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思想界において、近代・ポストモダン周辺で、どのような潮流が動いているのかを、その背景と共に概説してくれる。あからさまな、論点と言うか思考のカーソルの誘導が若干、鼻につくが、許容範囲。全体の約20%が環境問題に関する記述であったのが個人的にはありがたかった。
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「AI、遺伝子工学、フィンテック、格差社会、宗教対立、環境破壊…世界の難問がこの一冊でクリアにとける」
まず、個人的な感覚ですが、哲学入門書ではないですね。たぶん。哲学を人生論的にとらえている人が読んでも身に入らないと思われます。
私も哲学を学んできたわけではないし、実在論的転回とか相互非干渉の論理とか言われても訳がわかりませんが、ひとまず章立てが直面している課題としてはとっつきやすく、まとまっているので自分の興味がある章だけを深く読んでみると、それほど苦痛にはなりませんでした。
ただ、「世界の難問がこの一冊でクリアに」はなりませんね。そこまで単純な問題ではないし。何と言うか、いかに咀嚼して、自分なりに栄養にしていくかのほうが大事だと思われます。
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うーん、自分の勝手ルール上、否定的な書評は書かないことにしているのだが・・・逆説的に得たものはあるということでメモ。
人工知能、バイオテクノロジー、資本主義、環境。現代のグローバルな問題について哲学がどう読み解いているか、それを知る本。タイトルだけ観れば誰でもそう思う。だが、実際には各章で引用されているのはその筋の専門家(数学者、生物学者、経済学者)が大半。かつ、考察は率直に言って浅い。
例えばAI。「フレーム問題」についての説明があるが、これは入門書が必ず触れる基本論点。哲学を持ち出して何かが前進している感じはない。ネット社会については「(ビッグデータを管理することの)影響力は計り知れないものになるはずです」(P.101)。・・・ってこれが末尾の一文かい!
濃淡こそあるが極論万事この調子。「現代こそ哲学が必要」だそうだが、本書を読む限り、その道の専門家の技術論(環境問題なら気温測定の方法の精度とか)のほうが思考の材料としてよほど有効であるという印象だけが残った。
誤解なきように言うと「自分とは何か」「なぜ生きるのか」など永遠の問いはあると思う。また、これだけ学際的な論点が広がれば、課題を考える有力な「軸」として哲学は必要とも思う。が、本書だけで判断する限り、著者がいう哲学の最新理論がさして貢献できているとは少なくとも私には思えなかった、ということだ。
思うに、多くの人は実はそれに気が付いている。だからこそ、「哲学」ではなくて「教養」がバズワード化しているのではないだろうか。
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第1章がまさに「哲学」で難しい。第2章以降はテクノロジー面なので読みやすい。
普段から興味持ってる事柄が哲学と結びついてることが分かって何だか嬉しくもあり。
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19世紀以降の哲学体系の変遷について簡単に触れた後、IT革命、バイオテクノロジー、資本主義、宗教、環境のトピックについて、問題提起とそれらを取り巻く論や説を紹介していく。
個人的にはとてもいいなと思える本だった。
この本を読んでそれぞれの分野について深くまで考察すること、情報を得ることは厳しいが、そうしたインプットや考察をより効果的に行っていくための道筋を教えてくれる本であり、本や人物の紹介がかなり多いため、とても参考になった。
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問題の答えではなく、問題の意味本質について書かれている。哲学の本は、ものの見方をちょっと変えてくれるので面白い。
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表題には哲学者とあるので、敬遠していたのだが実際は素人向けの現代を課題を分野ごとにわけて解説した本だった。色々な考えを紹介しているが著者はどれがいいとはいっておらず、あくまで中立的立場でのわかりやすい解説であった。知らない人も多く、世界的な視点を垣間見ることができた。こうしてみるとITでは日本はおそろしく後進国なのが実感する。私見であるが、これはつまりメディアの後進性だと思えた。池上先生の本でものたりない人はこの本からスタートするといいと思う。
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[関連リンク]
知の巨人たちが取り組んでいる問題はこれだ『いま世界の哲学者が考えていること』: わたしが知らないスゴ本は、きっとあなたが読んでいる: http://dain.cocolog-nifty.com/myblog/2016/11/post-cf79.html
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資本主義と環境の章が興味深かった。
ロールズが「正義論」を発表して、リベラリズムがブームになった。個人の自由だけでなく、弱者救済の立場から政府の福祉政策や自由な経済活動への規制を提唱している。これに対して、ノージックは「アナーキー・国家・ユートピア」でリベラリズムを批判し、個人の自由な活動を全面的に擁護した。
ロドリックは「グローバリゼーション・パラドクス」で、ハイパーグローバリゼーション、民主主義、国民国家のうち2つしか同時に実現しないと論じ、国民国家をあきらめる世界連邦制、民主主義をあきらめるネオリベラリズム、ハイパーグローバリゼーションをあきらめる賢いグローバリゼーションの3つの選択肢を示している。
リフキンは「限界費用ゼロ社会」で、協働型コモンズによる共有型経済が生まれると考えている。
ディープ・エコロジーや環境倫理学の非人間中心主義は、経済成長に反するとして非難されている。経済と環境を対立させるのではなく統合する試みのひとつとして、生態系サービスの考え方がある。地球全体の生態系サービスの貨幣価値が16~54兆ドルと試算され、当時の世界のGDPの合計と同じか3倍にあたる。しかし、さまざまな観点のある環境の価値を一元化することには批判もある。
https://diamond.jp/articles/-/106643
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哲学=カント?ニーチェ?プラトン?のような古典的印象しかもっていない私にとってはとても刺激的な本だった。しかし難しい。
哲学が現在解明していること、バイオテクノロジー、資本主義、宗教、環境などをテーマに現代の哲学者が考えていることが紹介される。自分がいつのまにかかなりのバイオ保守派だったりヒューマニストであったりすることに気づかされる。
書物の時代と人間の時代が終わり始めたとはいえ、私は何をしたらよいかわからなくて本を読むんだろうな。子供の人生を豊かにするために親が遺伝子を改良するのは賛成。遺伝子工学的教育。
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1章の哲学を除けば、2章以降は日々僕たちが直面する問題に対する専門家の考えを知ることができる。 IT革命ではSNSやマイナンバーと監視社会、人工知能が人から仕事をうばうか、3章バイオテクノロジーではクローン、再生医療、犯罪者の取り扱い、4章資本主義では、ピケティ、自由と資本主義、グローバル化、仮想通貨と国家、5章宗教では、多文化主義の共生や世俗化、無神論のドーキンス、6章地球環境では、温暖化、人間中心主義と環境維持は対立するかという問題、など。面白かった。
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哲学を通して、様々な現代的課題を俯瞰するもの。
多くの人物の意見が紹介され、とても難しかった。
現代の問題を考える一助になり得ると思うが、
自分自身が内容を消化できたようには思えない。
勉強不足ですね、きっと。
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哲学に対する考え方が変わるきっかけになるかも知れない、現代の哲学の潮流を知ることが出来る一冊。
哲学、経済、宗教、そして文学まで、幅広く解説してるので、飽きずに読めました。
中でも本書で取り上げてる、ミシェル・ウェルベックの「服従」は、確かに自分も読んだ時に、何気にあり得るかもと思った。
特にその状況が、もしかしたら不幸ではないかも知れないと感じてしまったから。
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タイトル通り、何が今トピックとして論じられているのかが知れる。
結論や筆者の意見が書かれているわけでないが、
入り口として過不足なく推薦できる良著。
難しすぎるので哲学に本気で手を出すのはやめようと思ってる自分のようなライト層向けでもある
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思えば哲学というのは
言語・数学・科学・政治…などなど、
多岐に渡る分野の基なんだよなぁ…というのを改めて思い出させてくれる1冊。
哲学=人生論のイメージを持っているなら目を通しておいて損はなし。
「Withコロナ」時代の直前に書かれたものですが、今こそ読んで、この先を考えていく足掛かりにしたいところ。
現代哲学をリードする哲学者の著書のブックレビュー的側面もあって、興味の湧いた人・本からさらに深めていけそうな構成もとても良いです。
星が1つ欠けてるのは、この本だけじゃ理解は完成しないぞ!気になるところからこの先も読むべし!の意味で。