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○不思議な友人関係にゾクゾクする印象を持ちながら、騙された感覚なしにあなたは騙され続けるだろう
主人公は子育て中の奈津子と、子供はおらず妊活中で夫の浮気を疑う紗英。
紗英が助産院での仕事を終えた後、必ずと言っていいほど奈津子の家に寄り休んで行く。奈津子は紗英の家の鍵を持ち、いつでも入れるしなんなら食事まで作ることもある。お互いに「紗英」「なっちゃん」と呼び合う仲だ。
ある日奈津子が紗英の家に行くと、紗英はおらず夫の大志だけがいた。食事を作ろうと家にあがり、大志が麦茶を飲んだとき、急に苦しみだして倒れてしまった。紗英が除草剤を使って殺そうとしたと気づいた奈津子は証拠を隠し、遺体も隠そうと画策する。一方の紗英は、なぜか大志から連絡がこないことで不倫相手の家に行っているのではないかと不審を抱くものの、奈津子と一緒に警察へ駆け込むが・・・
プロローグでの
"この子のもとに、幸せばかりが待っていますように。
悪いものが、来ませんように。"
という言葉から、タイトルは奈津子の願いだということが読み取れるが、途中から奈津子や紗英の関係者の「証言」が出てきて、きっと奈津子や紗英が何かした・・・まさか人を殺したのでは?しかしその言葉との関係は、と終始ゾクゾクしっぱなしである。
さらに、奈津子が紗英が除草剤を使って殺人を犯そうとしたことに気づき証拠を隠滅するも、紗英が殺害を犯そうとした体で語っていないことで、読者は答えを見つけられず混乱する。
徐々に、第五章のあたりから種明かしがされていくが、事実が確定的になるのはエピローグである。ここまでずっと、「えっ?えっ?」と思わされたものがすっと晴れ、そしてもう一度「えっ?えっ?」と戸惑うことになる。
再読してはじめて、伏線の多さに気づける。我々は作者にまんまと騙され続けるのだ。再読推奨!
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最後まで読んだらもう一度読みたくなる、と書いてある本でホントにやられた!って思ったのはイミテーションラブ以来。すごく面白かった!
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予想を超える面白さ。ミステリなのかサスペンスなのか線引きが難しいが、いくつもの伏線、最後のどんでん返し、最上のミステリだったと思う。
あらすじ(背表紙より)
助産院に勤める紗英は、不妊と夫の浮気に悩んでいた。彼女の唯一の拠り所は、子供の頃から最も近しい存在の奈津子だった。そして育児中の奈津子も、母や夫、社会となじめず、紗英を心の支えにしていた。そんな2人の関係が恐ろしい事件を呼ぶ。紗英の夫が他殺死体として発見されたのだ。「犯人」は逮捕されるが、それをきっかけに2人の運命は大きく変わっていく。最後まで読んだらもう一度読み返したくなる傑作心理サスペンス!
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『悪いものが来ませんように』
病気でも、友達でも、天災ですら。
自分の子に悪いものが来てほしくない、
幸せだけが訪れてほしいと願ったことのない親がいるのだろうか。
実際にはそんなことはありえないし、
少しくらいは苦労しておかないと、かえって子供にとって良くない。
それはわかっているから、ヤキモキしながら見守るしかない。
そう、親に出来ることは見守ることくらいなのだ。
奈津子と紗英の親友と呼ぶには深すぎる関係が
(というよりも奈津子の一方的な献身が)
ずっと違和感があったので、真相がわかった時には納得した。
まぁそうだよね、と。
ただそこから先は不覚にも泣いてしまった。
なんて自分勝手な言い分なんだろう、
やっぱりこの母親は歪んでる、と思わせておいて
それこそが母の愛だった、と分かった時。
二度と会えなくても娘を守ろうとしたこと。
『悪いもの』はたとえ自分であっても娘から遠ざけること。
親というのは、何故ここまで出来るのだろうか。
はたして自分にそこまで出来るのだろうか。
自らの中にあるはずの母性に、問いかけずにはいられない。
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題名だけ見て勝手にホラーだと思い込んでいた。
ホラーではなかったが、かなり怖いミステリー。
違和感ありまくりの女同士の関係に、なんか変だぞとモヤモヤしながら読み進める。かなり気持ちの悪い人間関係に辟易しながら。
一応謎が分かっても読後感はあまり良くない。なんとなく女性作家にこの手の物語を書く人が多い気がします。あーこわっ!
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中々のめり込めなかったけれど、途中で明言される真実に、やられた、と思った。
後半からは一気に引き込まれて読み進んでしまった。
ちょっと他の作品も読んでみたくなった。
161229
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不妊や夫の浮気に悩む紗英。育児や家族との関係に悩む奈津子。お互いがお互いを心の拠り所としていた二人。しかし、紗英の夫の失踪が二人の運命を変えていく。
子供を持つ同性への妬みや嫉み、家族とうまくいかない現状、前半はそうした感情が、欝々と描かれます。二人の関係性など、感情移入しきれないところもあり、正直読むのはなかなかしんどかったのですが、筆力はかなりのもの!
自分の読むペースが上がってきたのが、中盤の人の家を覗き見るシーンや、死体の隠ぺいのシーン。このあたりの描写が心理的に追い込まれていく緊迫感や緊張感があり、読み応えがありました。
そして、そこから描かれる不安や後悔の感情の描き方もまたうまい! 芦沢さんの女性の黒い部分の心理描写は、湊かなえさんや、辻村深月さんを彷彿とさせるものがある気がします。
女性たちの生活が描かれる章に加え、二人の関係者が、各章のはじめに証言していくという、いかにもミステリらしい構成。証言が今一つしっくりとこないところや、ちょっとぼかしてるなあ、という表現もあって、ミステリ好きからすると「これはなにかあるな」という感じを受けると思います。現に自分も「こうくるのかなあ」などと考えながら読み進めていました。
で、その考えの一部は当たっていたのですが、ある一つの部分で思い切りひっかけられてしまいました…。ここでこうくるとは思わなかったなあ。
で、さらにすごいのが、その大きな仕掛けが、証言の噛み合わないところ、登場人物の共感しきれなかったところ、そういった部分の意味を反転させ、ストーリーとして一本の軸に収めてしまうところ。本当に非常によく練られています!
デビューから間もない時期の作品ながら、この完成度の高さ。そして先にも書きましたが、筆力や作風も湊かなえさんや辻村深月さんを思わせるものがあり、近作でこのミスにランクインするなど、勢いも十分! 次の女流ミステリ界のトップに来るのは芦沢さんかもしれない、と少し思いました。
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プロローグ
第一章
1 庵原紗英
山本祐司(紗英の元彼)の証言
2 柏木奈津子
宮野靖子(奈津子の実家の隣人)の証言
第二章
1 庵原紗英
2 柏木奈津子
第三章
1 庵原紗英
2 柏木奈津子
第四章
1 庵原紗英
岸田鮎香(紗英の高校の同級生)の証言
2 柏木奈津子
酒井鞠絵(紗英の妹)の証言
第五章
1 庵原紗英
黒川敦美(紗英の旧職の後輩)の証言
2 柏木奈津子
長谷川幸代(奈津子の母)の証言
第六章
1 庵原紗英
柏木奈津子の証言
2 柏木奈津子
庵原紗英の証言
エピローグ
ネタバレ
P218 「紗英、紗英、私のかわいい紗英。私の大事なー娘」
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この人たちは一体どういう関係なんだろうと思いつつ読んでました。呼び方が紛らわしいんですよー。
ものすごい共依存。自分もそうはならないようにしなければ…。あと、こういう関係に近い人たちに心当たりありすぎる。
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読み始めてしばらくすると、どんどん惹き込まれた。
子供ができないことについて、親の躾について、旦那について、色々思いながら読んだけど、最後は全て飛んでいくくらいの展開だった。
おすすめ。
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『貘の耳たぶ』が面白かったので、ほかの芦沢央作品も読んでみたくなって手に取った。
うまいなー!まさにどんでん返し!ミステリの王道を行く手法ではあるけど、まんまと騙された。ただの気持ち悪い友人同士だと思ってた(笑)
でも解説にもあった通り、ミステリとしての楽しみだけではないのが良い!母娘の関係が、じわじわ胸に黒いものが染み込んでくる感じで描かれてる。ホント母娘って、なんでこうねー…うまくなんていかないのよ。精神的虐待って、結構あるよね。
『貘の耳たぶ』といい、この人の描く親子関係は重い…。
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ちょっと不気味な関係性を持つ紗英と奈津子。共依存が強すぎる二人に起こった事件により、驚愕の真実が明らかになる、どんでん返し付きサスペンス。
最後の最後まで騙されました。異常性を感じる二人の女性に嫌悪感を抱きすぎて、事の本質部分を見落としてしまうという、これも作者のテクニックなのでしょう。
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助産院で働き、地銀に務める夫との不妊に悩む紗英。
そしてその紗英の心の拠り所奈津子。
互いに、子育てや家族不妊など多々の悩みの抱えて相互に協力し合っていくように見えますが・・・。
終盤の展開にはやられた感がありました。
二人の人間関係にうまく騙されました。
ただ、やはり女性の方が共感できるのではと思いました。
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2017.10.30読了
すっかり騙された
すっかり芦沢央のファンになった
毒があって、刺々しくて、、、
それでも何かの救いがある。こういう作品がつくづく好きだ
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帯の煽りが『騙されてもう一度読み返した人90%』。
挑戦的(笑)。
実際は、騙されたと言うかジワジワ違和感→そういうことか!でスッキリな感じ。
育児あるある、旦那への殺意あるある、母が重たいあるあるで、割としんどい内容だけど、ラストは好き。
戦う事も引き受ける事もしないで人のせいにしてる事って意外と多い。アダルトチルドレンとか愛着障害とかいくらでも名前はつけられるけど、20歳すぎたら自己責任だよなぁ。
ただ、除草剤は飲みこめないだろ。流石に死因は勘違いしないだろ。ラストに繋がる大事なとこだけに、そこはちょっと強引ではないでしょうか。