底なしの庭に囚われて
2022/03/09 16:32
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投稿者:Todoslo - この投稿者のレビュー一覧を見る
京都の庭園で職人さんが執着心を燃やす、「花夜叉殺し」が異様な作風です。モダンバレエを取り入れた「ライオンの庭」など、著者の奥行きの深さも感じられました。
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何気にマニアックなタイトルを出しているP+D BOOKSだが、まさか出るとは思わなかった、赤江瀑。
第2短編集『罪喰い』に『獣林寺妖変』を加えた、かなり『濃い』構成になっている。どちらもかなり初期の短編だが、当時から著者が題材にしていた事柄は一貫していて、特に歌舞伎を扱ったものは独特の魅力があると思う。
赤江瀑に関しては復刊して欲しいものが多すぎるので、P+D BOOKSがせっせと出してくれるといいのだが……。
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赤江瀑の妖美で端麗な幻想的ワードセンスが目眩する程に耀く短編集。表題作「罪喰い」や電子版のみ追加された「獣林寺妖変」も勿論名作だが、それ以上に花香ただよう庭の魔力に翻弄される「花夜叉殺し」が酔わされる大傑作。
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芸道に生きるものたちがその途上で魔に呑まれ、過去の因縁に翻弄されていく。積み上げてきたものを振り捨て、あるいは一変せしめる抗いがたい衝動みたいなものが、読んでいてこちらにまで滲み出してきて昂ぶってくる。舞台の美しさに対する登場人物たちの背徳的な行いが、くっきりと陰翳を浮かび上がらせるかのようだった。
どの作品においても男性同士の絡み、あるいはそれをほのかに匂わせるような描写が出てくるのが印象的。この点はやや読んでいて気恥ずかしくなってしまうのと、オチでスンッと呆気なく終わる点も物足りなく感じてしまった。