投稿元:
レビューを見る
1994年日本人を含む沖縄の漁船員たちが37日間の漂流のあと、奇跡的に救出された。
漂流物の執筆を打診されていた筆者は、その話に目をつけ深く掘り下げていく。
調査していくと、救出された日本人船長はその生還から10年後また海で遭難して行方不明になっていたのだ。
そこから、筆者は沖縄の一地方に住む池間民族(海洋民族)の存在を知る。
そして、遭難した船長の足跡をきっかけに、日本における海洋民族の歴史について追っていくこととなる。
漂流にフォーカスした冒険譚ではなく、日本の海洋民族についての調査研究として読むのであれば満足できるが、漂流にフォーカスしたものを期待した私には、少し冗長だった。
投稿元:
レビューを見る
一ヶ月くらいずっと読んでいた本。
読んでいる間じゅう、底知れない取材力、そしてその内容に圧倒されていた。
自分の語彙じゃ言い表せない。
広い。
深い、海の世界。
考えてみたこともなかった、そんな視点で見たこともなかった。
今年一番の本かもしれない。
こういうのがあるから読書ってやつは最高だーな。
投稿元:
レビューを見る
読み終えて見れば特に何も起こっていないのだが、自分語りが嫌味になっていないのは、取材と体験を離れて語ることをしないからなんだろう。エピソードの並べ替えもあざとくならないのが不思議。
投稿元:
レビューを見る
1994年3月、37日間におよぶ漂流から「軌跡の生還」を果たした男がいた。しかし、その8年後、男は再び漂流し、今日まで還っていない。そして、その生に引き込まれるようにして始まる著者の彷徨。沖縄、グアム、フィリピン、寄せては返す波に、ほとんどおぼろげな足跡が見せるのは、その男の生ではなく、その島の性であり、その民の歴史であった。漂流を祖に持ち、漂流を伝統とする海の民と、南洋マグロ、カツオ漁の栄枯盛衰。二度漂流した男、本村実はいかにして、どのようにしてあったのか。「海という世界がもつ底暗い闇の奥深さ」に触れる、誰も知らない、知られようともしないの民の歴史の断片。探検家、角幡唯介の新境地。
「私が終止いだいていたのは、本村実は行方不明者となることで佐良浜という土地と海の倫理を貫徹することになったのではないかという思いだった。」
投稿元:
レビューを見る
人に勧められて読んだ本。沖縄は定期的に足を運び続けて長くなります。その沖縄の知らなかった一面を、鋭い視点と解釈で書き上げているルポ。海の世界、島の世界。陸の世界の人々にはわからない世界。本当に面白くて、手元に置いておきたい本だと思いました。
投稿元:
レビューを見る
タイトルの漂流の話というよりも,木村実の人生(漂流も含まれる)を調べて,海で生きるということあるいは生きざるを得なかったことを本にしている.佐良浜の漁師たちの生き様,歴史,あるいはまぐろ漁の変遷と補陀落思想が混じり合って角幡氏なりの答えを出したようだが,氏の信じるロマンもいいが,やはり漁師しかなかった土地に少しのやりきれなさを感じた.
投稿元:
レビューを見る
マグロ漁という切口から沖縄の歴史を改めて知ることができ、大変面白かった。探検家として超一流だがジャーナリストとしてもレベルが高いと思う。