電子書籍
設定はイロモノなのに
2020/03/14 02:52
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投稿者:なつゆき - この投稿者のレビュー一覧を見る
表紙の絵と題名からすっかりコメディだと思い込んでいたから、主人公一人称の暗く重ための雰囲気に唖然としてしまい、なかなか話に入っていけなかった
どう考えても根暗でひ弱な主人公が受けだと思えるのに、ガタイが良く攻めに思えた方が妊娠可能な受けだとは・・・
しかし最終的には全てにおいて破綻なく、納得のいくものになっていたのみならず感動さえ与えられたのだ
主人公の一人称で内省的な文章は時として暗く重く、それが続くとこちらまで陰鬱な気持ちに引きずられてしまうのが難点だろう
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web小説からの書籍化。行間もなくみっちり埋まった文章量に最初は怯んだが、会話文とのバランスがとれていて気が付いたらサクサク進んでいた。新人にありがちな破綻する文章や説得力のない展開はなく好ましい点も多いが、いかんせんこれはBL。攻の一人称ということもあって、余すところなく書かれている心理描写が多少くどく感じられることも。
でも萌えやキャラの人間的な魅力はあり、妊娠を扱っていながら異性間でのそれを彷彿させずにちゃんとBLしていたのは見事。この次、どんな話を書くのか楽しみです。
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産婦人科に勤める冴えない37歳童貞の弓削。
そこに屈強な体つきでお尻から血を流す25歳岩本が診察にきたところから物語は始まる。
正直に言ってタイトル、イラスト、このあらすじだから、コミカルでぽんぽん軽く読める小説だと思っていました。
でも中身は違います。BLだけどBLじゃない。
弓削の一人称の独白が昭和の純文学のように思えてそういう印象になったのかもしれない。でもその声に出さない心の中で語られる言葉が、激しいものから諦めが入った深い落胆や自分への失望、人を好きになる喜びと好きになったからこその自分の変化、だからこその深い暗い感情など、様々に弓削の世界に色がついていきます。
反面いつもはしおれた草のような存在の弓削ですが(ひどい表現)、岩本とのエッチはとてつもなく官能的で濃厚で、湯気がたつのではないかと思うくらい熱いものです。
そして屈強な岩本が、童貞の弓削のために妖艶だったり子ウサギのように震えて翻弄されたりします。
だって弓削はエッチの時は野獣だから。本当に野獣だから「えげつねぇ」とは岩本談。童貞怖い(笑)
しかも思考が内向的だから無言なの(笑)心の中では饒舌なのに無言なの(笑)そりゃ岩本も不安になりますよ、それでいてガツガツされるんだから(笑)
でもそのギャップがたまりませんでした。新たな扉開いちゃったなぁ。
しかし受ける岩本はスパダリならぬスーパーハニーなので最強です。こんな人彼女に欲しい。マジで。
個人的に弓削の「静かに腐っていく日々」という言葉が印象に残っています。
そこから抜け出したいと、岩本と出会って彼のように健やかに生活したいと思った弓削に心が震えました。
本当に本当にタイトルや表紙に騙されました。なんども通勤中に泣かされることになる一冊だったとは。
外見に惑わされず(笑)手に取ってみて下さい。琴線に触れる人にはたまらない一冊になると思います。