英国好きによる偏った情勢分析
2016/10/21 20:50
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投稿者:キック - この投稿者のレビュー一覧を見る
第1章は英国のEU離脱劇、第2章はEU崩壊の危機、第3章は英国解体の可能性、第4章はロシアの脅威といった構成でした。残念ながら、新聞社説のレベルを脱していません。英国好きの岡部氏は滑稽なまでのロシア恐怖症で、自分もロシアに命を狙われたという被害妄想まで吐露。ヨーロッパサイドのみの世界観に幻滅しました。とにかく英国のEU離脱の表層のみを追った本で、挙げ句は「日英同盟」の復活を待望。英国との同盟が日本の国益に資するものとは思えませんし、英独の「親中反日」は有名です。英国好きは分かりますが、客観的に少し引いた視野で欧州情勢を語ってほしかったです。
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産経新聞ロンドン支局長が、本年6月に世界を驚かせたBrexit(英国のEU離脱)の決定について、その背景と影響を分析したもの。
Brexitの影響については、既に様々なメディアで取り上げられているように、他のEU諸国の離脱はもとより、世界経済や中国など多方面への広がりが予想されているが、本書では、著者がかつてモスクワ支局長を務めた経験・知見を踏まえて、ロシアの台頭を主たる懸念として取り上げている。
著者の主な主張は以下である。
<イギリス解体>
◆離脱派勝利の背景には、グローバリズムの負け組となり、過激な排外主義に熱狂する白人労働者の反乱、情緒に流され、一部のポピュリズムの政治家に煽られた英国版トランプ現象などがあるが、その根本は、第二次大戦後、旧植民地からの移民に国籍を与えてきた寛容さを不寛容に変質させた移民の増加、製造業の衰退、経済的に厳しい地方と繁栄する大都市の格差拡大、エリート層とグローバル化で取り残された労働者の分断などである。
◆残留派が上回ったスコットランドや北アイルランドでは、EU残留のための独立の動きが始まり、それぞれの内向きのナショナリズムは、英連合王国を崩壊させる危機さえ孕んでいる。
<EU崩壊>
◆離脱派の勝利は、EUが直接選挙を経ていない巨大な官僚機構に支配されているという構造的な問題への不満でもあり、EU改革を早急に進める必要がある。
◆ドイツの重しとしての存在感があった英国の離脱は、EUのパワーバランスを崩し、加盟国の間でドイツ警戒論が強まることによって、EU崩壊に繋がりかねない。
<ロシア台頭>
◆Brexitの漁夫の利を得るのはロシア。対ロ最強硬派の英国がEUから抜ければ、EUの対ロシアのスタンスは弱まり、相対的にロシアが台頭する。
◆英国のメイ新首相はロシアとの対立姿勢を鮮明にしており、さながら21世紀のグレート・ゲームの様相を呈してきたようにさえ見える。
欧州の歴史の転換点になる可能性すらあるBrexitについて、コンパクトに纏められた、タイムリーな一冊。
(2016年8月了)
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イギリスのEU離脱に対する国民投票結果について、一通り復習、理解することができます。またその意味と裏側についてもある程度整理することができました。なぜ結果が離脱に動いたのか、それは歴史的な背景からどのような意味を持つのか。重要なファクターであるロシアとの関係は。そして日本にとっての意味はどうなのか。興味のある関係についてまとめて考えることができました。最後に日本の取るべき策については、踏み込んだ意見とも感じましたが、考えさせられるものもありました。
この世界は先行き不透明であり、しっかりと何が起こっているのかを見ていく必要性(決して推測で判断しない)を考えさせられました。
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147頁:プーチン大統領を批判して2013年にロンドン郊外の自宅で死亡した政商,ボリス・ベレゾフスキー氏が亡命。
・すごい! 死んでから,亡命できるなんて。よっぽど,ウラジーミルが嫌いだったんだ。
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今のロシアのことを理解するうえで、産経新聞がロシアという国をどんな風に捉えているかが理解できて良かった。