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紙の本
戦乱で安定性を欠く時代をよく選んだものだ
2017/01/15 22:14
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ドン・キホーテ - この投稿者のレビュー一覧を見る
時代小説の伊東潤が描く戦国時代の後北条氏の物語である。しかし、小説ではない。これは想像だが、伊東が小説を描くために調査した歴史関係のメモをまとめ、それを文庫本にして出版したという風体である。あくまで主役は後北条氏ではあるが、この時代は敵味方がかなり複雑に入り乱れている。地域は現在の関東甲信越に限られているが、上杉四家、里見、武田、今川、太田など、下剋上に相応しく、上下関係もなく、力のあるものが上に立つという時代である。
とにかく当初の大勢は後北条氏が覇権を握るが、最後は豊臣秀吉の大群に屈してしまうというのが歴史上の事実である。そこへ行く過程がなかなか面白いし、一方でそれ以前の鎌倉、室町時代の武門の都市である鎌倉の存在にも興味がそそられる。
室町幕府は京に置かれていたために、関東には鎌倉公方が置かれていた。それも将軍家の足利氏一族である。しかし、京の室町将軍と同様、鎌倉公方もその番頭である関東管領と諍いを起こし、主従の戦いが始まってしまった。かと思うと、その関東管領一族の中でも内紛が起こり、戦乱が絶えない。
結局その中で後北条氏が関東を制覇したわけである。結果はそうであるが、その過程が複雑で、どこかの歯車が狂ってしまうと、他家の天下となっていたかもしれないのである。内容としてはあくまで伊東の歴史メモの域を出ていない。読み手の受けを考えていないと思われる。
もう少し整理をした上で、かつ読み手の興味を誘うようなところをテーマにして発刊してもらいたかった。題材としてはきわめて面白いところであるが、この時代を描く作家は少ない。また、伊東潤に是非期待したい。
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