宮城谷昌光の世界
2016/10/25 06:44
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投稿者:北の景虎 - この投稿者のレビュー一覧を見る
いつ読んでも宮城谷昌光の小説は面白い。この小説の主人公は呉の伍子胥ですが、宮城谷昌光の別の作品に伍子胥の呉越の闘いを書いた別の作品があって過去に読んでいます。改めて伍子胥を題材にした「湖底の城」を一気に1から5巻迄読みました。あの「水滸伝」を彷彿させる筆致に興奮して読みました。後巻に続く伍子胥の世界が楽しみです。
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投稿者:七無齋 - この投稿者のレビュー一覧を見る
伍子胥の時代にも陰りが見え始め、主役がいよいよ范蠡になろうとしている。物語が佳境に向かい、故事古典の世界に。
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本巻でひときわ輝きを放っていた登場人物は、孫子こと孫武だろう。
後宮の貴妃を兵にみたてて訓練するという、あまりにも有名なエピソードは読んでいて心が躍った。
無名の彼がその兵法により世に出ていくさまは痛快だ。
「人の幸と不幸は、人とのめぐりあいで変わる。」『右[示右]の帰郷』より。
「人はおなじ感情をもちつづけることは、そうとうにむずかしい。」『子胥の外交』より。
「目のまえに倒れている者を救うことは、たしかに人助けにはちがいないが、視界の外にいる者たちを救うのが為政者のつとめである。無形の形がみえるか、無声の声がきこえるか、それが人の上に立つ者の良否となる。」『子胥の外交』より。
「自大の叫びは、世の顰蹙を買うだけであろう。」『孫子の兵法』より。
「復讐心は、他人を殺すが、それが返ってきて、おのれを殺すもととなる。」『孫子の兵法』より。
「理を極限まですすめてゆくと、非常識とかわりがなくなる、ともいえる。」『春景色』より。
「人の思考と行動を解く鑰は、多くの人がみのがす細事にあります。」『女兵』より。
「人を試すことは、おのれが試されることになる。」『女兵』より。
「ものごとには多面があり、人はどうしても一面しか視ず、そこから事象の深奥を洞察しようとする。視点を移して、ほかの面を視ることは、かんたんなことであるようにみえるが、じつは至難である。つまり、他人の意見はほかの面を映す鏡となるので、他人の話をきくことも大切なのである。」『女兵』より。
「他人の晦さは、自身の幸せ、であるとはいえ、国も人もおなじで、謙虚さ、慎重さを忘れてはなるまい。」『季子の死』より。
「強くなることを急ぎすぎると、かえって弱くなり、大きくなることを急ぎすぎると、かえって小さくなる、ということもあるのです。」『季子の死』より。
「失敗を失敗のままおわらせることを、ほんとうの失敗というのです。(中略)ほんとうに努力した者は、たとえ失敗しても、そこに成功への鑰をみつけているはずです」『鍾吾と徐』より。
「他人のためになにもしないで、おのれだけが助けられる人は、この世にいません」『神出鬼没策戦』より。
「計画が精密すぎると、かえって窮地におちいることがあるのです」『神出鬼没策戦』より。
「すさまじい努力をしても、時と人にめぐまれなければ、花は咲かぬ。」『神出鬼没策戦』より。
「大事をなすためには、小事をおろそかにしてはならない。」『呉軍と越軍』より。
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風とは威風であり薫風であろう。子胥の影響力の強さを端的に述べたものである。稀に「気」を感じさせる人物がいる。体から放たれる波動を感じて襟を正すことがある。老若はあまり関係ない。自信に満ちた生きる姿勢から生まれたものか。あるいは修羅場を知る者の覇気が伝わってくるのだろう。
https://sessendo.blogspot.com/2022/03/blog-post_28.html