紙の本
今、読むべき本NO.1
2017/04/29 08:03
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投稿者:くりくり - この投稿者のレビュー一覧を見る
安倍政権が今国会で成立を狙う「共謀罪」法案の審議が行われている。、「テロ等準備罪」法案という名称に変えられているが、過去3度廃案になった「共謀罪」そのもの。国民を監視し、政府に盾突くやつは逮捕するぞというもの。なんだか、戦前の「治安維持法」みたいだ。
首相は「一般の人は関係しない」と繰り返すが、国会質疑では、一般人も捜査対象になること、メールも、ラインもふくめ市民の日常も監視対称であることを政府側も認めるた。
本書は、盗聴法や住基ネットなどを取材してきた朝日新聞の記者だった著者のスノーデンのインタビューだ。
各種レビューでは、著者の専門である「監視社会」について、記者時代の話が多くスノーデンのインタビュー自体を読みたい人には不満の声も掲載されている。
しかし、今の日本の監視社会が「ここまで来ているのか」を知る上では重要部分と私は考える。
そして、いよいよスノーデン氏へのインタビューが始まると、その盗聴のメカニズムの詳細が余りにも衝撃的だ。
「秘密保護法」はアメリカがデザインしていた。スノーデンの告発により、アメリカ国民の個人情報収集は違法とされたが、国外の情報収集は違法ではない。日本の国民の個人のメールもすべて収集されている。ジャーナリストは安全保障にとって脅威と位置付けられている。しかし、テロのためと言いつつ、すべての国民を監視対象にしてもテロを見逃してきた事実などなどがスノーデンから語られる。
ね、テロ対策のためと言いながら変な法案作ろうとしている今、読んでおくべき本でしょう。
蛇足だが、本書ななかでこんなくだりがある。
2003年に開始されたアメリカのイラク攻撃に際して、日本は「有事法制」を国会に提出した。著者は朝日新聞記者時代に有事法制が、国民の日常に与える影響を各分野の有識者への連載原稿にまとめたがデスクによって法案が可決するまで掲載されなかった。「法律になる前に世に問わなければ意味がない」と詰め寄る著者にデスクは、こう怒鳴った「衆院の圧倒的多数が賛成するような法案に反対できるわけないだろ!」
すでにマスコミは権力者の奴隷である。新聞報道なんかで世の中を見ることはできなくなったんだということを、あらためて確認した。
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図書館に行ったら、目に止まったので、読んでみた。監視社会の中で、「プライバシーは何かを隠すためにあるのでなく、プライバシーは個を守るためにある。個人には自分の信じるところを決定するまでに、他人の偏見や決めつけを逃れて、考える自由が必要がある。プライバシーは個人の権利の源なのです。」ということをしっかりと認識していきたい。
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3分の1は著者がインタビューに至る経緯。残りはスノーデンのインタビューと、関連する話題。
元記者のせいなのか新聞を読んでいる感覚にもなる、新聞のように前提条件は暗黙のうちに了承されていて、思いも共有されているはず、という感覚で書かれているので、そのあたり共感できるのならスッキリ(内容はスッキリではないが)するし、そのあたりに違和感が少しでもあると、何も内容が入ってこない。
新聞が政府の御用聞きになったこととは別にちゃんと取材してほしいし、スノーデンの発言の内容をすべて受けいるのではなく裏付けをもうちよっと取材してほしかったかな。読みにくくても本書を一度は読んでおいたほうが良いとは思う。
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映画『スノーデン』(オリバー・ストーン監督 2016年アメリカ)を観て、その補完にと読んだ。
ほとんど映画の原作とも言える『暴露』(G.グリーンウォルド)が図書館ですぐ借りれたのに反し、こちらは予約が多く2か月ほどかかった。2016年末に出た比較的新しい本だったのね。
日本人による”独占”インタビューだ。興味は、日本でのスノーデンの行動、それとあの事件から3年の時を経ているので、その後のスノーデンの様子。そのあたりが読めるかと思ったが、読めないわけではないがメインではなかった。
最後に著者が語るように、
「本書は、私が新聞記者時代に住基ネットを取材し始め、フリーランスになって大学院で監視について勉強しながら書き続けてきた17年あまりを凝縮する内容」
というのが最も的確な要約だ。筆者が長年追いかけてきた日本における個人情報の問題、監視社会の危険性を、スノーデンとのインタビューを核に(ダシに、とは言い過ぎ?)記したものだ。
やや肩透かしではあったが、内容としては、実は、非常に面白かった。
本書を読んで分かるのは、民草の全てを把握したい、管理したいという欲求は権力者の性ということ。その気持ちにブレーキはかけられない。だが諦観してはいけない。
ここで堀田善衛氏の記述が出てくるとは予想していなかったが、第二次世界大戦末期の近衛文麿の例を出して、”支配層のほとんど被害妄想的な猜疑心”、”「一億玉砕」を叫ぶまでに盲従的な人々すら信じられない”という権力の末路が紹介されている。 そして著者は、”これはNSA監視システムが体現する猜疑心のメンタリティによく似ていないだろうか”とスノーデン事件と関連付けて話を展開する。
一方で、こうした欲求は権力によって満たされるだけで、特にそれを使ってどうこうという話 ― つまり、悪用しようという話 ―は、公的機関が握っている限り(悪意の第三者に盗まれない限り)危険はないのかもしれない。スノーデンも、そもそもそうして集めた情報は意味がないとも言う。
「無差別監視はテロを防げずにいます。なぜなら根拠のある疑いによって的を絞り、被疑者を捜査していくのではなく、私たち全員を潜在的な被疑者として扱っているからです。情報を大量に集めることで、捜査機関は満足してしまい、むしろ情報を処理しきれず、それ以上何の行動も取らない習性が生まれているのです」
あるいは集めるだけ集めて、役にも立ってないような表現も見える。
「テロに関する情報収集は、実はNSA監視システムの最少部分でしかなく、人々の安全にはまったく貢献していません」
”NSAの大量監視が人々のいのちを具体的に守ったケースは一件も見当たらなかった”というのである。そのうち、NSAはじめ、世の権力も、そんな無駄なことにお金を使うのを止めたりはしないだろうか? もっと役立つことに、なんなら直接の軍事力、防衛力に資金を注げばいいのに。 ただ、おそらくそこには利権にまみれた世界もあるのだろうな。(失敗し続けるIDカード実験)と題した文章で、我々の税金が大手IT企業のふところへ消え��いくと著者も記している。
とはいえ、それはまた、情報統制や監視社会の問題とは別の話かなと思う。
こと情報収集に関しては、いずれその無駄に「公」も気づくと期待するなら、集めるだけ集めさせておけばどうなんだ? 住所、誕生日、電話番号、学歴、既往症、知られたところで弊害はあるの?と。監視カメラの設置も、監視の目があるということで抑止力にもなったりするのでは?
ただ、著者はそうした構造は、住民や消費者の心理に変化を及ぼし、
「見られている側が見ている側の視点を内面化し、自分の行動を管理するようになる。たとえば「よい住民」と思われるように、「ワンランク上の消費者」を目指すように。権力から疑われないよう、怪しまれないように。」
と、権力に阿るメンタリティが醸成される危険性を臭わせる。それは分かる。
今後ますます「公」はあの手この手で個人情報を集め、監視強化を打ち出してくるだろう。本書でも、
「さしあたって今後数年は、東京オリンピックに向けたセキュリティ対策という名目で、政府は次々に監視の強化を打ち出してくるだろう。」
と警鐘を鳴らす。そしてスノーデンが言うように、まずは怪しくないところから、一見ひと当たりの良さそうな切り口で市民を説得にあたると。ネット回線を通じたインタービューの中でスノーデンが語る;
「政府や企業がなにかの境界線を押し広げようとするとき、誰も文句を言わないような分野から始めますね。監視もそうです。テロリストを追うためとか、児童ポルノを取り締まるためとか。戦場で使用された携帯電話による位置追跡技術がいま、米国では窃盗などの通常犯罪の追跡に使われようとしています。つまり、遠い外国や人のいない場所で使った道具は家に帰ってくる習性があるということを、私たちは覚えておく必要があります。戦場で使用された最先端技術は僕らが考えるよりずっと速く、自宅の軒先にやって来るのです」
自宅の軒先にやって来て、なにが問題か? 実はここが難しい。だって、テロを防いでるし、児童ポルノが取り締まられているのだから。本書は「秘密の危険な誘惑」というスノーデンの言葉を引いてさらにこう諭す;
「スノーデンはこうした(情報の)私的な濫用を「秘密の危険な誘惑」と呼ぶ。「どんなに狭い範囲であってもいったん法律を破って情報を得ると、一歩進んでもっと知りたくなる。そうしてもう一歩、また一歩と山を登り・・・・気づいたときには帰り道がわからなくなるほど高い、濫用の山の頂上にいる」
こうして集めに集めたビッグデータは、人々がより良い市民になろうと努力している間はいいとしようか。あるいは、役に立たないまでも多少の抑止力になっているうちは看過しよう。 また本書内でのスノーデンの指摘にあるように、
「テロを実際に止めることができないのに、大量監視プログラムはなぜ存続するのか。答えは、テロ対策以外のことに役立つから」
ということで、何か別のことに”役立って”いるなら、まだいいじゃないかと思おうか。
しかし、濫用の山の頂上を極めた状態で、人々がそのサミッターに刃向おうとしたときには遅いという点が大いなるリスクだと気づかないといけない。そのことを、まずはそうした状況が、かつて” 民主主義の例外状態である植民地で最も先鋭的に発達し”、その監視技術が”個人の抵抗を削ぎ、同時に人口を利用するため”に使われてきたことを本書は記す。 またあるは、「パノプティコン」≒「一望監視」(18世紀後半のイギリスの社会改革家ジェレミー・ベンサムが考案した刑務所のデザイン)を紹介し、権力による一方的な情報統制の危険性を訴える。
過去、植民地や刑務所の中だけで行われてきたことが現代社会では科学技術の飛躍的発展によって、すべての人口が対象となり、”個人に対する法の守りは解体され”、”権力の実効支配すなわち暴力が世界に拡散していく”状態にあるという。
あとは負の連鎖だ。対抗暴力もイタチごっこのように生み出され、抑圧されては再生産され、「世界をより危険な場所へと変容させている」という。その見立ては、間違っていないように思う。
一見、甘いオブラートに包まれた情報統制が、実はテロ対策でも犯罪捜査でもなく、ルーティン化され、今はまだ隠匿されている。それが表に出た時、権力による濫用が起こった時には、もう遅いということは危機感を持って認識しておこう。故に、スノーデン事件には価値がある。
今日(2017/4/3日経新聞朝刊)もまた明るい未来を予想させるようなこんな話が一般紙の紙面を飾る;
「自動車の走行や工場設備の稼働状況を示すビッグデータを企業が共有しやすくなる仕組みづくりが動き出す。経済産業省が指針をまとめ、一部の企業がデータを独り占めしたり、利益を囲い込んだりすることがないように契約するよう促す。あらゆるモノがネットにつながる「IoT」時代を見据え、日本企業の強みである擦り合わせを発揮しやすい情報基盤を整える。」
そして集めた情報でまずは利用できる分野として自動車の自動運転技術だそうだ。権力に頼まれたわけでもないのに、”企業が共有しやすいように”や”日本企業の強み”という耳に心地よい言葉が並ぶ。情報技術への盲目的な信頼を煽り、それによって個を剝き出しにし(権力の側にとってだけ)、そして知らず知らずのうちにこの世の中を危険な方向へと自動運転の如く導いていく。
我々は権力に操られているのか、ITに操られているのか、それすらも分からなくなっていくのかもしれない。
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ここに書かれている色んなことに驚かされるが、中でも「やっぱりアメリカは日本を真の同盟国とはおもってはいない」ということと「監視システムから得たデータはテロ防止には何の役にも立っていない」ということ、そして「この監視システムはテロ以外の情報を盗み出すために使われている」ということが暴露されている点だな、と…
この閉塞感にちょっと凹みます
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スノーデンのインタビュー記録よりも著者自身の主張の方が多く強い感じで、タイトルから想像する内容とは少し違う。
インタビューを前面に出して、その内容を検証したり考察する形式の方が良かったのではないか。
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スノーデン監視社会の恐怖を語る
小笠原みどり 毎日新聞出版
地球上で最大の恐怖組織を相手に内部告発へと踏み切った
英雄らしからぬ沈着冷静な一匹狼の周到な頭脳とユルギのない心に感動
読むほどに事実は小説よりも奇なりを実感し
利己心に目がくらんで搾取する依存以外に生きる価値を見いだせなくなった
人間の浅ましい姿を垣間見ることになる
これほど頭の回転が素早く巧妙なのに何故一歩下がって世界を俯瞰できないのか
どう考えても不思議だけれども
一度振り向いた過去の知識と知恵から抜け出せずに井の中の蛙に閉じこもっている
これが彼らのあわれな現実なのである
不安に怯えてパニクッタ火事場の馬鹿力は冷血この上なく凄まじい暴力となって
執拗にイジメとカツアゲとイタブリに癒やしを求めて何千年と
世界制覇を企てながら生き延びてきたのである
権威ある存在であるほど悪魔が天使の衣を羽織る影で警察国家を操る存在だということだ
今では咳払い一つで側近共が忖度して人より先んじて汚い仕事を率先して果たし
タナボタの利権を献上してオコボレを頂く秩序とシキタリと監視システムが行き渡り
信頼関係を壊された市民同士が裏切り合う
少しでも頭を上げて首を出したり流れを乱せばたちまち通報される監視社会
自尊心や自律心や哀れみや対等観や全体観を持とうものなら徹底的に
アメとムチで洗脳されるか殺されるかのどちらかであることを理解することになる
勿論監視社会から抜け出すにはどうすれば良いのかという問題が大事である
対立と疑い合うことこそが彼らの罠だと気付き過去に溺れた依存心を跳ね返す勇気を持ち
前後左右を見渡せる今を捉え直してお互いの存在を認め合い
対等観と自在性による民主主義を目指すことである
不安恐怖におびえさせられて分裂してしまった市民同士が信頼関係を取り戻すために
自主的に一人ひとりが全体観を求めて視野を広げ切磋琢磨できる仲間を創ることである
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米国(NSA)は、外国を3つに分類している。「ファイブアイズ」と呼ぶ秘密情報を共有する、英語を母国語とする同盟国、ロシアや中国など日常的な監視の対象とする国、日本やドイツなど協力を求めつつも監視の対象とする国。最後のグループに属する日本は不平等な関係を強いられながら、米国が収集した秘密情報を共有してもらう為に、米国がデザインした「特定秘密保護法」を成立させられている、とスノーデンは指摘する。
スノーデンを突き動かしているものは何か。
人は監視されることを意識すると、監視する側の視点を自らの中に取り込んで行動するようになるという。「プライバシーは個人が自らの良心を形成するための大切な空間」というスノーデンの言葉には重みがある。
米政府は日本政府に対し、自国民の盗聴情報のトレードを持ちかけたらしい。しかし日本政府は法律の縛りがあるために慎重であり、2010年頃までは拒否していたらしい。しかし、「日本が協力しないなら自分で取りに行く。そして日本には見返りを与えない」と脅した。特定秘密保護法が強引に制定されたのはその後のことだ。マイナンバー制度がそれに続き、共謀罪(テロ対策)法案がそれに続いている。
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スノーデンの言葉自体は本全体の半分もなく、著者の意見が多く書かれていました。経緯や背景の説明は必要ではあると思いますが、少しそれらを読むのに疲れてしまった印象です。個人情報がどれだけ監視されているかについては具体的にわかり、その怖さは感じました。ただ個人情報が筒抜けであることよりも、報道規制や情報操作などの方が怖いなと感じました。