分かるように国際的な視点がかなり盛り込まれている。平安、鎌倉、南北朝は繋がっている印象が強かったが、社会が異なるフェーズに移ったように感じた。
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変化する国際関係の中で、日本の政権の変化と立ち位置がよくわかった。中華、欧州に比べ日本はお家争いに終始しているように思える。
1、秀吉は、信長の武力を引き継ぎ、「平和の調停者」として過去数百年に及ぶ家、領土争いに介入。それまでの争いはすべてこの調停のためにあったとも思えるぐらいだ。人民も戦乱に疲れていたのか、徳川のつくる平和によく従った。
2、日本の自己認識の固定化。中華の内乱・王朝交代の混乱により本格的な日本への攻勢はなかった。中華からみると、日本はわざわざ武力で制圧する必要がなかった。中華と地理的に離れ、制圧する旨味がなかったための幸運なのだが、侵略されなかった事実が日本は特別な国だという自己認識にいたり、それは現代まで続いているように思える。
3、足利も鎌倉も、ときの棟梁が、台頭する諸侯を排除する歴史とみれる。鎌倉は国内での権力争いに終始していた。足利時代には細川、大内は海外勢力と結びつき台頭した。徳川が外国勢力との結びつきを制限、自ら管理した理由がよくわかった。
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戦国時代から江戸幕府の創設までを通史で書く。ポイントを的確に抑えた良書。
朝鮮出兵がバランスよく書いてあることに感心した。
国際関係との連動もわかりやすい。
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山名宗全、細川勝元が死に応仁の乱は終わる。その後勝元の子政元は将軍義稙を追放。明応の政変という。これ以降将軍は細川三好ら大名の傀儡と化す。
関東では北条早雲が足利茶々丸を追放。足利、上杉、北条の三つ巴抗争が始まる。
これら畿内関東双方で画期となる事件が起きた明応二年を戦国時代の幕開けとする説もある。
秀吉の朝鮮出兵は誇大妄想的に捉えられがちだが、そうでもない。その後辺境民族出身のヌルハチが明を制圧し清を立てることに成功しているからだ。
その違いは朝鮮、明の文化や制度をうまく利用できたかどうかである。秀吉は国内の国分けを大規模にしただけであり戦略が不足していた。
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国際関係との絡みを軸に、織豊期〜江戸時代を振り返っている。なかでも江戸時代の「4つの口」は、単なる鎖国社会ではなかった、外への門戸を、限定的ではあったが、意味する言葉として印象的。