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2018.02.03 読書中
日本だけでなく海外も含めて、過去の人口増減に関する歴史や諸説について、文献などを引用しつつ解説されており、なかなか面白い。新書の中でも、非常に中身の詰まった本だと感じる。
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人口を切り口に経済を考察する。
経済音痴の私には難しく、眠くなるページが多いが、所々なるほどと思うところもある。
それにしても三連休はよく読書した。
以下は読書メモ:
18世紀の学説では、人は豊かになれば子供をたくさんつくる。生物も、食料が増えれば数が増える。
しかし、19世紀末から先進国では豊かさの中で人口が減り始めた。
人口増加に代わって人類が経験したことのないハイペースで平均寿命が延びた。
経済成長を牽引するのはプロダクトイノベーション、それによって生み出されるモノやサービスが平均寿命の延長に貢献してきた。
人口が減ってもイノベーションによる経済成長は可能。寿命は生物学的限界かもしれないが、イノベーションにより「生活の質」をあげていくべき。
日本経済の将来
労働力人口 年率 -0.6%
多くの経済学者の考える潜在成長率 0.5%だが、筆者の可能と考える成長率 1.5%、そのためには年率2.0%の労働生産性の伸びが必要
一人当たりGDPは年率2%なら35年で2倍
現在30歳の人の生涯所得は現在65歳の人の2倍になる計算
問題は日本の企業がプロダクトイノベーションを成せるか。現状は日本企業は投資ではなく貯蓄に回している。
日本経済の将来は、日本企業がいかに「人口減少ペシミズム」を克服するかにかかっている。
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ライフネット生命創業者の出口さんのオススメ本。
●レビュー
・人口と経済の関わりを、歴史、海外との比較、経済学者などの論考への分析などの多面的に検討する画期的一冊。
・人口は増えたほうがいいとか、減ったほうがいいとか、単純な議論ではなく、双方のメリット、現状の問題点などを洗い出している。
・人口減少に伴う諸問題(GDP減少懸念、高齢化、長寿問題)に対する解決策は、イノベーションと移民受け入れですって結論は割とシンプル。
●ほか
・マルサス、アダム・スミス、ケインズ、ミル、漱石、老子、内藤湖南など引用が豊富。
・GDPのメリット(経済のサイズを測るに便利な指標である点)とデメリット(家事の価値など)は参考になった。
・高度経済は実は内需が支えていた、ってことを仰られていて、その点、野口悠紀雄さんとかが仰ってたこと(キャッチアップモデル、人口増加、圧倒的円安、1940年体制とかだったかな)に対してもう少しデータに基づいて話してくれると嬉しいです。
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人口減は経済成長の大きなマイナス要因ではない。人口減でもプロダクトイノベーションで成長可能との主張。
人口と経済成長の関係がそれほど強くないことは意外であったが、著者の分析から納得。
労働分配率を下げ、投資を回避して成長へのリスクを取らない経営者の姿勢が、日本の成長を阻害していると思う。
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期待していたよりも大局的な内容。人口減少=経済衰退ではない。イノベーションによる生産性向上が重要。というものだがもっとミクロな議論展開がないと説得力に欠ける。長寿が悪ではない、というのはその通りだと思った。
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新聞の書評で見て図書館に予約しました。全国紙やTVなどで紹介されると予約が殺到し随分待ちました。吉川洋 著「人口と日本経済」、2016.8発行です。大学の経済の授業を受けてるような気持で読みました(^-^) 平均寿命の急速な延びは、戦後日本の最大と言ってもいい成果とか。その理由として所得の増加、医学の進歩、皆保険(1961年)の3つを挙げていらっしゃいます。少子高齢化と人口減少は社会保障(費用)と経済活動に大きな問題を投げかけ、一方で過疎による市町村の消滅もと。ドイツは移民の受け入れを。日本はどうする?!
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人口という極めて客観的な情報に基づくことで、過度に楽観的でも悲観的でもない、ありのままの将来の日本社会の姿の一端が見えてくる。
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経済学から見た人口論に関する総合的議論。寿命との関係性で考えるのは興味深い。日本では生物学的な寿命の延長が限界にきている。次は健康寿命、QOLが課題。それには膨大なプロダクトイノベーションが不可欠。先進国の経済成長を生み出すのはそうしたイノベーション。
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【由来】
・週刊ダイヤモンドの新年号で、2016年の経済書ベストを発表してて、本書は堂々の第1位。しかも人口なので、これは読まないわけにはいかんでしょということで読んでみた。
【期待したもの】
・
【要約】
・経済成長ゼロでもいいじゃん、みたいな話もあるけど、雇用の劣化を招くので、やはり経済成長は必要。
(先進国の)経済成長は人口で決まるものではなく、イノベーションによる。再配分なんて二の次。
【ノート】
・主旨は、(先進国の)経済成長は人口で決まるものではなく、イノベーションによるということ(P89)。人口が少なくても「大人の紙オムツ」のようにイノベーションを起こして市場を創出すれば経済成長はできるということ。
・スウェーデンの「クヌート・ヴィクセル」による「最適な人口」(P46)。一人あたりの平均的な福祉の水準を大にする人口。それ以上増えると平均的な福祉の水準が下がってしまうような人口の水準。
・感想としてはイマイチでした。イノベーションの例が「大人の紙オムツ」って辺りに、著者の年齢的制約を感じるというのは別にしても、統計資料をもとに説明した後に出てくる結論に、論理的な接合を感じられなかった。人口学の歴史の概説にも統計の説明にも文句はないし、主張したいことにもそれほど異論はないけど、両者はつながってないですよね?という感じ。いっつも帯に文句を付けてしまうが、「経済学の答えはNOです」ではなく「(ある)経済学者の答えはNOです」でしょ。
なお、もう一つ、違和感を感じた例を。著者がイノベーションの例としてイノベーションの例としてスターバックスを挙げてる(P77)のだけど、これでつぶれた町の喫茶店多数なんだろうから「市場の創出」ではなく単なるゼロサムでの取り合いじゃないんでしょうか?(創出した側面もあるけど)
・また、本書では、ピケティの「格差拡大を是正するために再配分が大事」という主張は、今や肯定する人が少ないと記述している(P88)が、そうなのか?決めつけが過ぎるような気がする。それに「生産性より分配の問題なのだ!」という意見(お師様)の方が自分には説得力がある。
・これで昨年の経済書No.1っておかしくない?と思ったが、著者は結構エラい先生らしい。「ダカラカー」。だったらつまらんぞ、週刊ダイヤモンド!(正確に言うと、選考は編集部じゃなくて大学の先生やアナリストによる投票結果らしいけど)
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本書は日本経済への悲観論に対して、主にシュンペーターのイノベーション(新結合)を中心にした解決を紹介しているように見えた。
オビに「悲観論を乗り越える」とあるが、「悲観論」を「(能動的)ニヒリズム」と読み替えたほうがわかりやすいと思う。なぜなら「悲観論」のもう一端は「楽観論」となってしまうので。楽観論という語句が与えるフワフワした印象は、本書による「日本経済の悲観論への批判」という性格を表していないと感じる。
また本書全体を見ると、結びの4章では、副題にある通り「長寿、イノベーション、経済成長」について著者の主張が明確に書かれているものの、新書サイズという点で割り引いてもかなり物足りない結論に感じる。
本書を雑にまとめると「単に経済成長という数値を高めることを目的としたばかりに、マルサス、アダム・スミス的に捉えすぎて悲観的にならざるを得ない状況だが、様々な数字から見ると先細りという帰結に限定することはできない。また経済成長について視点を転じるためにスチュアート・ミル、マンデヴィル、とくにシュンペーターの視点からも捉える必要があるのではないか」という感じか。
ベタといえばベタな内容。
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少子化が日本の課題であることは間違いないが、少子化が経済の衰退を必ずしももたらすわけではない。
無知による悲観でも楽観でもなく、問題を正しく認識することが必要。
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私の理解では論旨はこんな感じ。
①「人口減少は大きな問題だが、だからといって経済成長できないわけではない」
②「経済成長はよいことである。最大の成果は寿命が延びたこと。人は幸せになった」
③「日本自身の経験に照らしても、成長ドライバーは人口ではなく『イノベーション』」
まず①については、「観光立国論」のデイビット・アトキンソン氏の意見が対極だろう。氏は「日本の奇跡的な経済成長は(日本人が思っているような)国民性やらなんやらではなく、要は急速な人口増によるもの」との立場。もちろん、だからこそ構造改革を、という点で両氏は通底している部分もあるが。
②について、成長を追わずに身の丈にあった暮らしを、といった意見を真向否定。ときにノスタルジックに語られる江戸時代についても(人骨などから判断できるとおり)栄養失調で寿命は短く、都市部は過密、今のほうがずっと幸せ、とすっきりしている。
では③、吉川先生が言う成長のための「イノベーション」とは何かと言えば、いわゆるサプライサイドというよりはつまりは「需要を作り出す工夫」のことと解釈した(大人用紙おむつや通勤用のグリーン車などを例示)。日本企業は内部留保貯めこんでなにやってるんだ、ちゃんとビジネスに使いなさい、と。
閉塞感に満ちた我が国に、理論とファクトで「人口減少は危機、その上でポジティブな未来はある」と訴える姿勢はすがすがしい。
とはいえ現状の財政を支えられるほどのイノベーションがありえるのか、企業が外需に目を向けるのは仕方ないのではないか、具体的なアイデアは、といった点は「それは下々の(笑)実務者が考えなさい」と割り切った本。
ともあれ、人口減問題のマクロ的理解として基本書と思う。
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日本において進行する超高齢化と人口減少問題については、毎日のように新聞紙上にて論ぜられ、それにより国家の増大する一方の歳出に対する懸念は論を俟たない状況です。
筆者は、昭和期の高度経済成長が、労働人口の増加ではなく、生産性の向上により実現されたことを、GDP伸び率と人口伸び率の差を示して指摘し、人口減少社会でも生産性を向上させることにより経済成長を達成できると説きます。
中国製造2025やドイツのインダストリー4.0等、製造業でのイノベーションを喚起する国家的取り組みが世界的にも大きく注目されている中、日本では特定の業種(例えば自動車)で、革新的取組への意欲(自動運転、電動化など)が見られますが、それはグローバルな競争への対処であって、独自性に乏しいような気もします。
グローバルなシュンペーター型競争市場で頭角を現す企業が出現することにより、更なる経済成長を達成する期待はあるものの、一方で日本では企業が現金をため込み健全なリスクテイクが行われていない状況があります。
労働力不足を補うための外国人単純労働者の受入れが叫ばれていますが、停滞する日本企業をグローバルな市場へと連携させる外国人プロ経営者の招聘、というのも状況の打開への起爆剤となるかもしれません。
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ジニ係数の定義。再分配を考慮したジニ係数は当然低い。再分配を考慮しない年齢別ジニ係数はとくに高い。平均寿命に関する格差も挙げられていて、昔は裕福さに比例した格差があったが今は格差はあまりない。19世紀末の平均寿命はアメリカと日本はほぼ差がないが、1945年まで日本は横ばいで50代?だったのに対し、アメリカは70近く?まで伸びている。衛生管理や病院の復旧度合い。GDPは不完全な指標だが、これほど重要で情報を持つ指標はほかにない。料理を自分で作るとGDPは増えないが、外食するとGDPは増える。お金の移動のない価値創造に対して、換算がされない。こういった指標は昔は戦前ヨーロッパで研究されていた。今は国連がやっている。需要の飽和により不況が発生する。経済活力の源は人間の欲、ぜいたく、恋愛。イノベーションによりGDPは上昇する。
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生産性の向上を如何に成すか、が本書のテーマ。
人口が増えずに生産手段の機械化(人力からブルドーザー)によって経済成長をした、という箇所は分かりやすかった。
ただし、機械化が益々進み、更にAI・人工知能が加われば、人(労働者)はさらに不必要になるだろう。現在でも消費者と労働者のバランスが崩れている(本来は一人の人間において不可分)というのに、これから益々歪な在り方が進むのだろう。