昭和臭が心地よい
2016/10/07 22:34
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投稿者:ヨンデリーヌ - この投稿者のレビュー一覧を見る
なんてキュートな設定!
なんてチャーミングな登場人物!
なんて軽妙な会話!
中身云々じゃなくて、このキュートさ、チャーミングさ、軽妙さを、ただただ味わうべき作品。
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杏子がミラクルかわいい昭和ラブコメ。
最高にキュートな恋の駆け引き。
三原商事の御曹司三兄弟と、一般家庭野々宮三姉妹のドタバタラブコメディ。
三郎と杏子を取り巻く会社の人や友人たちもみんな魅力的で憎めないしやたらと銀座でとんかつを食べたりバアで飲んだりあとやたらと道端でばったり会ったりするけどとにかくかわいい。
ラストはちょっと強引にまとめた感あったけど誰も不幸にならない大団円。
杏子の世間擦れしてない感じがキーだと思った。
p92
杏子は、家へ帰ろう、と決心した。家には、大好きな父が、自分を待っていてくれる。そして、母も、楢雄も。しかし、大好きな父も、そして、母も、楢雄も、今夜のこの悲しみを癒してくれるには、何か、足りないような気がしていた。杏子の心は、明らかに、肉親以外の何ものかを求めているのであった。
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昭和のラブコメ。
これは、確かにきゅんきゅんする。
じれじれ系いいですね。連載されていたのは、なんと1950年代のことだそう。
ページを開くとそこは昭和の時代ですが、古臭さは一切なく、なんだか懐かしい。こんな時代も確かに日本にあったんだろうなあと、ほくほくしながら読みました。
3姉妹の3女、杏子がとにかく可愛いんですよね。
とってもチャーミングな女性。可憐という言葉がまたよく似合う。
そして、男性陣がまた紳士で。
杏子のお父さんも素敵なんですが、やっぱり一番は風間さんでしょうか。爽やかでフェアでそれでいて積極的で。
今の祖父母世代がよく、昔はよかったなんて言いますが、私もこの時代に生きていたならきっと、今頃昔はよかったと言っていそう。
昔の方が、自立するのが早かったですよね。朝の連続ドラマとと姉ちゃんなどもそうですが、家族をはじめ、他者との距離感が好きです。馴れ合うのでなく、尊重しあってるというのが伝わってきて。
最初に発刊されたのは随分昔ですが、この9月に新たに刊行されてるのがこちらです。
新刊コーナーに並んでいなかったら、もしかしたら一生目に留まることがなかったかもしれない。筑摩書房さん、いい仕事されてるなぁと、1本好きとして嬉しい気持ちで読み終えました。
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昭和軽薄体の母体になっているような文章で書かれた
ガッチガチの王道ラブコメで今更驚くようなことは特にございません。
ただ、このサラリーマン社会と家社会の
濃厚な昭和感は久しぶりに感じたもので
もはや資料的な価値があるとすら言えると思います。
ご都合主義的な展開なので、
あからさまな当て馬がいっぱいいてもやっとする人はいると思う(笑)
ただ、この人、1912年生まれで
1930年から会社勤めしながら小説を書き続けて1951年に直木賞をとって
本作自体は1958年からの雑誌で連載したものです。
戦争をくぐってここまで影のない作品を書くのは
かえって信念の人ではないかと、これしか読んでないけど思うのです。
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まーなかなかこんな御都合主義な展開もお目にかからないがむしろ物事がなんでも都合よすぎて清々しいわ。
長女がなんともアレですな。
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反発しあいながら惹かれ合ってる様子がとっても可愛い。杏子ちゃんも三郎もすごく自分を持ってて、末っ子らしくしっかりちゃっかりしてて、その上見た目もいいなんて、お似合いだわ。
それにしても、四六時中(会社の中ですら)、こんなに色恋の話ばっかりしてていいんかね?笑 楽しそうだけど。
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映画「最高殊勲夫人」を観たので、その原作たる本書が登場です。源氏鶏太は流行作家でしたので、何かとその作品は映画化されたものです。特に『三等重役』は「社長シリーズ」の原点といはれてゐますので、東宝は源氏氏に感謝せねばなりません。今さら遅いけど。
かういふものは、カヴァーの紹介文をそのまま引用すると都合が良い。
三原商事秘書室に勤務していた野々宮桃子は、現在の社長三原一郎に見染められて結婚し、今や社長夫人である。彼女は、仕事の後任にすぐ下の妹梨子を推挙した。ところが、この梨子を社長の弟次郎が好きになり、二人は結婚した。梨子も専務夫人となったのだ。
桃子は次に、末の妹杏子を三原家の三男三郎と結婚させようと画策した。他の会社に勤務する三郎を杏子との結婚で三原商事に呼び戻せば、兄弟の結束は固まり、会社の将来は万全である。社長夫人としての深謀遠慮だった。だが当人同士はかえって意地を張り、喧嘩ばかりしている。そのうちにそれぞれ別に恋人があると宣言してしまった!
若い男女の結婚を巡って織りなす人生模様を爽やかに描いた傑作長編。
一郎・次郎・三郎......社長三兄弟の名前からしてもう白痴的なストオリイが予想されるところです。しかも長男次男が結婚したのが、やはり姉妹の桃子と梨子。一郎も次郎も結婚してからは女房に尻に敷かれてゐます。
特に社長夫人となつた桃子の専横ぶりがすごい。家庭内のカカア天下ならまあいいのですが、会社の経営に関する事まであれこれ口を出す。そして紹介文にあるやうに、末の妹・杏子には三男の三郎と結婚するやうに働きかけます。しかし三郎は兄たちと違ひ骨のある男。人に指図されて動く人間ではありません。杏子もまた負けず嫌ひで、三郎に惹かれながら何かと反撥する。まあ結末は想像できますね。
ここまで単純化・戯画化した設定とストオリイも珍しい。実はわたくしが読んだのは古い角川文庫版なので、小さい活字で400頁近くあつたのですが、多分読み通すのに二時間とかかりますまい。遅読のわたくしが言ふのだから間違ひない。
で、結局「最高殊勲夫人」とは誰なのか。本来ならヒロイン(映画では、若尾文子。ちなみに三郎は川口浩)がタイトルになる筈ですが......
なほ、当時はプロ野球人気が沸騰してゐた時代なので、この表題はMVP(=最高殊勲選手)を捩つたものでせうね。
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