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まず書籍として、「ダライ・ラマ子供と語る」というタイトルと内容があまりマッチしてないように思った。前半はダライ・ラマの反省と仏教の起源について非常に簡略化されたエピソードがつづられている。後半はいくつかの講演の概要と子供たちのとQAのやり取りが記載されているが、非常に短い。
内容としては、翻訳の関係もあるのだろうが、正直魅力を感じたり感銘受ける部分はなかった。
すべての事象は相互依存して発生するという仏教の概念について語られている箇所があった。キリスト教の司祭にその相互依存的な発生の原理について問われたとき「それは仏教に取り組んでいるものにしか関わり合いのない話」だと回答したそうだが、この問答からダライ・ラマは「真理」の存在を否定しているように思えた。もし仏教的な真理もその他宗教や思想における真理も究極的な「真理」に根差すのであれば共通の課題であるべきであろう(少なくても門外漢には関係がないなどという対応はふさわしくないように感じる)。このエピソードが誤訳等でなく真実であるなら、人類全体が一つの方向を目指し恒久的な平和を獲得するなどということは不可能ではないかと感じた。
いずれにしても、本著の内容は精読するようなレベルではないと感じた。