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白河三兎さんの白紙は予想は出来たけど少しぞくっとした。原田ひ香さんの君が忘れたとしてもはうるっとした。クリストファーロビンの名言がいいなあと思った。どの話も面白くて良かった。元々十年を題材にして作られたのかは知らないけど、同じ十年というのがキーになっていても色んな物語があって面白いなあと思った。
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「十年」をテーマにしたアンソロジーです。
一番のお気に入りは、最初の掲載作品である、中田永一さんの「地球に磔にされた男」ですね。タイムトラベル系SFです。十年前にタイムワープし即座に十年後、すなわち今に戻ってくるというタイムトラベルの話です。
十年前に飛ぶと宇宙空間に放り出されてしまう、過去に飛んだ時点で現代の歴史は変化してしまう、という設定がかなり良いです。この設定により新しい世界に飛びまくって人生を見つめ直していくという短編になります。
二編目は十年後の夢について葛藤する中学生とそれをなんとかしようと奮闘する担任の話、白河三兎さん「白紙」。担任の先生たちは奮闘しますがちょっとズレがでて結局は…という感じで、なんとも救われない最後です。
三編目はターナー症候群の女性とその恋人の話、岡崎琢磨さん「ひとつ、ふたつ」。主人公の女性はハンドメイドアクセサリのお店をやっていて、プロポーズしてくれた彼氏ががいるが、とりあえず保留し、ずっと悩み続けていきます。そのときに来たお客さんがきっかけで思考の方向性が変わっていきます。こちらはハッピーエンドという感じでしょうか。
四編目は亡くなった姉の子供に執着を持ってしまった女性の話、原田ひ香さん「君が忘れたとしても」。姉の子供は主人公にべったりだったのを、義兄が再婚したことにより離れ離れになり、連絡もなくなり忘れてしまったのだろうと思ったら…。いいお話でした。
最後の五編目は河童の話、畠中恵さん「一つ足りない」。これだけ時間としての十年が関わって来なかった気がします。ですので、なんか違うなぁという感じでした。時間経過そのものは「白紙」の方でも無かったわけですが、ヤクザ物的な感じで、河童&川vs人間&猿の話でした。
全体的には面白かったです。「一つ足りない」だけ残念かなという感じですね。「地球に磔にされた男」が非常に面白かったので、このままのノリで行くのかなと思ったら、ほんとに「十年」というくくりだけで、カテゴリもごった煮というのもある意味面白かったです。
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時間を跳び超える機械を手に入れた男の数奇な運命、戦慄の結末に背筋が凍るミステリー…。「10年」をテーマに5人の人気作家が自由に物語をつむいだ、読みごたえ満点のアンソロジー。
冒頭の中田永一(乙一)の短編はまずまずだったけれど、この種の設定は他の作家も描いている。他の3人もそこそこ面白かったものの、最後の畠中恵の短編の魅力はピンと来なかった。人気作家なのにどうも相性が良くないらしい。
(Ⅽ)
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「地球に磔にされた男」
様々な自分の10年間。
今と同じ未来がある事は、ほぼ100パーセント有り得ないことなのだろうな。
人生のどこかにある分岐点で各々が選んだ道を行く限り、一人の人生だとしても無限の可能性があるのだろうな。
「白紙」
縦読みで伝えた未来。
あんな事を知った状態で、10年後の未来の自分からの手紙を書けと言われても白紙しかないだろうな。
彼女は生きたかったが、先生からの言葉で間違えた方に決心したが怖くなり最後に頼りにした人にも断られた為この世を後にすることを選んだのかもしれないな。
「ひとつ、ふたつ」
欠点を隠し付き合い続け。
彼女が打ち明けてくれるまで話さないつもりだったのかもしれないが、突然元々知っていた等と言われたら混乱するだろうな。
彼はなんの気に無しに発した言葉でも、彼女がとても傷付く可能性が十分にある事に気付かなかったのだろうか。
「君が忘れたとしても」
突然訪れた今生の別れ。
確かに新しく母親になる人物からしたら、過去の母親代わりの人間は邪魔に感じ離れたくなる気持ちは分からなくもないが流石に限度というものがあるのではないだろうか。
偶然ふらっと通りかかっただけでストーカー呼ばわりし、逃げる様に引越していくのを旦那はどう思ったのだろうか。
「一つ足りない」
千年足りない名の理由。
大切な秘薬が襲われて奪われたといえど、その存在を知られたうえでの行動だとしたら何処から情報が漏れたのだろうか。
寝起きの悪さから繋がる強さもあるが、懐の深さにも彼女が周りの者をまとめる力がある事が分かるな。
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図書館で借りたもの。
その一瞬の選択が、あなたの10年後を変える。「10年」。それだけをテーマに五人の人気作家が自由に物語を紡ぐ。それぞれの個性がカラフルにきらめく、読みごたえ満点のアンソロジー。
地球に磔にされた男/中田永一
白紙/白河三兎
ひとつ、ふたつ/岡崎琢磨
君が忘れたとしても/原田ひ香
一つ足りない/畠中恵
ジャンルばらばらで読み応えあり!
「君が忘れたとしても」は泣けたな~
「白紙」はぞわっと!
SFな「地球に磔にされた男」も良かった。
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中田永一「地球に磔にされた男」☆☆☆☆
中田さんらしい。
パラレルワールドに移動する手段を得た男の話。
自分の悲惨な状況を覆そうと、幸せに暮らしている自分を探して、その人生を乗っ取ろうとする。
しかし、様々な可能性の自分に触れていくことで考え方が変化していき……。
この間読んだ入間人間の『時間のおとしもの』にも同じ題材の短編があって、おもいっきり自分を殺していた。
それと比べると、優劣とかではなくて、作者の違いを感じておもしろい。
白河三兎「白紙」☆☆☆
中学の作文の課題「十年後の自分」を白紙で提出してきた生徒。
まじめな生徒だったはずなのにどうして?
先生は理由を探ろうと話を聞くが、どうやら秘密があるらしい。
白河さんの作品は、以前小説新潮に載っていたクリスマスがテーマの短編以来。
そのときの温かいイメージを想像していたのだが、予想外。
ラスト手前まではなんて良い話なんだと思っていたのに。
そのままの方向性で結末を迎えてほしかった。
岡崎琢磨「ひとつ、ふたつ」☆☆☆
彼氏にプロポーズされた主人公。
しかし、自分が不妊症であることを伝えていない!
どうしよう?
障害があるとか、なにか欠けているとか、そういう人の気持ちははっきりとは分からない。
だからなのか、主人公の女性がめんどくさいやつだなぁと思ってしまった。
彼氏の「ちょうどいい」というセリフは僕も読んでいて引っかかったけれど、もう少し彼氏の心情を酌んであげても良いと思う。
まるで自分だけが悲劇のヒロインかのよう。
ただ、以前の経験が態度を頑なにさせてしまっているのかと考えると……ううん、難しい。
原田ひ香「君が忘れたとしても」☆☆☆☆
姉が急に亡くなって、その夫(義理の兄)と一緒に姉の子供を育ててきた主人公。
子どもが自分になついてくれることを喜びつつも、本当の母親ではないからと、いつか来る別れを漠然と意識している。
そんな折、義理の兄が再婚することとなり、子どもと会えないこととなってしまう。
いやあもう母親だね完全に。
子どものことだけでこれだけ心が振り回されるんだなあ。
本当の母親の心の内はわからないが、きっとリアルに表現されていると思う。
畠中恵「一つ足りない」☆☆
「しゃばけ」のスピンオフだそうだが、そちらを読んだことがないせいか、あまり楽しめなかった。
このアンソロジーの「十年」というテーマもまったく関係なし。
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「十年」をテーマにした5人の作家による短編集。
SF、ミステリー、恋愛、人の繋がり、ファンタジーと多彩な内容。
ほっとしたり、ゾクっとしたり、涙ぐんだり。
贅沢な時間を過ごせます
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ぷらんたんのお話が一番好きでした。岡崎琢磨、確か珈琲ミステリーも書いてたよね?持ってた気がするので今度読み返そう。このアンソロジーの中で一番好きな文体でした。というか新潮文庫nexのアンソロジーは読み応えがある上に全部面白いので本当に読んだ方がいいと思います。
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『地球に磔にされた男』
時間跳躍機構を使って自分の幸せを見つけることができた主人公に安心しました。
『白紙』
「10年」というこの短編集の表題が重くのしかかってくる作品でした。胸が痛くなりました。
『ひとつ、ふたつ』
『春待ち雑貨店 ぷらんたん』を以前読んだことがあったので、「同じじゃん」と驚きました。
『君が忘れたとしても』
母のように子供を大切にしていて、子供も母のように慕っていたとしても、周りの人間がそれを許すかは分かりません。当たり前は当たり前ではないのだから。
『一つ足りない』
最初は、主人公の九千坊は頭ではあってもあまり強くないのかとか失礼ながら思っていたのですが、後半になっていくとどんどん活躍する場が出てくるので、読んでいてわくわくしました。
短編集で少しものたりないかもしれませんが、そんなふうに思う作品があったら妄想するチャンスです。この作品もそんなふうに思える作品に出会えるといいですね。この作品もぜひ、手にとってもらえると嬉しいです。
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「十年」をテーマにした短編集。タイムトラベルもの(厳密にはちょいと違う気もするが)や河童の冒険譚など、読後が良さげなものもあるが、女子生徒と教師の話は背中を急に蹴られた感じで終わってしまった。プロポーズものや亡き姉の子どもとの過ごした歳月とか、生きているといろいろあるよね、としか言えない。。。
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どれも面白かったけれど、その中でも“白紙”が1番心に残った。
伏線の張り方が夏目漱石の“こころ”に似てるなと思った。
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10年をテーマにした短編集。どれも深い味わいがあった。私は原田ひ香氏の「君が忘れたとしても」に涙した。
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秀逸なタイトル。
①中田永一「地球に磔にされた男」が凄く良い話だっただけに、勝手にどの話もハッピーエンドで終わると思ってたら、いきなり②白川三兎「白紙」に唖然。勝手な思い込み、決めつけは良くないと学んだ。
だからこそ、③岡崎琢磨「ひとつ、ふたつ」も④原田ひ香「君が忘れたとしても」も最後の最後まで油断できなかったが、前向きな結末に一安心。最後の⑤畠中恵「一つ足りない」は異色だったが、ラストの九千坊と禰々子(禰豆子じゃないよ)の立ち振る舞いの王道味含め、落語のような雰囲気とオチに魅力を感じた。
良い構成で楽しめた。
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5人の作家によるアンソロジー。
中田永一 「地球に磔にされた男」
白河三兎 「白紙」
岡崎琢磨 「ひとつ、ふたつ」
原田ひ香 「君が忘れたとしても」
畠中恵 「ひとつ足りない」
一番好きなのは、姉が亡くなった後、残された男の子を育てる女性の話「君が忘れたとしても」
慕ってくれた甥だったが、姉の夫が再婚したため甥に会うことも叶わなくなった。もう会えないと思っていたが、甥が成人するのを機に会いたいと手紙が来た。
甥は自分のことが分かるだろうか。もし自分を見つけられないようなら・・・
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「10年」をテーマに五人の作家が物語を書く。
中田永一 地球に磔にされた男
時間を超える懐中時計の様なマシンを手に入れた男の幸せ探し。
白河三兎 白紙
中二女子、生き残るかor一家心中か、最悪の結末に。
岡崎琢磨 ひとつ、ふたつ
欠けたものを持つ人が、幸せに向かって行く物語。
原田ひ香 君が忘れたとしても
幼い甥っ子のために身を引いた女性が、青年になった甥っ子に再び合う物語。
畠中恵 一つ足りない
中国から泳いできた河童達、日本の西に住み着いた。
河童と猿の大合戦に。
普段触れることのない作者を知れたので、楽しかった。