紙の本
こころの空気を読む。空気を読めなかった男達の顛末。
2010/08/05 18:52
6人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:toku - この投稿者のレビュー一覧を見る
大正時代に刊行された「こころ」は、
厭世的であった先生と私の交流を描いた【上 先生と私】
故郷の両親と私を描いた【中 両親と私】
先生の若き日の出来事を手紙で綴った【下 先生と遺書】
の三部構成となっている。
「こころ」を読んで、特に多くの人を悩ませるのが、『K』と『先生』の死の理由。
すべて『私』という視点から描かれたこの作品は、『私』から見た情報しかないことに加え、死の理由も明確に語られておらず、読み解くのに難しい。
それは、読者の視点が『私』の視点と重ね合わさり、物語を主観視してしまうことに一因があるように思う。
そこで、場の空気が読めていないと他人から指摘される昨今、「こころ」の登場人物が『空気を読む』ことができているのか、という現代的視点で客観視してみる。
そうして見えてくる平成の「こころ」
この作品に登場する男達はみな空気が読めていなかった。
Kを下宿に連れてきたいと言い出した先生、お嬢さんが好きだと先生に告白したK、そしてお嬢さんを下さいと奥さんに言った先生、等々。
その行動の末に、空気が読めなていなかったことに気づいた男達は、自ら……。
そしてもう一人、空気を読めなかった重要な人物がいる。
それは『私』
彼は、厭世的だった先生にまとわりつき、ついには先生のパンドラの箱を……。
ところで、先生のただならぬ手紙を受け取り、汽車に飛び乗った『私』の、描かれていないその後が気になる。
というのも【上 先生と私】において、過去に先生と呼んでいた人との交流を語っているのは、『現在の私』
この告白めいた【上 先生と私】は、【下 先生と遺書】で先生の告白を記した手紙と似たような雰囲気が漂っている気がしてならない。
「こころ」は、時の経過に伴って、さまざまに楽しめる名作だ。
紙の本
文学の扉
2022/07/21 22:00
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:カルー - この投稿者のレビュー一覧を見る
この本で漱石好きになりました。
なんとも言えないながら知らずと読み進められました。
なぜか心に残りました。
私の文学の扉がちょっと開きました。
漱石さん、ありがとう。
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読んでおいて間違いないはずです。明治文学の最上のものであるし、普通に面白いので読んでおいたほうがいいのではないでしょうか?
05年にボクは四国を旅して、漱石所縁の温泉に入ってきました。坊ちゃん電車もミーハーで乗ってしまいました。
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私なんぞが言わずとも、世の中のほとんどが知っているであろう夏目漱石の小説。
高校の時、第三部だけ授業で読みましたが、改めて最初から読み返すと更にのめり込んでしまいました。1回は読むべきかと。
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淡々とした雰囲気だからか、若かった「先生」のどろどろした思いが際立って、それにまた共感できる。どこまでも人間らしい話。
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もうとにかくすばらしい。なにがすばらしいかといえば、まず文章がすばらしい。きわめて論理的な構造、ボキャブラリィの豊富さ、表現の巧みさ、ユーモア、どれをとってもすごすぎる。自己の内面をとことんまで追求・分析し、自己否定を行い、そのうえで、人間とは一体何なのかを表現しようとした点で、「人間失格」とも共通するテーマを持つが、これと全く異なるのは、漱石の人間観察が、一切のナルシズムを排し、徹底的に冷めた視点で自分(人間)を見つめるものであることにあると思う。文学=文章の学問であるとするならば、「こころ」は、その最高峰にある作品であるのではないか。作品中の一節「つまり私はきわめて高尚な愛の理論家だったのです。同時に最も迂遠な愛の実際家だったのです。」…すごいの一言。
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2006,11, 2 読破 + 私にとって2作目の文学作品。初めて読んだ文学作品「金閣寺」よりもかなり読みやすくかった。ストーリーも文章も流石。夏目漱石にさらに興味を持った。
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高校時、国語で習ったのをキッカケにハマった本。
人間の暗い内面性、エゴイズムを描き出した最高傑作。
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純文学〜!今でもこの、大正時代の純粋な恋愛を描いたこの本が、たくさん読まれてる事で、非常に救われた気持ちになります。
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純文学。お母さんの勧めで読みました。これで感想文書きました。賞もらいました。だから私にとって良い作品です!!!っていうのは置いといて…。なんかねぇ…読むたびに切ないの。人間の弱みや醜さ,それでも人を愛する気持ち。考えさせられる1冊です。
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じゅ、純文学‥?ことばをわたしなりに解釈するととんでもない事になる。あー、わたし捻じ曲がってるなぁ。
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授業で取り入れられていたお話。とても深いお話で簡単に説明することは私には出来ません。読んでみることをお勧めします。
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読むとね明治に憧れちゃいます(○-v-))ノ
一昔前の人は我慢ずよいな-って思う。いやお嬢さんを我慢って意味じゃなくて母さんとかに就職を迫られても口答えしないんだもの。あたしみたいなニート予備軍は見習わなけりゃいけません(*´艸`)
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漱石先生の長編小説。読み易い。感想を言うと、日本文学だなぁと感じる。この歯痒さは欧米文学には中々みられないのでは?どうなんだろう。日本独特の特性が出てると思う。人間のという意味だ。それも明治の頃の。昔の人(語弊があると思うが、ここでは昔の人と言わせてもらう)は純粋だったんだろうな。純粋であればあるほど、自分を突き詰めてしまって自害に走る。残された者は残された者で、それを悲しいまでに純粋に受け止める。あぁ、人間の儚さ、そして脆さの奥ゆかしい事よ。小説としての構成はさすがです。読み難いところもないし、文体も分かりやすいので、必読です。
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高2の夏の読書感想文はこれでした。
初めて読んだ夏目漱石作品。
私の人生観に深く関わってきている作品だといっても過言ではないと思う。
『先生』の過去がとてもリアルに感じられる。
自殺とエゴイズムについて考えさせてくれる本。
何度も読み返してるけれど、まだ足りないような気持ちです。