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投稿者:ぷりしら - この投稿者のレビュー一覧を見る
カーの作品の中では読み易い方だと思う。
オカルト風味がなくトリックもカー作品としてはシンプルなので
(複雑な作品も面白いのだが、それはカー初心者にはとっつきにくい)。
旧訳と逐一付き合わせたわけではなく、記憶による印象でしかないが、
旧訳よりかなり読み易いものになっている(と思う)。
紙の本
死の演劇
2017/05/16 00:27
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投稿者:J・P・フリーマン - この投稿者のレビュー一覧を見る
仲間内の前で演じられた寸劇のさなかに、主催者が毒殺される事件が発生。しかし容疑者全員にはアリバイがあり、だれもが犯行不可能な状況だった。フェル博士が謎の毒殺者に挑む、アリバイ崩しの要素が強い作品です。カーがたまに考える複雑なトリックはなく、フェル博士の事件の解説もすんなり頭に入ってきます。ただ、恋愛要素は蛇足のような気がしました。
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〇外文の巨匠、カプセルという初歩的なもので大きなトリックへ
アルルス・レピドゥスの家を訪れていたエリオット警部は、そこである特徴的な一行の姿を目にする。実はそのレピドゥスの家は「毒殺者」であり、実際に人が死んだ家であった。実業家のチェズニーはその家に嬉々とした表情でいたが、そんなチェズニーの家では殺人事件が起こってしまったのだ。
その事件の捜査協力を求められたエリオット警部は、原因となったであろうミセス・テリーの店でのチョコレートが毒入りにすり替えられたのかどうかの検証を始める。周辺の人物からは様々な目撃証言や意見の食い違いなどを見つけたエリオット警部だったが、果たして真相は。
なかなか的を得ない登場人物たちの発言に、読者も刑事たちも困り果てるが、フェル博士の講義も経て少しずつ真相が明らかにされていく。イギリス人らしい挙動や立ち居振る舞いも、カー作品の醍醐味なのであろう。日文小説と比べても面白く読んだ。
ポイントになる部分をイマイチ見つけられなかったものの、最後は思わぬ犯人にたどり着こうではないか。
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カーお得意の密室殺人やオカルト要素もなく、前半の毒入りチョコレート事件の真相は他愛のないもので物足りなく感じる部分はありますが、メインであるベルガード館当主毒殺事件の不可能性は強烈ですし、謎解きも圧巻。フェル博士による「密室講義」も興味深く読み応えがあります。
また、旧訳より本作の方が解り易い表現が多く、素晴らしいリマスターだと思います。
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菓子屋のチョコレートに毒が混ぜられ
犠牲者が出るという事件が起こった。
事件に深く関わっていると疑われる
その田舎町の資産家の主人は、
毒混入の手口を証明するため
一つの心理的実験を家族の前で
演じて見せた。
だが、実験の中で彼は本物の毒を飲み
命を落としてしまった。
複雑な謎に名探偵フェル博士が挑む。
非常に複雑で、緻密に練られた
物語、演出、トリック。
毒入りチョコレート事件をきっかけに、
怪しい心理実験を試みるという流れは
他にどんな作家が思い付けるのだろうと
感心させられた。
だが容疑者は極少数の人間に限られ、
本書で語られる毒殺者講義の中にも
あるように、動機は単純な「欲」。
犯人が凝らした創意工夫は見事だったが
お前だったのか、
そういう事だったのか、
という驚きは殆どなかった。
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初期のカーの怪奇趣味、おどろおどろしさは無く、その点では個人的にはやや物足りないものの、まずまずの佳作かと。久しぶりのミステリーで、堪能しました。
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フェル博士シリーズ10冊目▲菓子店の毒入りチョコレート・ボンボンで死者。心理学的テストの最中に殺害。青酸入りカプセル、食いちがう証言、毒殺講義▼暑く静まり返ったポンペイの廃墟、シネカメラで撮影される白い服の女。それを目にした『曲った蝶番』から引き続き登場エリオット警部がロマンス脳で挑戦!と導入から引き込まれます。事件を目にしたはずの容疑者側は意見が食い違い、警察側は頭に血が上る。事件を写したフィルムを見れば万事解決との期待も…と仕掛けはばっちり。心理学的殺人事件とは、まさに。納得の良作でした(1939年)