紙の本
ホラー色は薄め。
2016/12/03 16:18
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投稿者:ぷわち - この投稿者のレビュー一覧を見る
三津田信三作品特有の、「薄気味悪い雰囲気が漂い、起こった事件全てが人間の仕業なのか、それとも人ならざるものが何かしら手を下したのか・・・」みたいな不気味さはありませんでした。
あくまでミステリですね。
ぶっちゃけ、かなり早い段階で犯人の目星はつきました。
それと、炭鉱に関する説明となる部分が多すぎるというか、ちょっと読みにくかったです。
まあ、物語上必要なのでしょうが。
私自身、昔炭鉱でとても栄えていた街に住んでいますので、炭鉱というものはほんの少しは身近なもので、炭鉱跡の史跡も見に行った事があるのですが、それでもとっつきにくかった。
ぶっちゃけその辺は飛ばして読みました。
主人公の性格は、刀城言耶に似てますね。
刀城言耶のように変人ではありませんが。
三津田信三作品のファンにとっては、ちょっと物足りないかもしれません。
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【戦後まもない炭鉱を、恐怖と謎が支配する! 絢爛たるゴシックミステリー】炭鉱を襲う落盤事故と、それに続く連続怪死事件。現場の密室からはいつも、黒い狐の面をかぶった人影が……。三津田信三の真骨頂!
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三津田先生お得意の、戦後まもない地方(架空の閉鎖された村。今回は炭鉱ですな)を舞台とした連続怪死事件。
テイストは完全に刀城言耶モノでしたので、あのシリーズが好きな人には安心してオススメします。
三津田先生の作品のお作法(刀城シリーズの多重解決的なやつ)に慣れてる読者は、途中、ある程度解決のパターンが見えてくるところがあるかもしれません。が、それを網羅した上でなお楽しませてくれた作品でした。
好評だとシリーズ化されるっぽいのですが、上述の通りあちらと雰囲気がだだ被りなのでどうなんだろうなぁ……。
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図書館に入るの待てず、買っちゃった。でもその甲斐はありました!
この話、この時代(戦後)の炭鉱でないと、プロットもトリックもその他なんやかやも、成り立たないんだわねー。すごいな-。
刀城言耶シリーズよりも社会派寄りで、民俗学と不気味さがちょい薄ってカンジでしょうか。
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戦後間もない混乱期に、大卒ながら日本の行く末に憂いを抱き、自分の目で現実を確かめるため、物理波矢多は北九州の炭鉱で炭坑夫として働き始める。そこで起こる連続怪死事件について探るうち、波矢多は戦時中の炭坑夫たちの過酷な労働の現実を知らされる。
ミステリやホラー部分は薄め。それよりも戦時中の出来事が生々しく、それこそが恐ろしい。
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戦後まもない炭鉱を舞台に起こる不可思議な事件。深く暗い炭鉱の奥底に潜む恐怖とは。面白かったです。題材的に重くて時間かかるかと思いきや読み始めたら一気読みでした。戦時下徴用や朝鮮人連行問題を含めて様々な社会的テーマにつながる炭鉱という特殊な舞台で、労働者たちの生活を生々しく描かれ、また満州国の建国大学の若者たちが抱いた熱い理想と現実のギャップが興味深く、非常に読み応えがあった。
ミステリ部分は安定。ミステリを読みなれている人は、ある程度犯人の予想はできるかもしれないが、それでもこの世のものとは思えない存在が合理的に解釈されていく様は圧巻。そして、合理的解釈を得てもなお払拭されない不穏さと地の底への恐怖が三津田作品らしい。刀城シリーズと違って、主人公が怪異そのものへの関心が薄く怪異の掘り下げは少なめなので少し寂しい気もする。
作中で炭鉱の迷信、怪異や怪談について語られるのが興味深く、それだけで別に執筆してほしいくらい。
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炭鉱にまつわる忌まわしい話が根底にあり、戦後の混乱期に起こる連続殺人。
解決されない謎はホラーとして残り、論理的に解決がつくものは、最後に伏線とともに収束されていきます。
見事です。
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前々から本格ミステリとして告知されており、その発売を心待ちにしていました。
相変わらず前半は舞台の説明に費やされるので、少々退屈。
しかし、事件が始まってしまえばページをめくる手が止められなくなるのも毎回のこと。
炭鉱という特殊な舞台だからこそ成し得た事件の真相には説得力はあるものの、意外性には欠けるものだと思う。
それでも、怒涛の伏線回収は気持ちいし、なにより真っ直ぐな本格ミステリは読んでいて愉しい。次回作へのフラグも立っているので、気長に待とうと思う。
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炭鉱を舞台にした本格ミステリ。実はなかなか読み進めることができませんでした。なぜかと言うと……。
この作品、なんでこんなに嫌な雰囲気なんでしょうか。
かなりミステリです。密室連続殺人がメインだし、解決に至る過程も完全にがちがちの本格。超常現象は一切使わず、怪奇要素は味付け程度のはずなのに。何も起こっていないうちからなんだか怖くていやーな雰囲気がひしひしと感じられたのは私だけなのでしょうか。
炭鉱で語られる怪談ももちろん怖いし。ほんの少しだけ残された「謎」も妙に引っかかってぞくぞくとした嫌な感じが残るし。そして何と言っても後日談で起こったあの事件が……! 正直なところ、これを読んで炭鉱が嫌いになってしまったかも(苦笑)。
何度も言うようだけれど、これはミステリだと思います。だけど私にとってはホラーだったのかもしれません。もちろん、好きか嫌いかといえば大好きなのですが。やっぱり怖いんだってば……。
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戦後間もない北九州の炭鉱で発生した連続殺人事件を満洲の建国大学から日本に帰国した物理波矢多が解決する本格ミステリー。
当初は刀城言耶シリーズとして書かれる予定だった本作。そう考えるとホラー色が薄くて事件も地味な印象を受けますが、炭鉱という閉鎖的な空間が魅力的ですし、数々の伏線が回収される怒涛の多重推理は圧巻の一言。時代背景もよく描かれており、重厚で優れた作品に仕上がっていると思います。
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50点
***
戦後まもない北九州の炭鉱で起きた、不可解な連続怪死事件。現場に現れた黒面の狐は、人なのか、人にあらざるものなのか?炭鉱で働く屈強な男たちの心を、次第に疑いと恐怖が蝕んでいく。真相を知るのはただ、ヤマの神と、黒面の狐のみ…?ホラーミステリーの名手、三津田信三による、重厚かつ壮大な書下ろし長篇。
***
設定の割にホラー要素が比較的薄い、あるいはホラー以上に濃厚に語られる当時の鉱山社会の描写に圧倒されてホラー要素にまであまり目が行かない。
歴史的、政治的な感想を一言だけ言えば(この小説で語られる時代背景が事実だとして)これじゃどう考えても勝てないですよね。
さてさて、ミステリとしてみるとどうかと言うと、実を言うとこのキャラクタ造詣が好きじゃない。
大好きな作家の三津田さんの作品という点を踏まえて控えめに言ってこの言い方です。
当時の人間を迷信に振り回され合理的論理的な考え方を出来ない人間として描きながら、その中で探偵役だけそれに縛られない上位の人物のように描くスタイル、非常に嫌です。
ちょっとだけ言い過ぎたきらいがありますが、別の作家のあるシリーズで思ったことを思い出してしまいました。
あといつもなら気にならない名前を使ったどんでん返しも、そのキャラがその名前である必然性がないことなど考え出すとあんまり良い使い方とは思えなくなってきました。
他にミステリ要素としては密室に関しても総じて良い出来とは言えず、残念ながらノンシリーズの三津田作品としてはあまりお勧めできないものという感想になりました。
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戦後の北九州の炭鉱を舞台にした・・・なんだろ。ミステリかな。
いつもの「ホラーテイスト」はちょっと控え目で時代背景やその雰囲気を描くのに力をいれてる感じです。いつもの「ホラーとミステリの融合」みたいなのを期待した方は肩透かしだったのかもしれませんが、自分は結構楽しめました。炭鉱労働者の過酷でありながらちょっと奇妙な生活が非常に興味深かったというか。そして殺人が起きて・・というベタっちゃベタな展開ですが、それもまたよし。
真相は・・まあ言い方は悪いですがオーソドックスな感じではありましたが、なんというか、好みでもあります。
シリーズ化がなんとなく示唆されてるっぽいですが楽しみにしています。
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波矢多が葉津子や多香子から示された好意にあまり反応を示さなかったのは、やはりどちらかというと、あちらの方の趣味が強かったからかな。陰惨な舞台に、軽くBL。
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戦後の混乱期。満州の建国大学出身の主人公は、戦争を経て自分を見つめ直すためにあえて辛い炭鉱で働きだし、そこで炭坑夫が注連縄で首を吊るという不可解な連続怪死事件に遭遇する。現場では黒い狐の面をかぶった人影が目撃されて…
著者特有のホラー+ミステリワールドに、社会派小説が加わった重厚な作品。
炭鉱の町の独特の生活や人々の考え方が丹念に描かれており、それだけでも面白かった。命がけの現場で働く生活に根付く怪談は怖い。
ミステリとしてはわりと地味だが、炭坑夫たちの中では異質な論理的思考の主人公がコツコツと謎を解いていく過程はよかった。
シリーズ化か少なくとも続編がありそうな気配なので期待したい。
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物理波矢多が九州の炭鉱で起こった連続殺人事件を解決する物語だが,炭鉱労働者の苦しい状況が詳細に描写されており,日本の暗い社会に注目したストーリーでもある.満州で大学生活を送っていた波矢多は敗戦で日本に帰り,底辺を見ようと炭鉱で働くことにして下車した小さな駅頭で合里光範に会う.インテリの経歴を隠して働くうちに,南月尚昌と懇意になる.戦時中に朝鮮から強制的に連れてきた人を過酷な労働に追いやった経歴を持つ鉱員が居て,彼らが密室状態で次々と殺される.波矢多が推理するp404からの展開は秀逸だ.犯人の巧みな行動と犯行自体が怨念を基にした復讐であることを突き止めた波矢多が合里にすり替わっていた人物と博多港で会う最後の場面は良かった.444頁の厚さだが一気に読破できた.中身の濃いストーリーだ.