紙の本
「働き方改革」をするのは私たちだ
2017/02/02 07:41
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投稿者:夏の雨 - この投稿者のレビュー一覧を見る
最近しきりに「働き方改革」といわれる。
若い人が長時間労働といった過酷な労働条件下で命を失った痛ましい事件をきっかけに「長時間労働」に対する改善を求める声が大勢をしめる。
けれど、「長時間労働」がよくないというのは今に始まったことではない。
「ワークライフバランス」などといった言葉が流行したのは随分前だ。
きっとその当時に会社にはいった人が現在では中堅どころとなっているだろう。それなのに少しも浸透しないのは何故か。
「働く」という意味を理解しないまま、色々な改革を実現しようとしても空疎だ。
もしかしたら、いろんなことを議論するよりは、まずこの本を読むことから始めた方がいいかもしれない。
昨今のアドラー心理学の火付け役でもあった岸見一郎氏のこの本はタイトルでもわかる通り、「働く」ということの意味を説いた一冊である。
「アドラーに学ぶ」とはあるが、まさに「アドラーに学んだ」岸見氏が自身のこれまでの生き方やキャリア、病歴に至るまでを綴ることによって「働く」意味が説かれているので、わかりやすい。
その中で岸見氏は、「人はよく生きることを願っているのであり、働くのもただ生存するためではなく、よく生きるためであるというのが、「生きるために働く」ということの意味」と書いている。
このことは重要である。
これを間違うと、生きるそのものの意味がない。
「働くことも生きる営み」なのだから、そこに「過剰な負担」や「自分らしく生きること」を困難にするのであれば、「働く」ことの意味を考えなおすべきだともしている。
岸見氏のメッセージは明確だ。
「職場は誰かが変われば必ず変わります。その「誰か」はあなたです」。
この本から「働き方改革」を考えてもいい。
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いわゆる、会社でお給料を得る、という意味での「働く」だけでなく、人生を生きる中で、他者との関わりの上で広義の「働く」という意味を考えさせられる。
「働く」ことの哲学。
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岸見先生が「働く」ことに特化して書いた本。
哲学的な捉え方から、実際の職場で起こりうる人間関係まで、さらに、働き方に対する先生の考察。
盛りだくさんながら、色々とヒントをいただける内容だった。
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2つの新しい考え方を得た。
①すべての対人関係は横の関係であるべき。
②貢献感を持てればすべての仕事に価値がある。
まず①。今まで全く気付かなかったが、これまでの対人関係において、常に上下で考えていたし、そのように振る舞ってきたように思う。上司や先輩に対してはときに媚びへつらい、自分が上位に位置して反感を買わないように常に意識し、低く見せようとしたりすることもあった。女性の先輩には特に気をつかった。友人に対しても、経済的に上か下か、とか、置かれている環境が自分の方がベターかどうか、実はよく意識していたように思う。無意識のうちに、自分は相手よりも上か下か、ということを常に意識しながらやってきたように思う。難しいかもしれないけれど、これからは対人関係を横の関係として考え、接し、振る舞うことができれば、人間関係に疲れることもなくなるかもしれない。難易度は高そうだが、さて、行動を変えることはできるだろうか?
次に②。やりたい仕事とやりたくない仕事、という概念で仕事を切り分けてきたような気がする。やりたい仕事、とは、それによって周囲や会社や社会に貢献できるかどうか、なんて意識は皆無で、ただ自分が気分良く、ノッてできるかどうか、その仕事そのものが好きかどうか、興味を持ってルンルンな気分でできるかどうか、そういう視点だけ。そうでない仕事は「やりたくない」「なんでこんな仕事私がしなくちゃいけないのよ」と不満でいっぱいになり嫌々ながらする。でも、どんな仕事についても、誰かや何かの役に立っている、貢献している、と思えれば、やりたい仕事とかやりたくない仕事、という概念はなくなるのかもしれない。
①も②も結局、意識の問題、考え方の問題かもしれない。うまく考え方を変えられるか?変えた上で行動を変えられるか?行動に良い影響が出てくるか?納得して自分の生活に反映していけるかが課題。
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人生における働くことの意義を考えさせられる本だった。
「自分に価値があると思える勇気を持とう」という考えには同感できるが、「成功は人生の目標ではない」という考えには納得できなかった。後日、もう一度読み直してみよう。
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経済的な自立は人間関係の上下には関係ない!!貢献感を持てる仕事があればいい!!人間の価値は生きていることそれ自体!!上司と部下は人間としては対等であり役割が違うだけ!! 第一義を決めたらあとの不要なものは捨てる!!儲かる仕事より好きな仕事を選ぶ!!
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失敗をしたら学び直す必要があり、
うまく行けば組織に貢献した満足を得られる。学校を卒業したあと、職場でも学習活動は欠かせないと思いました。
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タイプを見ない。人は分類を好むが生身の人間と向き合い個人の独自性に着目することが重要。
指摘が人格に向けられたものであると感じたら、それを受け入れるのは難しい
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人は幸せになるために生きているのであり、幸せになるために働くのだという考えが心にしみました。
働き方については、自分で自由に選べないという人も多いかもしれませんが、職場の対人関係にも触れ、上司や部下との接し方についても具体的に書かれています。
これからは他者にどう思われるかを気にせず、他者に貢献できていると思えるようにしていきたいです。
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自分にはまだ早いかなと思った書籍です。
アドラーの思考について知りたくて購入しましたが思ったより、筆者の体験談が多かったかなと。
次に読み返したとき、心境の変化などがあればしっくりくるのかなとも思います。
ただ要所要所で響くこともたくさんありました。特に「灰色の陰鬱な日々に耐えることが出来なくてはならない。というのは価値あることが発酵し、結晶するのは、こういう価値ある時間を忍耐強く辛抱することをとおしてなのだから」という森有正の言葉です。
いま、なにに向かって進んでいるのか、何に対して努力するのか、なにをすべきなのか、わからず闇雲に悩んだり、挑戦したりしています。まだ灰色を抜けられないけど、いつか発酵し結晶するこまで努力し続けようと思いました。
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岸見一郎氏によるアドラー心理学を「働く」ということにフォーカスした著書。著者のアドラー心理学の本を読まずにこの本だけを読む分には有益かもしれないが、既にいくつか読んだ人からすると繰り返しの内容に聞こえてる部分も多々ある。
根底には当然ながらアドラー心理学の思想があるため、著者によるアドラー心理学の著書と同じような内容が多数散見される。さらには、著者の実体験や著者の哲学者の側面も多分に要素として含まれており、特に後半部分にはその側面が多用されている。
・仕事も、そこで仕事をする職場も、それに合わせて自分が受動的に入っていく場所ではありません。自分ちまた仕事のあり方や職場の環境を変えていくことができますし、そうする責任があるわけです。会社という組織に自分を合わせなければならないわけではないのです。
・評価とは評価される側だけでなく、評価する側の教師、あるいは上司の指導方法について、それが通切なものかを知るためです。試験をしてみて点数が低い時、無邪気に学生や部下の無能を責める教師がいますが、そのような教師や上司は自分の指導が問題であることに目を向けたくはないのです。
・仕事が楽しくない時に考えられるのは、一つにはまだ自分が取り組んでいる仕事のことがわかっておらず、仕事の遂行に必要な知識、技術ともに十分身についていないということです。初めから楽しくて仕方ないというような仕事はないと考えた方がいいでしよう。次に考えられることは、仕事にどれほど習熟したとしても、その仕事によって何らかの仕方で貢献感を持てなければ楽しいとは思えないということです。仕事は自分を犠牲として誰かに尽くすことではありません。
・やる気が出ないというのは、多くの場合、本当ではありません。実際には目下取り組んでいる仕事がら逃げたい、少なくとも積極的に取り組みたいとは思わない人が、やる気が出ないことを仕事をしないことの理由にしているのです。仕事をしたくない人には、いつまで待ってもやる気は起こりません。
・まず、自分が何のために仕事をしているのかという本書で考えてきたことをしっかり理解しなければなりません。自分がしている仕事が何かの形で他者に貢献していると感じられなければ、仕事を続けることは難しくなります。次に、待っていてもやる気が出ないのですから、やる気が出ようと出まいと、例えばパソコンの前にすわってみることは必要です。
・行き詰まったのであれば、そこで決断し直せばいいだけです。困難、あるいは不可能だと思つた時、目標の達成に固執したり、反対に、一つの方向で道を遮られても、目標そのものを放棄したりしなくてらいいのです。目標を変えず、それに固執することは、人生の無駄遣いになってしまいます。
・今を楽しめる仕事というのは、楽な仕事であるということではありません。ちょうど自分について自分に価値があると思い、そんな自分を好きだと思えるためには、自分が誰かに何らかの形で役立つている、貢献していると思える。自分の仕事が誰かの役に立つていると思える時、自分のことを好きになれるのであり、そんな仕事であれば楽しむことができるのです。
・先に、自分に価値があると思えたら、対人関係の中に入っていく勇気を持てると書きましたが、自分に価値があると思えることがすでに勇気のいることです。仕事の場面で「競争社会で多言てきた人じとっくは、結果を出せないことば恐怖以外の何物でもあません。とたえ、競争に勝っていると思っている人であっても、いつ負けることになるかもしれないと思っていると安閑としていられません。
・仕事も、生きることも決して競争ではないということを知ることが最初に必要です。さらに、競争するのでなくても、人と関わることで何らかの摩擦が生じ、そのため傷つくことを恐れ、対人関係の中に入っていこうとしない人には次のことを知ってほしいと思います。他者は隙があればあなたを陥れようとする強い人ではないということです。
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岸見一郎先生は、単にアドラーが残した言葉を伝えるだけではなく、哲学者としての視点からの解釈を加えることによって、アドラー心理学を現代に蘇らせる仕事をなさっているような気がします。
2014/12/24『嫌われる勇気'13/12/16』、2015/01/24『アドラー心理学入門 (ベスト新書)2014/6/27』、2016/11/20『アドラー心理学実践入門 (ワニ文庫)2014/6/27』、2016/11/22『人生を変える勇気 (中公新書ラクレ)2016/10/14』、2017/01/21『幸せになる勇気2016/2/26』、2017/02/19/『アドラーに学ぶ よく生きるために働くということ (ベスト新書)2016/7/9』と刊行順とは違うが、岸見一郎先生の本を読んできた。
本書は、序盤、同じ文章が何度も繰り返されるので若干読みにくいが、アドラー以外の先人による言葉も引用され、最後の第四章では、心理学というよりも哲学、哲学というよりも宗教?と思えるような昇華を見せる。どれか一冊を選ぶということであれば『実践入門』を薦めるが、脳に擦り込みたい方には、本書も決して無駄にならない。
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働くということをアドラーの視点から見る。
幸せに働くにはどうしたら良いか。
部下に対してどう、接したら良いか。
決して怒らない。誉めない。感謝の気持ちとヨコの関係になる。
共同体への貢献を感じた時だけ、ひとはその仕事に遣り甲斐を感じる。遣らされたり不本意なままやる仕事には決して幸せは見出だせない。
至って、シンプルな考え方。何かを変えるのは最後は決断力と勇気なのかもしれない。
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岸見先生の人生とギリシア哲学とアドラー
心理学による働き方に向き合うための本。
改めて承認欲求と貢献感に
ついて考えることができました。
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タイトルのとおり。「よく生きるために」働くのである。
プライベートの語源は自分で奪い取るもの、というのは印象に残った。
仕事というのはよく生きるために行われるものであり、ではよく生きるとはなにか、というと、全体の幸福に貢献すること、である。わかりやすく言えば、人類の歴史に何かを残すこと。それはスケールの大きいものもあれば、そうでないものもあるが、その大小に優劣はない。
存在するだけでも、だれかがいる、ということになり、だれかのためになる。仕事によってそれを消してはいけない。仕事というのは最もよく生きる証に最たる手段なだけである。